愛猫と『生活リズムがズレてしまった』ときの対処法4選 無理なく合わせてもらう方法とは
︎猫の睡眠について
猫は夜行性と思われている方も多いのではないでしょうか？
確かに人間と比べると猫のほうが夜、活発になるイメージですが、実は猫は夜行性ではなく、明け方と夕暮れ時に活動する薄明薄暮性動物です。
猫の飼い主さんから「うちの猫たちは電気を消すと大運動会が始まる」という話を聞く事も少なくありません。
これはあたかも夜中に活動的になっているように見えますが、電気を消した直後というのは、暗くなってすぐなので、猫にとっては夜中でなく夕方のような気持ちになっているのかもしれません。
︎人と暮らす猫の睡眠スタイル
猫は本来は薄明薄暮性動物ですが、自ら食物を確保しなくてもよい現代の飼い猫では、飼い主の生活パターンに合わせて独自の生活スケジュールを構築します。
たとえば、会社勤めで日中留守の家庭では、飼い主の帰宅時間に合わせて活動的になり、深夜生活者の飼い主の場合もそれなりに生活時間を調整し適応してくれます。
︎猫と人の生活リズムを合わせる方法
ところが、何らかの原因で猫との生活リズムがズレてしまうと夜中に大声で鳴いたり、家中を走りまわったりして、飼い主さんの睡眠を妨げてしまいます。
そんな時に、猫の生活リズムを戻していく対策を4つご紹介します。
1.ご飯を与えるタイミングに注意する
「狩り→獲物を捕らえる→食べる→毛づくろい→寝る」これが本来の猫の自然な生活スタイルです。
ですので、まずはいつでもご飯が食べ放題の状態ならば、それを辞め、その日最後の食事は飼い主さんが就寝する数時間前に与えます。
そして、猫をたくさん遊ばせて猫の狩猟本能を満たすことが重要です。
健康を害する可能性があるので食後すぐはやめましょう。
沢山遊んで、食べた後に猫が毛づくろいをしたらそろそろ寝る合図です。
そのタイミングで飼い主さんも寝るようにすれば、猫は自然な睡眠スタイルで寝ることができ、飼い主さんとの睡眠時間も合わせていくことができるでしょう。
2.人と活動時間を合わせる
日中よく寝てしまうと、夜に眠くなりにくくなります。
おもちゃを使って遊んだり、なるべく日中一緒にいる時間を増やすことで、活動時間を人と合わせることができます。
また窓から外の景色を眺めることができるように、キャットタワーなどを設置する事も効果的です。
鳥や虫など動きのあるものが見える窓は、猫にとって「テレビ」の様なもので、猫にとって最も重要な狩りの要素をリラックスしながら楽しむことができます。
日中お留守番の長い猫でも、窓が眺められる場所を用意してあげることで、退屈して日中に寝過ぎてしまう事を予防できるでしょう。
3.完全に無視する
夜中、走り回る猫やずっと鳴き続ける猫を無視することは難しいですよね。
しかし、猫との生活スタイルを合わせていきたいならば、夜間の猫の問題行動を「完全に」無視する事が必要です。
起き上がったり、名前を読んだり、ご飯をあげたり、遊んであげたり、叱ったりするのも望ましくありません。
猫にとって良い反応であろうと、悪い反応であろうと、とにかく関心を向けないことが重要です。
そうして、来る夜も来る夜も飼い主さんが反応せず、どんな行動をしようと何も起こらないのだとわかると、猫は少しずつそうした行動を辞めていきます。
4.避妊去勢をする
避妊去勢をしていない猫では、発情期に活動が活発化します。
発情期が来るのは雌猫のみですが、近くにフェロモンを発する雌猫が存在すると雄猫も誘発されて雌猫に反応します。
この様な発情による活動や夜鳴きは夜間でも起こるため、それが原因で人と生活リズムが合わない場合には、避妊去勢手術を実施すると改善する場合が多いです。
︎病気や高齢が原因のことも
高齢猫で多い甲状腺機能亢進症では症状である活動性の増加や多飲多尿によって、夜間の覚醒や夜鳴きを引き起こすことがあります。
食欲はあるのに痩せてきたり、毛艶が悪くなったり、下痢や嘔吐など消化器症状が見られたりする場合にはこの病気を疑いましょう。
また、腎臓疾患のある猫は症状の程度によっては体力が低下しやすく、その影響で寒さにより夜中に起きてしまうことがあります。
夜間の活動性や夜鳴きが改善されない場合にはこのような体調の変化の可能性があるため、動物病院を受診することがおすすめです。
病気でなくても、高齢の猫では目が悪くなったり、耳が悪くなったり、痴呆になることで、夜中に電気を消すと方向が分からなくなり、騒いだり鳴いたりしてしまうことがあります。
その場合には、寝床を飼い主さんが寝ている場所のそばに置くと、安心感から眠れるようになるかもしれません。
︎まとめ
猫は昼行性ではないため、何もしなければ人と生活リズムがズレてしまうことは自然なことです。
人と猫が同じ環境で快適に過ごすために、私たち飼い主が猫との接し方や環境を工夫してあげるようにしましょう。
(獣医師監修：葛野莉奈)