“年末年始”がちょっと憂鬱…。「季節イベント」が子どもに与える影響とは?
年末年始。せっかくの休みだけど、親としては正直なところおせち料理の準備も親戚付き合いも面倒。一方、子どもにとって季節の行事や日常と異なる体験はどれくらい必要なのだろうか。季節イベントの意味や大人になったときの影響を考えてみます。
お正月、親戚付き合いや定番行事は必要?
思春期ということもあり、家族との会話が減ってきた小5の息子。年末年始は毎年親戚と集まったり、初詣に行くのが恒例だけどあまり乗り気でなさそう。親も平日の仕事で疲れているし今年は家族だけで過ごそうかな。それとも年に一度の機会だから大切にしたほうがいいのかな。
都心部は特に、年々文化的な行事や地域との繋がりが薄くなってきているといわれています。
思春期にもなると親戚同士の集まりに乗り気でなくなる子も多いよう。
親自身も日々忙しく過ごしていると、必要性がわからなくなったりするかもしれません。
そもそも、季節の行事を親戚同士や地域のコミュニティで過ごすことにはどんな意味があるのでしょうか。
伝統や風習を体験する意味を改めて見つめなおし、有意義な年末年始の過ごし方を考えていきます。
季節の行事は子どもにとってどんな意味がある?
文化の背景にある価値観を学び取る
日本の行事や伝統には、感謝や調和、自然への経緯が込められているものが多くあります。
・正月:新しい年を迎える感謝や希望
・七五三:子どもの成長を祝う喜び
・お盆:先祖への感謝や世代を超えた繋がりを感じる
なんとなく家族の外出に付き合っている、意味はわからないけど神社やお寺、お墓に行っているという子は多いのではないでしょうか。
毎年当たり前に迎えている誕生日も、子どもにとっては「プレゼントを買ってもらえる日」という認識に留まっているかもしれません。
「おめでとう」だけでなく、周囲から「生まれてきてくれてありがとう。この1年元気で過ごせたこと、おめでとう」などと気持ちをこめて祝われる経験は、自分の価値や自信を高めていく感覚にも繋がります。
非日常的な行事の日だからこそ交わせる会話を通して、イベントの背景にある大切なメッセージを共有していけるといいでしょう。
季節の変化を楽しむ感受性を育む
数十年前よりは四季を感じにくくなっている昨今ですが、日本の行事は四季の自然や豊かさと深く結びついています。
・ひな祭り:春の訪れを祝う
・七夕:夏の夜空の星に願いを込める
・十五夜:秋の収穫をめでる
日々の暮らしの中で自然を身近に感じにくい今だからこそ、季節の行事を通して日々の食事のありがたさや移りゆく時間を見つめられるとよいですよね。
また、このような変化を楽しむ感受性は大人になってからより一層大切になってきます。
子ども以上に淡々としやすい社会生活を過ごすようになったとき、日々の暮らしを楽しむ力が糧となってくるからです。
・暖かくなってきたからそろそろお花見を楽しめそう。
・肌寒くなってきたから旬の果物が美味しい時期かな。
・外で過ごすのが気持ちいい季節だからキャンプもいいな。
幼少期に経験した文化的行事や四季のイベントの楽しみは、大人になったときの心の豊かさに繋がっていくんですね。
非日常的なコミュニティとの繋がりを楽しむ
大人になると親戚づきあいや近所とのやり取りを煩わしく思ったり、子どもが成長するにつれて不要と考える方も多いよう。
もちろん、家族がストレスを感じて楽しめないような集まりに参加するのは不要かもしれません。
ですが、家族以外のコミュニティとも繋がる力は子どもにとって大切なもの。
数年後の結果として「あのときの付き合いが生きてくる」経験に繋がりうるかもしれません。
・小学生以降は、年が離れたいとこに人見知りしていたけど、成人してからは自分たちで連絡を取るほど仲良しに。
・幼いころから参加していた地域のお祭りイベント。小学生のときは年上の子に面倒を見てもらう立場だったけど、中学になると年下の子の面倒を見てあげるように。
たまにしか会えないコミュニティの中で、楽しむ力や世代を超えたコミュニケーション力を養っていくのも重要なんですね。
思春期に入ると無邪気に遊ぶ機会は少なくなるかもしれませんが、家族以外との繋がりもできる限り維持していけるとよいでしょう。
毎年のルーティン作業としてではなく、改めて行事や習慣の意味を考えていけると、より心に残る年末年始になりそうです。
家族みんな、有意義な冬休みを過ごしていけるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師