【韓国時代劇】キム・ナムギル × パク・ボゴム主演映画 日本の国宝「夢遊桃源図」とは
10月14日、『夢遊桃源図』(原題:몽유도원도)がクランクインしました。
高い演技力に定評があり、世界中にファンを持つキム・ナムギルとパク・ボゴム主演作として熱い視線を浴びている新作映画です。
日本の時代劇を想像させるようなタイトルですが、実は日本の国宝に指定されている“絹本淡彩夢遊桃源図(けんぽんたんさいむゆうとうげんず)”のこと。
なぜ日本の国宝が韓国映画で取り上げられるのか、気になる絹本淡彩夢遊桃源図と映画についてご紹介します。
絹本淡彩夢遊桃源図は、現在奈良県の天理大学附属天理図書館に所蔵されている山水画。朝鮮王朝時代初期から活動していたとみられている天才山水画家・安堅(アンギョン)によって、わずか3日で描かれたという1447年の作品です。
ハングルを作ったことで広く知られる朝鮮第4代国王・世宗(セジョン)大王の第3王子・安平(案ピョン)大君が夢にみた桃源郷を安堅に描かせたものだと言われており、絵には夢の内容を文章にした跋文(ばつぶん)が。
序文と題賛は、当時のその分野に優れた人物らが安平大君の命によって担当しており、芸術的感覚に優れていたとされる安平大君と朝鮮時代の名士がコラボした傑作として後世に語り継がれているとか。
絹本淡彩夢遊桃源図が今なぜ日本にあるのかはっきりとした経緯は分かっていないようですが、韓国の国立中央博物館で一般公開されるなど、これまで3度に渡って本国で公開されたことがあります。
そんな貴重な山水画がこの度、新作映画『夢遊桃源図』の題材に。安平大君を演じるのはパク・ボゴムです。
芸術的感覚に優れ、素晴らしい人間性を持つ人物であったと言い伝えられている一方で、安堅の腕に惚れ込むあまり、故郷に帰りたいという彼の申し出を許さなかったというエピソードを持つ二面性を感じさせる歴史的人物。
しかもどうやら権力に無関心ではなかったようで、彼の心の奥底に眠る野心に気づいた世宗によって、王宮から遠ざけられたといいます。
事実、当初は主に文化人などと共に過ごしていたそうですが、第4代国王・文宗(ムンジョン)の時代に政治的な面において目立ちはじめ、第6代国王・端宗(タンジョン)の王権下では、権力を持つ大臣らと共に、1つ上の兄である首陽(スヤン)大君一派と対立したという記録が。
首陽大君をけん制する目的で巻き込まれたと言われていますが、果たして本作ではどのように描かれているのでしょうか。
そしてそんな首陽大君に扮するのが、キム・ナムギル。絹本淡彩夢遊桃源図によって安平大君のなかにある欲望を読み取り、疑心と不安にさいなまれるキャラクターを演じるそうです。
まだ物語に関する詳しい情報はそこまで公開されていませんが、絹本淡彩夢遊桃源図をきっかけに政治的争いが描かれるのはどうやら間違いないよう。主演の2人がどのような演技を披露してくれるのか期待されます。
また、善行と義理固い逸話が度々ニュースになり、作品では好青年キャラを演じることの多かったパク・ボゴムが、野心を持っていたとされる安平大君をどう表現するのかも、彼のファンにとっては気になるところではないでしょうか。
現段階で公開日は未定ですが、解禁と共に大きな話題を呼ぶことが予想されます。
(ライター/西谷瀬里)