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数字が語る、日米スノーシーンのリアル。JAPOWの国が抱える現実と可能性

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BACKSIDE 編集部

日本のスノーボード人口は、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書」によれば、2002年の540万人がピーク。2005年の520万人を境に減少が続き、2020年には160万人に。スキーも同様で、1993年の1,770万人から2020年には270万人まで大きく落ち込んだ。消費者庁の最新データ(2022年)では、スノーボーダー160万人、スキーヤー310万人。これを総人口1億2,000万人で換算すると、参加率は約3.9%となる。

いっぽうアメリカでは、UNOFFICIAL NETWORKSの記事「How Many People Ski Or Snowboard in The United States?」によると、全米スキーエリア協会(NSAA)の統計によれば減少傾向は見られず、むしろ成長を続けている。スノーボーダーは約760万人、スキーヤーは約1,490万人と推計されるが、両方を行う層も多く、単純な合算はできない。雪上アクティブ人口は1996-97シーズンの約860万人から増加し、最新の2022-23シーズンには約1,160万人に達した。

日本には重複を除いたデータがないため単純比較になるが、スノーボーダーとスキーヤーの合計で見ると、アメリカの総人口(約3億4,000万人)に対する参加率はおよそ6.6%と、日本の3.9%を大きく上回る。さらに訪問回数では、2024-25シーズンにアメリカのスノーリゾートは6,150万回の利用があり、過去2番目の多さを記録。平均するとひとり当たり年間5、6日滑っている計算で、頻繁に雪山へ通う層が市場を支えている。背景には長距離移動を伴うバケーション文化や、初心者層・多様性の積極的な取り込みといった業界戦略がある。

数字が示すのは、日本が人口減少と高齢化という逆風のなかにあるのに対し、アメリカは安定成長を続けているという事実だ。ただ、日本にも強みはある。首都圏から雪山までの近さ、100万人都市で年間積雪500cmという世界唯一の札幌の存在、そして、世界中のスノーボーダーを魅了する“JAPOW”と称される極上パウダーと都市機能が隣り合う地理的優位性だ。

灯台もと暗しではないが、この価値を日本人自身が再発見できれば、日本のスノーシーンを未来へつなぐ道はまだ開けている。インバウンドに依存するばかりでなく、国内参加者の裾野を広げることこそが、急務な課題だ。

text+photo:Daisuke Nogami(Chief Editor)

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