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木場・東陽町・南砂町さんぽにおすすめ14スポット。寄り道が楽しいリトル・ウォーターフロントへ!

さんたつ

江東区政の中心・東陽町がありながら、地域住民から言わせるとどうにも主役になれないこのエリア。でも灯台下暗し。運河と川と親水公園に囲まれた街をじっくり巡れば、思わぬめっけもんと出合えます。

姿を変えていく街にも生まれる面白み

散策の始まりは南砂町、遠目からも白さが際立つ『PAYU & COFFEE』でモーニング。インドネシアの豆は方々で飲まれているけど専門店とは珍しい。このオシャレさも南砂にはまばゆい。なぜここに?

インドネシア人の母娘が営む『PAYU & COFFEE』店内。娘のアリファさん(右)とスタッフのジェイさん。壁画は母のニンさんがデザイン。

「家賃の安さと、まだカフェが少ないと思ったからです。この街は住宅地でイオンもあります。私の故郷と似ています」と、流暢に話すアリファさん。意外な共通点にインドネシアがぐっと近づいた。

南砂町は地味めな住宅地。駅は公園の中にあり、一住民としてはそののどかさが気に入っている。工場の街でもあるが、それらは徐々にマンションや大型店舗に姿を変えていて、正直、面白みを感じられずにいた。が、身の回りこそパトロールは大事。神田の古書店ばりの外壁本棚が圧巻の『たなべ書店』では、夜間営業に開運古本福袋なんて試みを始めていた。

南砂三丁目公園前にもある『たなべ書店』の支店。
文庫本5冊セットで300円の「開運古本福袋」。装飾も愛らしい。

工場ばかりだった飲食店不毛地帯には『砂町珈琲』がかぐわしい匂いを放ち、葛西橋通りには売り切れ御免の『おにぎりそれとみそしる』もオープン。でもまさかDJのかけるクールなジャズで迎えられるとは! 実は店主の小松夫妻もDJが趣味なのだ。

小松経夫さん、恵さん夫妻が営む南砂町のニューウェーブ『おにぎりそれとみそしる』。

オフィスと住宅地と小さな店。バランスの良さと水の景色

車の免許更新でしか来ない都民も多いだろう東陽町は、江東区民にとっては区役所所在地としてお世話になっている。永代通りと四ツ目通りを中心に大きなビルが林立し、有名企業のオフィスもなぜか多い。が、その裏はすぐ路地と小さな店と住宅が顔を出す。『古本と肴 マーブル』の蓑田沙希さんはその加減がちょうどいいと言う。
「住む人と働く人、そのどちらもいてバランスがいい。地方出身者からすると、東京ってもっとギュッとしたイメージでしたが、道が広くて、公園も多く、ゆったりしていますよね」

『古本と肴 マーブル』を営む蓑田沙希さん。
砂町橋から見た仙台堀川公園。自転車道のカーブが気持ちよさそう。
青銅色の凝った欄干と重厚な石造りの柱の尾高橋。

そう感じさせるのは地域一帯の水路の多さもあるのだろう。縦横に走る川、掘割を整備した親水公園は、空がスコーンと開けて爽快! 汐浜運河に沿ってたどり着いたのは『CONTAINER CAFE 2187』。ウッドデッキから眺める水の景色は、見えない海を感じるから不思議だなあ。

『CONTAINER CAFE 2187』のドリンク(自家製レモネード400円)とウッドデッキの景色。

水辺の多さが街に間を与える、深呼吸できる街

さて、大横川を越えれば木場。
昔は貯木場、今は木場公園の存在感が大きいが、「今も材木の商社があって、木の街なんです」。そう教えてくれたのは、木場橋のたもとの『EARTH+GALLERY』の坂丸弓乃さん。天井高4mのこのギャラリーも材木店の元倉庫だ。
「アートってせわしない気持ちでは見られないじゃないですか。ここは現代美術館も近くて、都心なのに緑も水辺もあって、深呼吸ができる街。だからゆっくり楽しめると思うんです」。

大横川に架かる新田橋。写真映えする真っ赤な人道橋だ。

車通りも気にせず歩ける木場親水公園をゆるゆると南下すれば、もう日暮れ。高速脇の目立たない雑居ビルで見つけたのは『Outdoor Café テント』。7階でアウトドア?と首を傾かしげつつ入店すれば、おお、一面人工芝! チクチクしない極上の柔らかさに驚いた。
「2018年から開いてますが、木場の人も知らなかったと未だに言われます」と藤井のぞみさんが苦笑する。「キャンプに興味ある人に雰囲気を伝えたい」というだけあって、ふわっとした気軽さが居心地良い。

店で燻(いぶ)したベーコンにソーセージ、シェラカップの炊き込みご飯をモリモリ食べてたら、窓の遠くにちらりと木場公園。

過ごしやすい季節には、あちらでのピクニックも楽しみたい。

『PAYU & COFFEE』で100%インドネシアコーヒーを満喫

アメリカーノと塩バターパンのモーニングセット700円。

白とターコイズブルーが爽やかなカフェは、インドネシア人の母娘が2022年開店。3種のシングルオリジンをはじめ、コーヒーメニューにはすべてインドネシア産スペシャルティコーヒー豆を使う。
独特な麺のランチやスイーツもあり。

●10:00~17:00(土・日・祝は9:00~)、月休。
☎03-6659-8554

インドネシアにちなんだ雑貨も販売。

『たなべ書店』は訪れるたび出合いがある、知の殿堂

37年間、正月以外無休を貫く頼もしき古書店。35坪の店内に170台の棚が連なり、あらゆる分野を網羅する。
死ぬまでに読んでおきたい本の棚、無人販売の夜間営業など、店主・田辺敏男さんの取り組みもユニーク。映画チラシなどの品揃えも必見だ。

●10:00~20:00(支店は12:00~17:00)、無休。
☎03-3640-0564

『砂町珈琲』バリスタと菓子職人がホッとひと息を提供

内装会社の敷地に構えるコーヒースタンド。福地友悟さんが自家焙煎するコーヒーと鈴木里緒さんが作る菓子が味わえる。
飲食スペースもあり。カフェラテ450円、スイートポテトタルト430円(季節限定)、サブレコーヒー200円。

●9:00~18:00、無休。
☎03-6766-8504

『おにぎりそれとみそしる』の水曜日だけのお楽しみは……

新潟県下田のコシヒカリを使ったおにぎりが約20種並ぶおにぎり店。DJブースがあり、毎週水曜はDJが登場! この日はscooter akkoさん。
具だくさんの味噌汁や総菜もお供に。

●11:30~15:00(土・祝は12:00~。売り切れ次第閉店)、日・月休。
☎03-5633-7173

明太マヨ150円。
もはや小さなのり弁当 白身フライ230円。

『南砂線路公園』には地下鉄ではない線路がある!?

日本貨物鉄道(JR貨物)の線路跡地を利用した緑道公園。すぐ脇には、越中島貨物駅と新小岩信号場駅を結ぶ越中島線の現役の線路が並走。ときどきレールを運ぶディーゼル機関車が通る!

『古本と肴 マーブル』読みたい人も、飲みたい人もご一緒に

「古本と飲むことが私の中では自然で」と蓑田沙希さんが開くのは、小スペースながら立ち飲みで酒も楽しめる夜限定の古書店。
常時3~6種類ある日本酒は半合350円~。日替わりのおつまみでは盛り合わせ(写真は小600円)が人気。

●18:00~21:00、月・木・金・土営業。
☎03-6311-2410

『CONTAINER CAFE 2187』運河沿いにひっそり隠れ家的デッキカフェ

汐浜運河の角、ウッドデッキの広場にコンテナハウスの売店あり。店主の末光江里さんが自家製シロップの飲み物や台湾まぜそばなどを手掛ける。月1回開催の工作イベントを機に近所の子もふらり。
自家製レモネード400円。

●11:00~14:00(土・日・祝は~15:00)、月休。
☎なし

『三木青雲堂薬局』薬屋の枠を超えた、地域の人の拠り所

サトちゃんがいなければ薬局に思えないモダンな造り。
「多方面から健康に」と4代目の一ノ瀬顕輔さんは好きなカレーをはじめ、オーガニック食品やエコな日用品も並べ、イベントも開催。娘さんを抱く妻・菜津子さんも薬剤師で漢方に強いぞ。

●9:00~19:00(木は~18:00、土は~17:00)、日・祝休。
☎03-3644-0667

創業は大正2年(1913)。当時には珍しく雑貨も扱っていたとか。

『パンソロ』は、夏だけ旅人になるパン屋さん

築60年の建物でひっそり一人パンを焼く上原浩司さん。なんと夏は休んでバイク旅に出る。
パンはおかずパンが多めで全品150円。サケの中骨を調理した骨ぱんなど、独創的な品多し。試食コーナーもうれしい。

●9:00~売り切れ次第閉店、水・祝休。
☎070-8529-1151

『Modern liquor(モダン リカー)』ゆっくり試飲して納得の1本を!

限りなく自然に作られたナチュラルワインを200種類、600本揃えるワイン店。納得して買えるようにとなんと席で試飲が可能!
基本1杯500円~だが、100円分など好みに合わせて対応してくれる。1本1230円~。

●12:00~20:00、木休。
☎070-8936-8432

おなじみの味も限定品も、ここに集結!『オタフクソース東京本部ビル』

広島といえばのオタフクソースの東京の拠点が木場に。1階のウッドプレイス ショールームでは、ソースもお好み焼の材料も販売。
6階には開業希望者向けに本格的な鉄板完備の研修センターも。お好み焼教室も開催。

●10:00~12:00・13:00~17:00、土・日・祝休。
☎050-3507-8799

『EARTH+GALLERY』空間ごと楽しみたい現代アート

倉庫をリノベーションしたアートギャラリー。この日はガラスと鉄の藤原京子さん、木の彫刻家の奥村拓郎さんの作品展。「カフェもあるので長居して空間ごと楽しんでほしい」と館主の坂丸弓乃さん。
川辺のデッキに通じる外の小道でも散策を。

●12:00~18:00、不定休。
☎080-5658-2738

『Outdoor Café テント』冬でもぬくぬく、キャンプ気分!

キャンプ好きの藤井雄作さん、のぞみさん夫妻が営む店は厳選したフカフカの人工芝が一面に。アウトドアグッズとボリューム満点の料理に囲まれれば、お手軽キャンプ気分。バーナーでマシュマロをあぶるスモアサンド550円も盛り上がる。
特製ドライカレー950円、ミックスグリル1450円、チャイ550円ほか。

●11:00~18:00、不定休。
☎03-5875-9560

『平久橋』川の名前が付いています

関東大震災の復興橋梁の一つで、昭和2年(1927)に平久川に架設。ワーレントラスの鋼橋には漢字とひらがなで大きく名が書かれている。長さ32mの橋を渡れば門前仲町エリアだ。

取材・文=下里康子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年1月号より

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