寂しさに耐えきれずマッチングアプリを始めたら、8割がロマンス詐欺師だった 〜46歳独身の告白〜
46歳、独り身。寂しさは突然やってくる。定期的に連絡をしてくる女性は、日本語の危うい詐欺師のみ。このままで良いのだろうか……と孤独に耐えかねた私は、マッチングアプリをダウンロード。
まだ始めてから1週間も経っていないが、これはもうダメだと諦め、アプリは削除するつもりだ。一体何があったのか。簡単に説明したい。
・なにげにみんな使ってて実際に出会ってる
私がダウンロードしたアプリは、おそらくマッチングアプリ界の中では最大手とも言える有名なヤツだと思われる。知人の女性もソレを使って恋人を見つけたとの話は聞いていた。
なかでもビックリしたのは、そのアプリで知り合い、結婚まで行ってしまった別の知人までいること。なにげにみんなメチャメチャ使っているんだな……との驚きもある。
しかし私は、けっこう面が割れている……気がする。とはいえ、街で声をかけられることも滅多にないし、気づく人は皆無なのでは? との計算もあった。
かくして、プロフィールを登録。まじめに顔写真も堂々と何枚も載せた。名前は「G」で職業はIT関係。言える範囲のことは、すべて正直に記入した。
表示される女性で、「おっ……」と思う人には「いいね」を押した。でも、無料会員は数に限りがあるようで、数名にしか「いいね」は押せなかった。
ところが!
「マッチングしました!」
え? もう? どうも、こちらが「いいね」で、相手も「いいね」だと「マッチング成立」となるようで、メッセージも送れる的なシステムらしい。
しかも相手からメッセージが届いているらしい。さっそく読もうとするも、ボカシ的なのが入ってて開けない。それでも強引に開こうとすると……
「メッセージを読むにはお金が必要です」
みたいな警告が。クゥ〜〜。読むだけでもお金かかるんか……。しかもけっこう高い。
1年だと割安だけど数万円が一気に吹っ飛ぶ。ほか、半年、3ヶ月とプランはあるが、“もっとも割高だけど最安” の1ヶ月コースで課金することに。
価格は1ヶ月4800円。
たった1通のメッセージを読むだけのために4800円を支払うのも癪(しゃく)だけど、もしもこのメッセージが運命の出会いだったら……と考えると!
だって知人は結婚までしてるんだぞ? 別の知人は恋人を見つけ、もうかれこれ3〜4年は幸せに過ごしているのだぞ? それを考えたら4800円なんて激安だ。
ということで課金!
メッセージを開いた。
そしたら!
ロマンス詐欺師(台湾人設定)だった……。
詐欺師と戦う「迷惑メール評論家」として活動し始めてから15年あまり。私ほどのプロになると、文面や顔写真だけで詐欺師かどうかを瞬時に判断できる。
しばらくメッセージのキャッチボールを繰り返したが、やればやるほど詐欺師としての疑いは確信に変わり、いつしか彼女は「強制退会済み」と表示され連絡が取れない状態になっていた。
そう、誰かに通報されたのか強制退会=やっぱり詐欺師だったのである。
その後も、私とマッチングする人たちは、ほぼほぼ詐欺師。ほとんどの者は、SNSのDMから始まる詐欺師と同じくLINEに誘導して、ロマンス詐欺(投資詐欺)を狙っていた。
どんな詐欺なのか具体的に書くと、数日間は普通の会話をして仲良くなり、頃合いを見計らって「私はこれだけ裕福です」とお金の話を持ち出し、「投資したら儲かる」や「この仮想通貨を買えば儲かる」 → 真っ赤なウソで、お金を騙し取るみたいな手口である。
もちろん、私の知人たちのように、うまくマッチングされる人もいるだろう。そしてそれが普通なのだろう。しかし私は、相性なのか、運命なのか、やりとりした9人中7人が強制退会=詐欺師だった。
その確率は約8割(77.78%)。
ほぼすべて詐欺師やんけ……!
なお、そのうちの1人の詐欺師とは、今でもLINEでやりとりをしている。かなり長い期間をかけて儲け話に誘い込もうとする、凄腕のロマンス詐欺師(中国人設定)であるが、なんだか雰囲気的にAIっぽい。
しかしこちらもこちらで、詐欺師相手には “ここぞ!” という場面以外はAIを駆使して返事したりもするので、事実上「AI vs AI」という近未来の戦いがLINE上では繰り広げられている。
とりあえず、恒例のチャーハンのレシピ(※詐欺師のレシピ)は聞けたのでヨシとするが、結局、私は、4800円ものお金を払って何をしているんだろうと思ったりもする。
たとえ相手がAIであろうとも、それを駆使しているのが女性であれば、まだかろうじて慰めになるが、「女性のふりをしたオッサン」だったとしたら、状況的にはかなり虚しい。
かたや日本人のオッサン(46)がAIを駆使してチャーハンのレシピを聞き出そうとする。かたや海外のオッサンが、女性のフリをしつつAIを駆使してお金を騙し取る詐欺を仕掛ける。
「最先端おっさん vs 最先端おっさん」でもあり、ある意味では「詐欺師 vs 詐欺師」でもあり、「日本 vs 海外」あるいは「国防の戦い」と言えば崇高な雰囲気もあるが、虚しさはぬぐえない。
結局、私みたいな人間がマッチングアプリをやっても、定期的に連絡をしてくれるのは日本語の危うい詐欺師のみで、その人数が増えるだけってことが今回わかった。
余談だが、私「G」が「GO羽鳥」だと気付いた女性も1人いた。もう1人は常識ある真面目な方。そして残りの7人はロマンス詐欺師というのが、今回私がロマンスを求めて入り込んだマッチングアプリの実情だった。
聞けば、マッチングアプリもシステム内にAIが搭載されており、会員と会員のマッチングにAIを使って、マッチ率が高まる工夫がされているのだとか。
しかし私と相性がもっとも良いのは、そして話が弾むのは、今も昔も詐欺師らしい。
もしかしたら、システム内のAIは、私が迷惑メール評論家ということを知った上でロマンス詐欺師をあてがってくるのかもしれないが、もしもそうだとしたら驚くべきマッチ率である。
いずれにせよ、ここに私の憧れたロマンスは無いと判断。私がマッチングアプリで得たものは、未知なるチャーハンのレシピだけだった。
執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
こちらもどうぞ → 『GO羽鳥の【実録】迷惑メールシリーズ』