【住宅ローンの現実】30歳、年収600万。新婚夫婦なら賃貸と持ち家どちらがいい?【FPが解説】
読者から寄せられたリアルな給与明細から年収を大公開。今回は、住宅ローンのお悩みにフォーカスを当て、借入可能額や毎月の返済額の目安、家計の改善点についてファイナンシャルプランナーが解説します。【30歳 人事総務】
【住宅ローン】30歳、人事総務の場合
プロフィール
30歳、男性
人事総務
▼現状
年収:600万円
家族構成:一人暮らし。結婚後、関東に夫婦で住む予定
【相談内容】新婚夫婦は賃貸と持ち家どちらに住むべき?
「今後、結婚する際に関東に夫婦で住む予定です。賃貸の方が良いのか、持ち家の方が良いのか、ライフプランが決定していないことが悩みです」
年収600万の住宅ローンをシミュレーション
賃貸と持ち家のコストを比較するために、まずは年収に対してどのくらいの借入ができるか確認してみましょう。
住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」によると、フラット35首都圏利用者の平均借入額は年収の6.9倍*。
年収600万円の相談者さんにあてはめると、およそ4,140万円です。
ただし、無理のない範囲は、年収5〜6倍を目安にした3,000〜3,600万円です。
*……参考:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」(p.18)
毎月の住宅ローン返済額はどう変わる?35年ローンと20年ローンを比較
仮に4,000万円の住宅を購入すると想定して、毎月の返済額をシミュレーションしてみます。
35年ローン(金利1.9%・年収×年収負担率25%/12カ月で計算)では毎月返済額は約12.5万円、20年ローン(金利1.5%*で計算)では約19.4万円*です。
*……参考:住宅金融支援機構「金利情報」2025年2月
*……参考:住宅金融支援機構「ローンシミュレーション」より算出
新婚で住宅を購入する最大のメリットは、返済期間を長くして月々の負担額を抑えられること。
特に質問者さんは住宅手当が出ないので、家賃よりもローンの返済額が安いようなら、住宅を購入するメリットは大いにあります。
ただし、手持ち資金が少ないときに住宅を購入すると借入額が大きくなり、利息の支払いも多くなりがち。
住宅ローン控除で条件を満たした新築住宅は13年間(中古住宅は10年間)税制優遇がありますが、それ以降は適用されません。
住宅ローン控除がなくなる時期にまとまった現金を投入して、返済期間を繰り上げ利息の負担を減らす対策を考えておきましょう。
住まいは夫婦でじっくり検討して
持ち家は、月々の返済に加えメンテナンス費用や固定資産税がかかります。
賃貸はこれらの費用が発生せず、家族の人数やライフスタイル、仕事場所の変化にいつでも対応できるのが大きな魅力です。
一方で、最大のデメリットは、資産にならず月々の家賃が消えていくお金になる点。
ただし、賃貸を続けて購入時の頭金を貯めるという方法もあります。
将来、頭金を多く投入して住宅を購入するとローン額を減らせるので、無駄な利息を支払わないで済みますよ。
家族の人数やライフプランが決まるまでいったん賃貸生活を続けて、貯めたお金を住宅の頭金に回す視点も持っておきましょう。
住まいの選択は難しいですよね。
一概にどちらがよいとは言えませんので、夫婦でじっくり検討してくださいね。
まとめ
・首都圏の平均借入額を年収600万の相談者さんにあてはめると、約4,140万円。
・新婚で住宅を買う最大のメリットは、ローンの返済期間を長くして月々の負担を減らせること。
・賃貸生活を続けて住宅の頭金をしっかり貯める方法も効果的。
※この記事では媒体で募集した情報に編集を加えて掲載しています。
◆綾瀬わか
FP2級ライター。元中学校・高校の国語教員。
資産形成や社会保険、教育等に関するお悩みを解決するお手伝いをしています。教員時代のスキルを生かして、相手に寄り添いながらわかりやすくアドバイスすることが得意です。より多くの方々が安心して生活できるようにお役に立ちたいと思っております。