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東京の産後ケア施設を第三子で利用。第二子以降で使うメリット・デメリットを夫婦で振り返ってみた

りっすん

産後間もない母と子に対して、心身のケアや育児のサポートを提供する「産後ケア施設」。費用がかかるものの、産後のつらい時期に母体回復や育児のフォローをしてもらえることから、都心部の働く女性を中心に注目を集めています。

子育てへの不安が大きい第一子の出産時に利用するケースが多いですが、ライターの菅原さくらさんは、第三子の出産時に初めて利用したそう。夫婦が第二子以降で産後ケア施設を活用するメリットについて、妻と夫のそれぞれの視点で振り返っていただきました。

*** 目次
•近ごろ話題の産後ケア施設を「第三子の出産時」に利用した理由
•3泊4日で利用した産後ケア施設での過ごし方
•夫婦が感じたメリット・デメリット

•産後ケア施設の活用は、夫婦だけでなく上の子たちにもメリットがあった
•最大のデメリットは「費用」。また「残される方のワンオペ負担」も
•第二子以降での利用には、パートナーとの協力体制が必須

近ごろ話題の産後ケア施設を「第三子の出産時」に利用した理由

厚労省が「産後ケア事業ガイドライン(※1)」を制定して予算を組んだことで、近ごろ全国の自治体で整備が進んでいる「産後ケア施設」。私は、2024年9月に第三子を出産した時に初めて活用しました。

というのも、わが家は共働きかつ私は“育休”がないフリーランスで、上に二人の子どもがいる状況。「いつもの生活を回す」だけでも大変なのに「24時間体制の新生児ケア」が加わったら、心身ともに負荷が高いことはありありと予想できました。

2016年の第一子、2019年の第二子出産時にはまだまだこうしたサービスが一般的ではなかったためそもそも選択肢に上がりませんでしたが、今回は「出費がかさんでもメリットの方が大きいのでは?」と考え、利用を決意したのです。

(※1)妊産婦と赤ちゃんの健康を守るため、自治体が提供する支援の指針を示したもの。2024年の改定では、産後ケア事業の提供体制やサービスの質の向上を目的に、自治体の役割強化、支援対象の拡充などが明記された。


•参考

•一般社団法人日本産後ケア協会「産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン」が改定されました
•厚生労働省 産前・産後サポート事業ガイドライン 産後ケア事業ガイドライン

3泊4日で利用した産後ケア施設での過ごし方

現在は、病院や助産院、ホテルなどの一部を産後ケア施設として利用できるケースが多いようです。私が今回利用したのは、飯田橋のホテルメトロポリタンエドモント内にある「Mamma Levata」。産後3週間のタイミングに3泊4日、上の子どもたちも順番に呼ぶ形で宿泊しました。


産後ケア施設を利用自宅で過ごす
1泊目 妻&赤ちゃん 夫&8歳長男&4歳次男
2泊目 妻&赤ちゃん&4歳次男 夫&8歳長男
3泊目 妻&赤ちゃん&8歳長男 夫&4歳次男



初日のお昼ごろにチェックインして、まずは看護師さんとの面談。分娩から今までの経過や赤ちゃんの生活リズム、最近の心配ごとなどをしっかりとヒアリングしてくれました。

食事は毎回、お部屋に運んでもらえます。まだまだ本調子でない母体にうれしい、ボリュームたっぷりのヘルシーごはん。料理や後片付けの手間がない食事を、ゆっくりと噛(か)みしめられます。もちろん、外食やテイクアウトを楽しむのもOK。

「産後でも自分の食事をゆっくり楽しめる」「炊事をしなくていい」というだけで、もう大ハッピーでした。

《画像:日によってメニューが変わるのも楽しみに》

昼間は母子ともにのんびり過ごすもよし、ベビールームに赤ちゃんを預けて外出するもよし。私は友達に遊びに来てもらったり、美容室にカット&カラーをしに行ったりしました。産後ケア施設は郊外型が多いなか、Mamma Levataはアクセスのいい都心にあるため、出入りしやすいのが助かりました。

滞在中はバスルームで使える「よもぎ蒸し」が無料でレンタルできると聞き、せっかくだから試してみました。下半身がじんわり温まる感覚がとても気持ちよかったです。

《画像:無料オプションのよもぎ蒸しを体験》

そして、夜は22時ごろの授乳を終えたら、希望に応じて赤ちゃんをベビールームで預かってもらえます。翌朝7時ごろまでぐっすり眠れて、これが本当にありがたい……!

1泊目は一人でゆっくり。2泊目は次男が、3泊目は長男が一緒に泊まり、上の子のケアもたっぷりできました。

夫婦が感じたメリット・デメリット

そんなあっという間の3泊4日を過ごして、どんなメリットとデメリットを感じたか? 日ごろから家事育児を完全シェアしている夫の視点も交えて振り返ってみます。

産後ケア施設の活用は、夫婦だけでなく上の子たちにもメリットがあった

まずは、妻である私が感じたメリットです。

妻のメリット①:赤ちゃんを預けられるので、休める

何より大きいメリットでした!!! 洗濯や食事の支度、上の子たちの対応といった日ごろの家事育児を全て手放して、穏やかな時間を過ごせたのがよかったです。

妻のメリット②:毎日の沐浴や夜間授乳の一部をスタッフさんにお願いできる

沐浴は腕や腰に負担がかかるので、任せられるのはありがたかったです。

母乳の場合、夜間授乳をどれくらい代わってもらうかは胸の張りなどにも左右される部分ですが、私の場合はしっかり預けてゆっくり眠れたことで、その後の母乳育児が軌道に乗ったような気がしています。

また、3人目なのである程度慣れているとはいえ、授乳の間隔や体重の増え具合をチェックしてもらえたのも心強く思いました。

妻のメリット③:昼間も預かってもらえたので、軽く仕事ができた

夜間だけでなく昼間も預かってもらえたので、気になっていた仕事のメールを返す時間もありました。産後も細々と働きたいフリーランスにとっては、集中タイムが取れるのはとてもありがたかったです。

妻のメリット④:上の子たちに、母と二人っきりの時間をプレゼントできた

妊娠中たくさんサポートしてくれた上の子たちに、母と二人っきりの時間をプレゼントしてあげられました。お腹が大きい私をいつも気遣い、ちょっとした家事を引き受けてくれたりしていた兄弟たち。特に妊娠初期は、赤ちゃんが生まれることに楽しみと不安の両方をのぞかせていたこともありました。

夫婦ともに仕事が忙しく、そうした気持ちにしっかり寄り添えていたかといわれると、あまり自信はありません。でも産後ケア施設に1泊ずつしてもらえれば、それぞれの子どもと二人っきりでじっくり過ごせる! これが本当に最高でした。

長男も次男も「お母ちゃんと赤ちゃんを独り占めできる!」と大喜び。ごはんを食べながらじっくりおしゃべりしたり、カードゲームで遊んだり……。夜は赤ちゃんを預けて、久しぶりに寝るまで上の子それぞれに寄り添うことができました。

長男からは「家族みんなで過ごすのも楽しいけど、お母ちゃんとゆっくりできるのは特別ですばらしかった」との声が。ちなみに、自宅に残ったときは父と二人っきりで過ごせて「そっちもすばらしかった」そうです。

産後ケア施設の利用は、子どもたちにとってもメリットがありました。

次に、夫が感じたメリットを聞いてみました。

夫のメリット①:妻が産後ケア施設にいる間は、これまでのルーティンで生活を回せた

「妻が赤ちゃんと二人で産後ケア施設にいる日は、出産前と変わらないルーティンで、上の子たちとの日常生活が回せた」とのこと。子どもたちが大好きな銭湯に出かけて楽しんだりもしたそうです。

夫のメリット②:新生児の“夜勤対応”がなく、上の子の就寝後は仕事に集中できた

新生児時期は毎回、深夜の授乳をミルクで分担してくれる夫。でも、産後ケア施設に預けている間はそれがなくなります。おかげで、上の子たちが寝たあとは産前産後で溜まり始めていた仕事に集中できたそう。

また、施設がたまたま夫のオフィス近くにあったため「退勤時に寄り道して妻子の顔を見られたのもよかった」と言います。

夫婦のメリット:双方に“夜勤対応”の負担をかけずに休める/仕事ができる

これは、夫婦で共通して強く感じたメリットです。

普段から育児は完全にシェアしているため、夜にどうしてもぐっすり寝たかったり、仕事に集中したりしたいときは「相手に“夜勤対応”をまるまるお願いする」ことになります。

ただ、それだと心のどこかで「今自分がこうしている間、夫が/妻がワンオペで頑張ってくれてるなぁ……」と思ってしまい、ちょっと心が休まらなかったりする。だからこそ、深夜は専門スタッフに任せることで夫婦どちらにも負担が偏らないのは、とてもありがたいと感じました。

最大のデメリットは「費用」。また「残される方のワンオペ負担」も

総じて、第二子以降の利用でも非常に心強いサポートとなる産後ケア施設。ただ、夫婦ともに感じたデメリットもあります。

デメリット①:上の子の世話の負担はどうしてもかかる

第二子・第三子での利用においてまず見逃せないのは、上の子たちをお世話する側の負担でしょう。

赤ちゃんのお世話がなくなるとはいえ、日中は第一子・第二子をワンオペしなければならなかった夫には、それなりに負担がかかってしまったなぁと思います。

ただ、それでも「産後のダメージが溜まっている妻を休ませる方が優先」としてくれた夫には感謝でした。

デメリット②:一番のネックはやはり費用

それから、やはり経済的な負担は大きいです。今回、3泊4日の宿泊(1日3食+おやつ付き)でかかった費用は23万4,612円。

24時間いつでも赤ちゃんを預けられて、授乳や沐浴などの育児相談ができ、産後のぼろぼろな身体を休められると思えば、大きな価値はありました。けれど、24時間赤ちゃんを預けるわけではないし、第二子以降でそこまで育児について聞きたいことはないと思えば、割高でもあります。

産後ケア施設を活用したいけれど費用を抑えたい方には、自治体の助成金が適用される提携施設を選ぶのがおすすめです。

例えば、1泊2日のショートステイを利用した場合、自己負担額は渋谷区や練馬区で7,000円、目黒区や横浜市で6,000円、葛飾区ではなんと0円(※2)!

自治体によって費用は変わりますが、民間の施設に比べればいずれもとてもリーズナブルです。

(※2)いずれも2025年3月時点の情報のため、最新情報については各自治体のサイトなどをご確認ください。


•参考

•産後ケア事業 | 妊娠・出産に関する相談・学級 | 渋谷区ポータル
•産後ケア事業:練馬区公式ホームページ
•産後ケア事業(宿泊型) | 目黒区
•横浜市産後母子ケア事業(ショートステイ・デイケア)について 横浜市
•宿泊ケア|葛飾区公式サイト


ただし、提携施設は数が少なく人気のため、予約は困難。産前の面談が必要になるケースもあるようなので、早めの情報収集が欠かせません。

いずれにせよ、多くの産後ケア施設は産後3~4カ月までの母子を対象にしているため、予約・利用はお早めに。

第二子以降での利用には、パートナーとの協力体制が必須

第一子で利用する場合、妻はケア施設で、夫は自宅でゆっくりできるため、費用さえまかなえるなら全方位的におすすめできます。

一方で第二子以降の利用には、そもそもパートナーが「上の子をワンオペで見られる」体制を整えなければなりません。

私にとっては上の子たちのメンタルケアも大きな目的の一つだったため、夜だけ上の子をケア施設に泊めましたが、昼間も上の子とずっと一緒だったら正直そこまで休まらなかった気がします。自宅で夫が見てくれる体制があったからこそ、しっかり休むことができました。

でも、費用や上の子のお世話といったハードルを超えられるなら、第二子以降の利用も大いにアリだと思います。

「母体回復を優先する」「夫婦ともにリフレッシュしたい」「上の子のケア」などの明確な目的を持った上で、家族にとってのメリット・デメリットを考えながら、ぜひ検討してみてください。

編集:はてな編集部 今回宿泊した施設:Mamma Levata

著者:菅原さくら

フリーランスのライター・編集者として働く38歳。​​雑誌『走るひと』チーフなど。人となりに迫るインタビューが得意。夫、長男(9歳)、次男(5歳)、長女(6カ月)との5人暮らし。

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