失恋…人生のパートナーはどこ?恋愛話を大放出して一緒に考えてみたら…【お悩み#89】
はーいみなさん、ごきげんよう!満島てる子です。
ねえちょっと聞いてくれる?
あたくし、北の大地に生きるゲイの女装子34歳、先日がっちりめの失恋をしました!(突然すぎ←)
かつて「一緒にいよう」と誓い合った仲で。
その後、紆余曲折あって別れてはしまったんだけれど、今でも「最終的にはこの人とともに生きていけたら。いつかまた、迎えにきてくれたら」なんて、心のどこかではずっと考えていた大切な相手。
その人から直接報告を受けたんだけれど、彼ったら新しいパートナーができたんだそうで。
「ごめん。殴ってもいいんだ」(本当にこう言われたんだけど焦ったよね)と謝る向こうの顔を見ながら、その場は「なんでよ!マジおめでと!」と精一杯の祝福をして解散。
でもあたしったら、どうも堪えきれなかったらしく。
その夜、我が家の枕には涙なのか鼻水なのかもわからない大量の液体が流れ、それはもう釧路顔負けの大湿原が出来上がりましたとさ。←
ったーーーもう!やってらんねぇぜ!
いやさぁ……どうして恋って、こうもうまくいかないもんなのかしら。
もういい加減疲れたわ。
きょうはそんな、あたしの悩み悶える姿も開示させてもらいつつ(みんな許して!)。
こちらの相談者さんのお悩みと向き合っていきたいと思います。
読者のお悩み 失恋をしてから出会いもなく…人生のパートナーはどこにいる?
あっきーさん!おお、同志よ!
同じ悩みを抱き、共なる望みを乞う者よ!
よくぞ参られた、このお悩み相談ルームへ!(いきなり大仰でごめんなさい…笑)
約8年の間、一緒にいた人との別れ。
激しく鋭いものか、鈍くゆるやかに感じられるものかはわかりませんが、どうあれその痛みはきっと色濃く、深いものであろうとお察しいたします。
辛かったろうに。
そんな中、こちらのコーナーにお手紙を送って下さったこと、こころから感謝申し上げる次第です。## 本当にわからないものだよね
でも、そうね。本当にわかんないよね。
世に言う「人生のパートナー」の作り方とか、見つけ方ってさ。
奇跡のように恋に落ち、一緒にいようと約束をして。
「ああようやく、永遠に共にって感じがする……(嬉)!」と、相手との出会いに無限のロマンスを感じながらとろけられる期間というのは、人にもよりますが、大抵の場合そう長くはなく。
喧嘩がきっかけとなるか、自然消滅となるか。
生活リズムの合わなさから不協和音が生じたりもするし、片方にもっと好きな人ができてしまったり、一緒にいる間に関係性そのものの質が変化してしまったりもして(「恋人というより友達になっちゃって」というのは、あたしの周りではよく聞く別れの理由です)。
様々な理由から、「ふうふ」的な路線の延長上にある「2人でひとつ」のパートナーであることに終止符を打つという決断をする人たちというのは、実際に数知れず存在するようですよね。
おのれも含め、自分の周囲にもそういう人、一定数いるなぁと、振り返ってもそう思います。
こうなってくると正直「誰かと人生ともにする、なんて幻想じゃね?」って気持ち、抱かざるをえなくなってきちゃうわよね……。
(ちなみに最近では、ポリアモリー【注:パートナーをひとりに限らないこと、あるいは限りたくない人】であるから特定の相手を作らない、という方もいますし、そもそもパートナーを必要としないタイプの人もいたりしますよね。「誰かと生きる」ということについても、人々の考え方・向き合い方は多様化してきています)
そうそう、あっきーさんのセクシャリティがわからないから、全く同じ事情だとはいえないかもしれませんが。
あたしの場合も、ゲイ向けのマッチングアプリには登録しているものの、メッセージ来たよ!的な通知を見ることって「あ!流れ星!」レベルのレア度(ゲイがみんなそうとはいえないんだろうけどね。あたしの場合、非モテの自覚が嫌と言うほどあるの…)。
アプリでだめならと、ロマンティックな巡り合いを求めてゲイバーに行ったとしても、結局絶妙に酔っ払ってひとり帰宅するのがオチ。
まさしくあっきーさん同様「さっぱりの日々」を送っているのよね。とほほ。
ゲイに限らずとも、誰でも大人になればなるほど、見知らぬ環境に飛び込む機会というのが減っていきます。
それにきちんと比例して、なかなか新しい出会いを経験すること自体も少なくなってくるはず。
そんな中で、あっきーさんやあたしのように。
ずっとこの人と一緒にいるんだろうな、いられたらいいな、と長年思っていた相手と終わりが来て、離れなければならなくなるなんてさぁ…。
もう!踏んだり蹴ったりにも!ほどがありすぎる話じゃねえかよっ!
どうなってんだよこの人生!(号泣)
……ふぅ、思わず激昂してしまった。ごめんなさい。
あっきーさんの悩みが、どうしても人ごととは思えなくってね。
今回は文調はもちろんのこと、ついついキーボードを叩く手にまで、あたしったら終始力が入りっぱなしです。
あたしなりのAnswer
さて、あっきーさん。
あたし、まずはあなたに謝りたいの。
それはね、さっきも書いたけれど。
あたしったらあなたが今回求めているような、恋愛の先に成り立つ「人生のパートナー」の作り方については、とんと勝手知らず。
恋路のはじめ方について思うところをレクチャーしたところで。
あっきーさんのためになるアドバイスは、多分できない。
そういう意味では、相談してもらったのに、あたしにはあなたに返すことのできる言葉やアイデアが無いんです。本当にごめんなさい。
ただね。あたし、そもそも「人生のパートナー」という存在をどうとらえるべきか、どんな相手だと見なすべきかという点については、実はあっきーさんに伝えたいことがあるのよね。
今回はここから、そこに焦点を当てさせてもらえればと思います。
それでね、あっきーさん。
こんなことを言ってしまうと「いやそれはそう、わかってるし」と、一種の反感を買ってしまうのではとも懸念してはいるのですが。
それでもあえて書いてしまうと。
あたし「人生のパートナー」って、付き合っている相手ひとりだけじゃないんだなと、これまで自分の歩んできた道のりを振り返ってそう思うのよ。
なんなら、今はもう恋愛的な意味でパートナーではなかったとしても。そもそもスタートからロマンティックな関係性でなかったとしても。
各々の人生を歩みつつ、ときに並走し支え合いながら、ともに生き、旅路を進んでいく。
そういう人、あるいはそういう人たちを「パートナー」と言いたいなって、最近は個人的にそう考えているんです。
(とはいえ正直「ベターハーフ」とも言えるような相手への憧れは決して消えてくれなくて…それはそれで困ってるんだけれどね。苦笑)
こないだの失恋しかり。
あたし、恋愛についてはずっと失敗続き。
好きだと思い、この人と末長く結ばれたいと願った男性たちは、ほぼ必ずと言っていいほど別の誰かのところへいってしまいました。
ダメだった。本当にダメだったの。
でも、恋愛的には自分と近しい距離にいなかったとしても、人間関係を続けること自体はできる。
そう信じて、恋路のピリオドがついて以降も、それぞれの殿方とはやりとりだったり、様々なかたちでの交流だったりを続けています。
その結果、家族のようにサポートし合ったり、ときに仕事をともにしたり。
どの人もかけがえのない、自分の人生の様々な部分(パート)を支えてくれる「パートナー(ズ)」になっているのよね。
(冒頭で登場した彼とも、そうなっていけるといいなと考えています)
「パートナーズ」を大切にしながら…
なんならここ数年、その中でも特に今年肌身で感じているのが、人生のパートを担ってくれる人たちは、殿方以外にも本当にたくさんいるし、これまでもいてくれたんだということ。
三重県の家族たちはもちろん、この北海道で出会ったたくさんの先輩や友人たち、店のスタッフやお客様方が、公私ともにあたしを支えてくれている。
書いてしまうとチープですが「人はひとりで生きるものではない」ということを、生き続ければ生き続けるほど、ひしひしと実感させられているんです。
だからね、あっきーさん。
あたしとあなたは、同じ環境にはいない。
同様の人間関係を構築する身ではないけれど。
あたしあっきーさんにも、ぜひ自分の人生の「パート」を担う人たち、いや、すでに担ってくれている人たちに目を向けて、そういう方々を大事にしてほしいなって思うの。
かつてロマンティックなつながりのあった人も、全くそうではない人も含めてね。
最愛にして唯一の「人生のパートナー」。
これがどこにいるかは、誰にもわかりません。
でも、人にはたくさんの「パートナーズ」がすでにいる。
あっきーさん、あなたもきっとそうなんじゃないかしら。
あっきーさんには、ぜひ自分の「パートナーズ」が誰なのかを考えてもらいながら。
その上でいつか、「この人だ!」と感じられる素敵なお相手と出会うことも、どうか諦めないでいてほしいと、同じ願いを抱える身としてあたしは祈っているのでした。
ま・と・め♡
というわけで、今回はあたしの恋愛話も勝手に大放出しながら、「人生のパートナー」について考えてみました。
はぁ、書いたらちょっと失恋の痛み、おさまってきたわ。
あたしにとってやっぱりこのコラムって、皆さんのお悩みと向き合うことを通じて、自分自身がモヤモヤしていることにも切り込んでいけるいい機会なんだよなぁ。
今日は改めてそれを、ひしひしと実感させられる回になったような気がしています。
よーーし、もうすぐ夏!あたしも新しい恋するぞーっ!(単純)
ではではまた次回。Sitakkeね~!
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文:満島てる子
イラスト制作:VES
編集:Sitakke編集部あい
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満島てる子:オープンリーゲイの女装子。北海道大学文学研究科修了後、「7丁目のパウダールーム」の店長に。 2021年7月よりWEBマガジン「Sitakke」にて読者参加型のお悩み相談コラム【てる子のお悩み相談ルーム】を連載中。お悩みは随時募集しています。