【横浜市保土ケ谷区】桜台小の森再生に地域有志が一役、身近な自然を児童に
保土ケ谷区の桜台小学校の校内にある森を拠点とする地域交流が広がりを見せる。同校の森の整備に携わる地域の有志は12月21日(日)、子どもたちが森の中で遊びを体験できるワークショップ「がっこうの森でたくさんあそぶ日」を開催し、身近な自然の魅力などを発信する。
同校は1968年に横浜市緑化指定校に選ばれたことを契機に、敷地内の森の整備を開始。同校の森は「自然と触れ合いながら活動できる場所」として、これまでに椎茸を栽培する取り組みなどが行われてきた。同校の事情に詳しい地元住民によると、平成10年代ごろまでは児童が授業のほか、休み時間や放課後に森に自由に出入りして遊ぶことができたという。
しかし、ハチの大量発生や予算の関係で管理が困難になったことなどから森が荒廃。児童らの立ち入りが禁止となり、人がいなくなった森は草が伸び、うっそうとした暗い雰囲気に変わった。
地元の絆で整備
荒廃した森を再生しようと立ち上がったのは、がっこうの森でたくさんあそぶ日を主催し、約30人の地元住民らで構成されるグループ「さくらっ子の森の仲間たち」。同グループは2024年夏ごろに結成し、森林の再生に詳しい有識者にアドバイスを求めた。樹木の密集で十分な太陽光が森の地表まで届かず、森の環境状態が悪化していたことなどが分かった。
桜台小は横浜市の助成制度を活用し、森の手入れに必要な資金を準備。専門業者が一部の木を伐採し、健康的で安全な森に戻ってきた。
同グループは代表の伊藤信栄さん=人物風土記で紹介=を中心に森の清掃に取り組むなど、継続的に森の整備に携わっている。さらに、児童と保護者に森の魅力を感じてもらう機会を創出。森の生き物などを観察する企画のほか、授業参観の日に「5分で終わる森のツアー」と銘打つイベントなどを実施してきた。
21日に行われるワークショップは、木の伐採見学や皮むき体験などが盛り込まれている。伊藤さんは「これを機に森の存在を知っていただければ」と話す。ワークショップに関する問い合わせは、さくらっ子の森の仲間たちのメール(sakuradaiptcamori@gmail.com)に送信。
児童が森に命名
桜台小の6年生は総合学習の一環で今年度、森のにぎわいづくりと同校の創立70周年を絡めた活動を実施。森の中に設置されたステージにペンキで色を塗り、70周年のマスコットキャラクターを描いた。また、森の正式名称を校内で募集し、「あつまれさくらっ子の森」と名付けた。
11月29日に同校で行われた「70周年をお祝いする会」では、6年生が学習の成果を発表し、参加者に森の魅力を伝えた。同校の中村真弓校長は「児童が森で元気に学んだり、遊んだりできるのは、地域の皆さんの協力あってのこと。卒業生が学校に帰ってきたいと思えるような運営に取り組んでいきたい」と話す。