ついに引退…ヤクルト青木宣親の巧打者ぶりをデータで回顧、「人」を残した超一流のバットマン
歴代5位の日米通算2723安打
ヤクルトの青木宣親外野手(42)が今季限りでの現役引退を発表した。10月2日の広島戦(神宮)で引退試合を行う。
青木は日向高から早稲田大を経て2003年ドラフト4巡目でヤクルトに入団。青木以外にも阪神に自由獲得枠で入団した鳥谷敬、広島3巡目の比嘉寿光、オリックス8巡目の由田慎太郎とチームメイト4人が一気にプロ入りする早大豊作の年だった。
2年目の2005年に打率.344、202安打で首位打者と最多安打のタイトルを獲得。2010年にNPB史上初となる2度目の200安打(209安打)をマークするなど首位打者3回、最多安打2回、最高出塁率2回、盗塁王1回と輝かしい実績を残した。
2011年オフにポスティングシステムでMLBブルワーズに移籍。その後、ロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツとわたり歩き、メジャーで6年間プレーした。
2018年にヤクルト復帰すると、いきなり打率.327をマークするなど衰え知らずの活躍。日米通算2723安打(NPB1949本・MLB774本)はイチロー、張本勲、野村克也、王貞治のレジェンドに続く歴代5位の記録となっている。
NPB通算打率.3128は歴代6位
NPBのみの2000安打にこそ届かなかったものの、NPB4000打数以上の通算打率ではレロン・リー、若松勉、張本勲、ブーマー、川上哲治に次ぐ歴代6位の打率.3128。落合博満や小笠原道大、長嶋茂雄、篠塚和典らを上回っており、球史に残る巧打者だった。
左投手も苦にせず広角打法で安打量産
青木は左打ちだが、左投手を苦にしなかった。というより、むしろ得意にしていた。投手の左右別の成績は下の通りとなっている。
対右投手は通算打率.306だが、対左投手は打率.327。左腕に強いのは外角に逃げていく変化球にも対応し、レフト方向へ弾き返す技術を持っていたからだ。打球方向別の成績は下の通りとなっている。
打球を3方向に分割すると、レフト方向が打率.375、センター方向が打率.361、ライト方向が打率.335と左に行くほど打率が上がっている。
安打数はレフトが676本、センターが535本、ライトが703本と見事に打ち分けている。
とはいえ、当てるだけの消極的な打法ではなく、NPB通算145本塁打のうち97本はライト方向。引っ張ってスタンドに放り込むパワーも併せ持っていた。
「人を残すは一流」
引退会見では花束を贈呈した村上宗隆が号泣し、つられて青木も涙をこぼすシーンが感動を呼んだ。
村上が球界を代表するスラッガーに成長したのも、ルーキー時代から大先輩の青木に数々の指導を受けてきたことが少なからず影響している。SPAIA編集部には2019年の春季キャンプで19歳の村上に教えを説く青木の姿を収めた写真が残っている。
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名将・野村克也はこう言った。
「金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流」
日本球界に名を残し、ファンの脳裏にも多くの思い出と記憶を残した青木宣親。令和初の三冠王に多大な影響を与え、説き続けてきた金言はいつまでも後輩たちの胸に残るだろう。誰もが認める超一流のバットマンが、惜しまれながらついにユニフォームを脱ぐ。
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記事:SPAIA編集部