【横浜市】「警察官」かたる詐欺が増加 磯子区で1億円超の被害も
警察官をかたって金銭などをだましとる特殊詐欺被害が、全国的に増加している。磯子警察署は9月2日、この手口で80代男性が約1億2500万円相当の金塊をだましとられた被害があったことを公表した。金沢警察署管内でも同様の手口による被害が確認されており、両署では被害にあわないよう注意を呼び掛けている。
偽の手帳や逮捕状提示
両署によると今年8月末までの特殊詐欺被害の認知件数は、磯子署管内で35件、金沢署管内で61件。被害額は磯子区が約4億円超、金沢区が3億円超に上る。そのうち「警察官かたり」の手口は磯子区が18件、金沢区が14件だった(数値は暫定値)。
「警察官かたり」の手口では、警察官を装った相手から「あなたの逮捕状が出ている」「口座が不正に利用されている」といった電話から始まることが多い。「このままでは逮捕することになる」と脅し、メッセージアプリなどのビデオ通話をかけさせ、偽物の警察手帳や逮捕状を見せて相手を信じ込ませるという。続けて「逮捕されないためには、あなたの資金を調査する必要がある」などと話し、指定の口座へ入金させることなどで金品をだましとる。
磯子署での被害も典型的な手口だった。今年7月、80代の男性の携帯電話に警察官や金融庁職員を名乗るものから、「詐欺事件の関係者として逮捕状が出ている」「持っている現金を金に変換して調査しないと身の潔白を証明できない」などと連絡があった。その後、ビデオ通話で警察手帳や逮捕状のようなものを見せられて男性は話を信じ込み、相手に言われた通り3回にわたって金塊を指定された駐車場に置き、合計で約1億2500万円相当をだましとられたという。
磯子署の担当者は「警察官が電話でお金や口座の話をしたり、ビデオ通話で警察手帳や逮捕状を提示することはない。そうした連絡があったら、詐欺だと思って対応しないでほしい」と注意喚起する。
若年層も注意を
特殊詐欺の他の手口では高齢者の被害が多かったが、両署によると「警察官かたり」の場合は全国的に若年層の被害が多い傾向にあるという。実際に磯子区では40代、金沢区では30代の被害が確認されており、両署では世代に関わらず被害にあわないよう注意を呼び掛けている。
金沢署の担当者は「全国で見ても20代、30代など若い世代の被害が出ている。高齢者だけの被害だと思わないで、警察官を名乗る電話などがあれば、すぐに最寄りの警察署に通報してください」と話す。