アインシュタインが導きだした「宇宙全体の謎を解く方程式」とは【図解プレミアム 宇宙の話】
エネルギーの超膨張がきっかけ
138億年前。この宇宙は「無」から生まれた1点が膨張してできたと考えられています。「無」には、「真空エネルギー」という巨大なエネルギーがつまっていました。これは、いまでも宇宙を膨張させ続けているダークエネルギーと同じものだと考えられています。真空エネルギーは、「相そう転て ん移い」という現象によって解放され、宇宙の膨張が起こりました。相転移を簡単に説明すると、物質が気体↓液体↓固体のように変わっていくことです。
水でたとえると、水蒸気が水に変わるとき、水蒸気の熱が奪われ水になります。奪われた熱は放出されます。これがエネルギーです。つまり相転移はエネルギーを生むということ。宇宙も、真空エネルギーが相転移によって大量のエネルギーを放出し、急激に膨張しました。
これを「インフレーション」と呼びます。インフレーションは最初の1点からビッグバンまでの10のマイナス44乗秒の間に起こりました。これは、わずか1秒の1000兆分の1の1000兆分の1の1万分の1の間のことです。この一瞬で、ウイルスが銀河団以上の大きさになるほどの急激な膨張が起ったのです。
インフレーションがおさまると、その際に放出された熱によって宇宙は加熱され、巨大な火の玉のようになったと考えられます。これが「ビッグバン」です。巨大な火の玉は膨張を続け、やがてゆっくりと冷えていき、クォーク、電子、ニュートリノ、光子などの素粒子ができていったのです。つまり、ビッグバンを起こしたのはインフレーションという急膨張だったのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』