古びた「駅名板」が語り部 阪神電鉄『香櫨園駅』で知った街の歴史が面白い 西宮市
先日、『西宮市大谷記念美術館』を訪れた時、阪神電鉄の『香櫨園(こうろえん)駅』を初めて利用した記者。改札を出ると、正面の壁に相当な“年代物”と思われる駅名板が掲示されていて驚きました。
“古いもの”がとにかく大好きなこともあって、吸い寄せられるように駅名板へと近づいていきます。
プレートに書かれた説明によると、『香櫨園』は明治40年(1907年)に大阪商人の香野蔵治・櫨山喜一がこの地に開発した「遊園地(娯楽場)」の名称で、香櫨園駅も同年に開業したそうです。
阪神電鉄が神戸(三宮)~大阪(出入橋)間の運行を始めたのが1905年なので、駅の中でもかなりの古株といえます。
遊園地は駅の南側一帯に存在していたようで、約8万~10万坪(資料によって異なる)の広大な敷地に、運動場、ウォーターシュート、動物園、博物館などの施設を備えていたそうです。
そんな香櫨園ですが、開業からわずか6年後の大正2年(1913年)に廃園。跡地は住宅地として開発が進み、香櫨園は“地名”として継承され、現在は西宮の高級住宅街「西宮七園」のひとつに数えられています。
話を香櫨園駅に戻します。もともと地上駅だった駅舎は、平成10年(1998年)~平成13年(2001年)に行われた高架化工事に伴い、2階にホームがある高架駅となりました。
昭和4年(1929年)に建てられた“旧駅舎”は、第二次世界大戦の空襲被害を免れ、平成5年(1993年)まで明治の面影を色濃く残していたそうで、冒頭で紹介した駅名板も旧駅舎時代のものでした。
新しい駅舎のデザインも旧駅舎にグッと寄せているあたり、地元の人々に愛された存在だったことが伺えます。
ちなみにバルコニーの内側は駅のホームから見ることができます(扉は施錠されているので窓ガラス越しですが)。
<香櫨園駅の周辺情報>
駅舎の下には『夙川』が流れています。東西に伸びる駅舎と南北に伸びる川がクロスしているのが面白い。
川沿いには桜の名所として有名な『夙川公園』が広がっており、公園で遊ぶ親子や子どもたち、夙川オアシスロードでジョギング・散歩を楽しむ地域の人たちでにぎわっていました。
駅の東側には、“日本初のアンチエイジングモール”として誕生した商業施設『香櫨館』がそびえ立っています。
個人的なイチ押しは、駅のすぐそばにある阪神高速道路の高架付近の階段。香櫨園の街の雰囲気も相まって、大ヒット映画『君の〇は。』の“あのシーン”の再現に使えそうな雰囲気でした。
場所
阪神電鉄 香櫨園駅
(西宮市松下町)