迫力満点な『大型猫種』3選 ギネス記録を連発する品種も…飼育上の注意点も紹介
1.メインクーン
ワイルドキャットを除けば、メインクーンは世界最大級のイエネコ種で、ギネス記録の常連といえば、圧倒的にメインクーンが挙げられます。
世界一体長の長い猫は、イタリアに住むメインクーンの「バリベル」くん。なんと体長120cmもあり、2018年にギネスに認定されました。
メインクーンの特徴
アメリカ原産のメインクーンは、ふさふさの長毛と堂々とした体格が特徴です。顔周りには、ライオンのようなたてがみがあり、見た目はちょっぴりワイルドですが、性格はとてものんびり穏やかで社交的。
ほかの猫や犬とも仲良くできる子が多く、多頭飼いにも向いています。
メインクーンを飼うときの注意点
メインクーンの毛質はやや硬めで絡みにくいのですが、長毛種であることと抜け毛の多さから、毛玉や消化管内での毛球症のリスクがあり、毎日の丁寧なブラッシングが必須です。
身体が大きく体重も重いため、飛び降りる際の衝撃が大きい傾向にあります。猫が上り下りするキャットタワーや棚の周りには、滑りにくい素材を敷くなど転倒防止の工夫をすると安心です。
メインクーンが先天的にかかりやすい病気
純血統としてブリードされていることから、遺伝性の疾患を引き継いでしまう可能性があります。メインクーンがかかりやすい病気には、次のようなものがあります。
✔肥大型心筋症:心筋が分厚くなることで心臓の機能が低下し、心不全や突然死を引き起こす。
✔股関節形成不全:股関節の構造に異常があり、痛みや歩行困難の原因となる整形外科疾患。
✔多発性嚢胞腎:腎臓に嚢胞(液体の袋)ができ、腎機能が徐々に低下していく病気。
✔脊髄性筋萎縮症:筋肉が徐々に衰える遺伝性疾患。見た目の異常が早期に現れます。
2.ラグドール
ぬいぐるみという意味の「ラグドール」は、名前の通り、優しく穏やかで抱っこしても嫌がらない猫を目指して改良された猫種です。
ラグドールの特徴
ラグドールは、もともと大型にすることは目的ではなかったものの、交配種(バーマンなど)によって、結果的に現在の大きさになりました。
バーマン譲りの青い瞳と、美しいカラーの毛柄が印象的です。穏やかで飼い主に従順なコが多いので、初めて猫を飼う方にもおすすめです。
ラグドールを飼育するときの注意点
穏やかな性格が故に我慢強く、飼い主が知らぬ間にストレスを抱えている可能性があります。体調不良やストレスサインを見逃しやすくなるため、細かく観察しましょう。
毛質が柔らかく長いために毛玉ができやすいです。脇やお腹などの毛玉は皮膚を引っ張ってしまい痛みも伴うため、こまめなブラッシングで毛玉ができないようケアしてあげましょう。
また、おとなしい気質でのんびりしているため、狩猟の疑似体験である「遊び」もあまり好きではない子が多くいます。運動不足から肥満になりやすいため、日頃から遊びでの運動を意識的に取り入れる必要があります。
先天的にかかりやすい病気
ラグドールは比較的身体が丈夫だと言われていますが、メインクーンと同じく遺伝性の「肥大型心筋症」になりやすい傾向があります。ラグドールは原因遺伝子が特定できているため、遺伝子検査であらかじめリスクを調べることができます。
また、猫種に限らず発生があるもののラグドールに多い可能性が示唆されている疾患として「消化管好酸球性硬化性線維増殖症(GESF)」が見られます。胃や腸にコブができ、それが増加してしまう病気で、初期症状は定期的に吐くだけで元気や食欲はあるため、誤飲や毛玉と見分けがつきにくく、非常に見逃しやすい病気です。
3.ノルウェージャンフォレストキャット
北ヨーロッパ原産のノルウェージャンフォレストキャットの特徴は、なんといっても豊かな長毛。極寒にも耐えられるようボリュームのある被毛が、なんともゴージャスな雰囲気を作り出しています。
ノルウェージャンフォレストキャットの特徴
フォレストキャットの名前から、あたかもワイルドキャットのようなイメージがありますが、実は常に人間の周囲で生きてきた歴史があり、知能が高く、温厚でフレンドリー。まるで「犬のよう」だと形容されることもあるほどです。
見た目こそ豪華な雰囲気ですが、骨格がしっかりとした筋肉質な体型でありながら、とてもしなやかで、木登りが得意という活発さも持ち合わせています。
ノルウェージャンフォレストキャットの飼育上の注意点
長毛が故の宿命で、被毛のお手入れはとても大切です。アンダーコートの量が多いため、毛玉ができやすく毎日のブラッシングはかかせません。
ノルウェージャンフォレストキャットの毛は、もともと寒冷地に対応しているため、日本の高温多湿の気候では、暑い時期には熱を発散できずに熱中症の危険が高まります。エアコンなどで室温管理を徹底するようにしましょう。
先天的にかかりやすい病気
ほかの大型種同様に、ノルウェージャンフォレストキャットも「心筋症」には注意が必要です。
また非常に稀ではありますが、赤血球が壊されて貧血を引き起こす「ピルビン酸キナーゼ欠損症」と体内酵素の異常で重篤な神経・筋肉症状を起こす「グリコーゲン蓄積症」という疾患が知られています。
これらは遺伝子検査でリスクがわかります。ブリーダーから迎える場合は、親猫の検査履歴を確認させてもらうとよいでしょう。
まとめ
大型猫種は、メインクーンのように社交的なタイプやラグドールのようにお互いにスキンシップを楽しめるタイプ、ノルウェージャンのように知的で一緒に遊べる活発なタイプなど、同じ大型猫の中でも傾向はさまざまです。
もちろん、猫なので個体差はありますが、多くの家庭で飼いやすい傾向にあるのも、大型猫の魅力といえるでしょう。
ただ、これらの魅力の裏側には、毎日の被毛ケアや繊細な健康管理、運動不足や暑さへの配慮といった飼い主としての責任と多少の手間が伴います。
特に遺伝的な疾患へのリスクは見た目からはわかりにくいため、しっかり知識を持ち、信頼できる情報源とつながっておくことが大切です。
(獣医師監修:唐野智美)