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【「ゆるキャン△」コミック17巻】 目からうろこ。「キャンプはご飯食べる時間以外はだいたい暇」

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は3月27日に第1刷が発行(奥付)されたあfろさん(浜松市出身)の「ゆるキャン△」コミック17巻を題材に。

各務原なでしこと斉藤恵那が、初キャンプの後輩・瑞浪絵真を連れて、群馬県内でキャンプ2泊。榛東村の榛名山東麓のキャンプ場は、薪が無料。野反湖畔のキャンプ場では冷え込みを警戒してバンガローに宿泊する。

16巻は電車とバスを分刻みで乗り継ぎ、横川鉄道博物館やレトロなカフェなど各所を巡る展開だったので、キャンプの描写はほとんどなかった。17巻はそれを取り返すかのように、キャンプ場で料理や景観を楽しむ場面が続く。

群馬の郷土料理「焼きまんじゅう」を丸めたマッシュポテトや長ネギと一緒に串に差して焼く「やきとり風焼きまんじゅう」。本来は讃岐うどんで作る香川県坂出市の郷土料理を水沢うどんで仕立てる「裏切りのぴっぴ飯」。なでしこの料理の創造力が光る。

野反湖畔のキャンプ場では「キャンプ場で何をするか」についての本質的な問いかけがあった。午後4時前にバンガローに荷物を入れ、夕食を作るまでの間の時間をまったり過ごす3人。恵那が言う。「キャンプはご飯食べる時間以外はだいたい暇だから 外でうまく暇潰しができる人はキャンプに向いてる」。そう言って彼女はホームセンターで売っているパラコードで愛犬のためにハーネスとリードを編む。

キャンプは暇。そう考えたことはなかった。自分のソロキャンプを顧みると、意外に忙しい。焚火をしながら読書する。薪の燃え方に注意を払っていないと、下火になってしまう。ビールを飲みながら、別の極小バーベキューコンロではんぺんを焼く。はんぺんの状態から目が離せない。手元の本の物語も進んでいく。かなり忙しい。

本来は「何もしない」を楽しむことこそキャンプの醍醐味だろう。せっかくキャンプに来ているのだからあれもこれもやらなくては、と自分で自分を急き立てては本末転倒だ。チェアに座り、木々のざわめきや鳥の声を耳に入れながら本を開く。近いうちにそんな時間の過ごし方を実践しよう。「ゆるキャン△」から教わることは多い。

(は)
 

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