【町田市】南成瀬中 部活動の未来担う新モデル 学校が自らNPOを立ち上げ
中学校の部活動を地域人材にゆだねる「部活動の地域移行」。町田市立南成瀬中学校で今年度、取り組みが進んでいる。学校を主体としながらも、運営の核を地域にゆだねる方法を取り入れ、同校の杉浦元一校長は「現在多くの方に支えられている生徒がいずれ地域を支える存在となっていく。そんな循環を生んでいければ」と話している。
部活動の地域移行は教員の業務増加を背景に学校だけでは部活動を支えきれなくなっている現状などから国が進めているもので、完全移行を目指している。ただ、町田市内では杉浦校長によると議論が進んでおらず、「このままでは子どもたちの活動場所が失われる」と学校独自で動くことを決意。学校とは別の団体を立ち上げ、活動をスタートさせたという。
南成瀬中が立ち上げた一般社団法人を通じて始めた新たな形は学校と地域が密接に連携していく形を取る。教員の勤務時間である午後4時45分までは「部活動」として顧問の教員が指導に関わり、それ以降や土日・休日、長期休業の際などは地域の指導者が主体となる「クラブ活動」として部活動を行う。顧問と地域の指導者は指導方針を共有し、役割を分担。これにより、学校としてのまとまりや教育的意義も失わない形で指導者の専門性を確保できるメリットがあるという。
一方で、運営資金は保護者から年会費3千円と活動回数に応じた月会費を徴収し、保険料や指導者謝礼などに充当。「今まで無料だったのに」という反発もあったものの、説明会を重ね理解を得ていったという。
運営が安定
新たな部活動の形が始まって9月で5カ月。運動部では専門的な指導を受け、生徒が練習メニューを自主的に考えるようになり、「部活動が楽しい」という声も聞かれているという。以前は教員の負担増や、異動で部活動の継続が危ぶまれたり、廃部に至るケースがあったものの、部活動を別法人で運営することで異動した教員が継続して指導できるようになるなど、「安定して部活動を運営していく環境が整ってきた」と杉浦校長は力を込める。
「地域貢献」必須
この新たな取り組みは地域貢献活動にあたることも必須とする。地域の祭りや防犯パトロールなどの手伝いを行うことを課し、「現在多くの方に支えられている生徒がいずれ地域を支える存在となるようにしていきたい。そんな循環を生んでいければと考えている」と杉浦校長。こうした活動は地域の共感を呼び、地元町内会や商店会から寄付という形で支援してもらうことにつながっているという。
南成瀬中の部活動・地域移行に協力する町田ゼルビアスポーツクラブの渡邊さや香さんは「総合型地域スポーツクラブとしてお手伝いしていければ。南成瀬中さんの先駆的な取組みを勉強させてもらいながら、一緒に子どもたちの居場所づくりを進めていきたい」と話している。