感想文は安心! 〔小学生 低学年の部〕課題図書を全冊レビュー 「2025年青少年読書感想文全国コンクール」本選びと読むときのヒント
文章力養成講座「カキマクル」のゆか先生による、本選びや読むときのヒントをまとめた「2025年青少年読書感想文全国コンクール・小学生の部」の課題図書全冊レビュー「小学生低学年の部」4冊です。
「頭がいいから中学受験する」はもう古い! 「勉強が苦手な子」こそ輝く場所がある“新しい中受”とは文章力養成講座「カキマクル」で「親子インタビュー式読書感想文」の指導をしている、ゆか先生こと松嶋有香さん。文章指導歴35年の間に、たくさんの子どもたちの文章を読み、その成長を感じてきたゆか先生の指導方針は「子どもの意見を尊重する」こと。もちろん、読書計画を立てたり、読む本を自分自身で選ぶところから、徹底して「子どもの選択」を第一にしています。
しかし、なかなか本を選べないというお子さんもいるでしょう。
そこで本選びの指針のひとつとなるのが「課題図書」です。
「課題図書は、『青少年読書感想部全国コンクール』の『課題図書』選定委員会が選書をしています。選ばれているのは良書ですし、選定理由を公式サイトで公開しているので、本のテーマがわかりやすいのが良い点」というゆか先生。
ゆか先生によるあらすじと〈読書感想文を書くときのポイント〉を紹介する、「2025年青少年読書感想文全国コンクール課題図書」全冊レビュー「小学生低学年の部」をお届けします!
『ライオンのくにのネズミ』ライオンの学校に転校してきたネズミはどうする? どうなる?
『ライオンのくにのネズミ』作:さかとくみ雪、中央公論新社、1,760円
〈あらすじ〉
想像してみてください。ライオンの学校に転校したネズミの気持ちを。画面いっぱいに描かれた、体も声も大きいライオンに、読んでいる私たちも圧倒されます。そんな中、やっと心を通わせるリスの友人ができます。でも、あれ? もしかして、ライオンも、ネズミと友だちになりたいのかも。
〈この本で読書感想文を書くときのポイント〉
この本には、いろいろな動物が出てきます。お子さんはどの動物に感情移入するのか、楽しみですね。
「こんな子いるよね!」
「私はリスかな」
「どうしてこの子はいつもスカーフを巻いているんだろう」
と、親子で話してみるのも楽しいでしょう。「実はぼくはライオンかもしれない」ということもあるかもしれません。それでもいいんです。
他人との「違い」に良い悪いがあるのか。そもそもなぜ違うのか。お子さんと話し合ってみてくださいね。最後のページとその2つ前のページ、ぜひ、何度も見比べてください。
少年の心の葛藤を描いた『ぼくのねこポー』拾ってきたネコは実は友達の家のネコだった
『ぼくのねこポー』作:岩瀬成子、絵:松成真理子、PHP研究所、1,430円
〈あらすじ〉
ぼくは、道ばたで見つけたねこがほしくなりました。捨てられていたからと親に噓をつき、飼うことになります。ある日、転校してきた森くんという男の子が「実は、飼っていたねこが行方不明なんだ」と言います。見つけたねこと森くんのねこ。特徴もそっくり。その日から、ぼくの心の戦いが始まります。
〈読書感想文を書くときのポイント〉
ぼくが拾ってきたねこは、森くんのねこに違いない。物語にぐいぐいと引き込まれます。
まったく同じような経験はないにしても、このような罪悪感を経験したことは、誰にでもあるもの。秘密、噓、それはどんどん、おりのように心にたまっていきます。本当はどうしたらいいのか、心のどこかで分かっている。そんな、分かっている自分が、今の自分に話しかけてきます。親子で「こんな経験したことある?」「お母さんもあるのよ」などと話してみてくださいね。ぼくを応援したくなる人もいるかもしれませんね。
この本を読み終わったあと、まだ心につかえていることがあります。それが、この本には書かれていない宿題なのです。
複雑な心の変化を見事に描いた『ともだち』仲良し2人組にもう1人加わったらどうなる?
『ともだち』作:リンダ・サラ、絵:ベンジー・デイヴィス、訳:しらいすみこ、ひさかたチャイルド、1,760円
〈あらすじ〉
ぼくにとって、エトはかけがえのない大親友。いつも一緒に遊んでいます。ある日、シューという男の子がやってきて、いっしょに遊びたいと言いました。友達が増えて、楽しくなった? いえいえ、そんな単純な話ではなさそうです。ぼくはだんだん仲間外れになったような気持ちになっていきます。
〈読書感想文を書くときのポイント〉
大好きで、ずっとこのままで一緒にいたいと思えるような友だち。そこに新しい友達が来たら……。
大人だったら「よくあるよね」と即答するような心の変化を、この絵本は丁寧に描いています。1ページめくるたびに、変わる主人公の心境。ゆっくりと絵をみて、その心の変化をたどってみましょう。
アマガエルが自分自身について語る写真絵本『ワレワレはアマガエル』
『ワレワレはアマガエル』文・写真:松橋利光、アリス館、1,870円
〈あらすじ〉
カエルを絵に描いてみて。黄緑色で、口が大きくて、目が出ていて……その特徴はずばりアマガエル。オタマジャクシがアマガエルになるまでの成長過程や、食べものである虫のつかまえ方などを、アマガエル自身が語ってくれます。
〈読書感想文を書くときのポイント〉
ほとんど文章がない、写真集に近い本です。実は、こういう本こそ、読書感想文にはぴったり! だって、著者の文章がほとんどないので、自然と自分の「感想」を書くしかないからなんです。
アマガエルの生態を見て、驚いたところ、気づいたところ、不思議に思ったこと、もっと調べたいと思ったこと、どんどん言葉にしてみましょう。
本選び、読書感想文のテーマ選びに役立つ情報がいっぱいでしたね! 本を選んだら、次は「読書感想文」の宿題を片付ける番。そこでおすすめするのが、ゆか先生が指導している『2週間7つのステップで「読書感想文」を完成させることができる、「親子インタビュー式読書感想文の書き方」』です。
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