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小学校に入ったら連れて行くと決めていた景色…故郷の光と音にこうちゃんが“もつけ”になった日【いっくじ日記#18】

Sitakke

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HBCアナウンサーの室谷香菜子(むろや・かなこ)がお送りする、「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」。

息子「こうちゃん」の“一言”と、一緒にしたためる一句で、子育ての日々を日々を”一句”(育)児日記につづります!

夏休み!小学校に入ったら一緒に行こうと決めていた、あの場所へ

小学1年生。はじめての夏休み!
ワクワクする気持ちは非常によく分かる。
夏休みまであと何日か指折り数えていたもんね。

でも…
朝5時に起きるのはやめてくれないかな…。
学校がある日は「起きて~!時間ないよ!朝ごはん食べて!」って何度も言わせるのに。

薄暗い中、耳元で「ママ、学校お休みだね。ママ、ママ?アイス食べていい?」

朝5時にアイスは食べません。
もう少し、寝かせてください…。

約1か月の夏休み。
始まる前は長いなぁと思っていましたが、終わってみればあっっっっという間!でした。

途中、まるまる一週間旅行にでかけたことも、そう感じた一因かもしれません。

今年の夏休み、私はどうしてもこうちゃんに見せたいものがありました。
故郷・青森市の「青森ねぶた祭り」です。

毎年、期間中、約100万人が足を運ぶ伝統の夏祭り。
祭りのメインは、夜間運行のある8月2日から6日までの5日間です。

今年はちょうどその時期に合わせて夏休みをもらうことができました。

「こうちゃん!夏休みは、じじばばがいる青森に行ってねぶた見るよ!」

「ねぶた?え~。ちょっと怖いし、うるさいかも…」

うんうん、そう言うと思った。
想定内です。

大きな音が本当に苦手なこうちゃん

こうちゃんが生まれてから、ねぶた祭りに合わせての帰省はしていませんでした。

でも8月に入ると、青森市民の“血”が流れているから?
私の頭の中に、ヒューヒューヒュールルルという笛の音が響くことがあるのです。

そして日頃のストレスを発散させるような「ラッセラ~ラッセラ~!」という踊り手(ハネト)の声と、ドンドドンドンドンという大きな太鼓の音も。

こうちゃんが苦手なのは、この大きな“音”。
小さいころから大きな音が苦手です。

例えば、掃除機をかけるとき。

我が家は比較的大きな音が出るハンディ掃除機を昔から使っているのですが、何も言わずにかけ始めると、こうちゃんはびっくりして声が出なくなるくらい震えて泣き、プチパニックに。

最近はもう何も言わずに掃除機をかけても平気ですが、大きい音にはやっぱり敏感。

花火大会も「音が怖いから嫌」

雷がなる夜は「窓閉めて~!」

窓を閉めているのにさらに閉めてと耳を塞ぎながら言うことも…。

ねぶた祭りは体全体に響く大きな音が魅力です。
それが怖いと泣きだされたら…と思い、今までは毎年諦めていましたが、小学校に入学したら連れて行こう!と決めていたのです。
きっと、大きくなっても夏の思い出として記憶に残るはず。

念のため、リュックにはワイヤレス、有線、2種類のイヤホンを入れて帰省しました。
子ども用のヘッドフォンも。

そして青森に着いた次の日。
8月3日午後7時。
大きな花火の音を合図に、「ねぶた」のパレードが始まりました。


ついにねぶたが…!そのときこうちゃんが

実家から青森市内中心部まではそう遠くないので、夜ごはんは家で済ませてから出発しました。

これも夏休みならでは。
ごはんを食べてから暗い街へ出かけるって、それだけでなんだかワクワクした記憶があります。

「今日はいつもより遅く寝てもいいよね!?夏休みだもんね?帰ってきたら外で花火できるよね!?」

いいけど…、花火の前にねぶた…。

「ねぶた」はその美しさを競いながら、多くの曳き手(ひきて)によって道路の上を回ったり、沿道のお客さんの「こっちこっち~!」と言う声に答えて目の前まで迫ってきたり、滑るように動いたりもします。

大型ねぶたは大きいもので、幅9m、奥行き7m、高さ5m。

夜の街に大きく色彩豊かに浮かび、躍動感たっぷりに約2時間、市内をパレードします。

目の前でみるそれは相当の迫力。
はじめてねぶたに近くで睨まれた人は体が固まってしまうほど。
何度見ても圧巻です!!!

青森市で生まれ育った私にとって、夏といえばこのねぶた祭り。

祖母や親戚と座敷席に座って屋台グルメを味わいながら眺めたり、父と姉とねぶたの衣装を着て、輪の中から祭りを盛り上げて楽しんだり。

高校3年間は放送部で、櫓の上からねぶた祭りの歴史やその年のねぶたの紹介などをするアナウンスの仕事の手伝いも経験しました。

さて、こうちゃんは…。

市内中心部に着いて沿道の席に座ると、「ねぶた、まだ来ない?」「どっちから来る?右?左?」とソワソワ。

どんどん近づいてきて大きくなる太鼓や鐘、笛の音にも怖がることなく、でも落ち着かない様子で待っていましたが…。

私の父が「ラッセラ~!ラッセラ~!」と大きな声で叫ぶと、ニヤニヤしながら立ち上がって、負けじと大きな声で「ラッセラ~ラッセラ~!!!!!」

まさか叫ぶとは思わず、私はびっくり。

父は昔から「やめて!恥ずかしいから!」と母に止められても、囃子に合わせて沿道から大きな掛け声をかけ、周辺に座る人からも注目されていました。

「もつけだものな…」と祖母は言っていました。
「もつけ」とは、津軽弁で「お調子者」という意味。

こうちゃんも、“もつけ”だ…。
はしゃぐ姿が、じじにそっくり。

そういえば、両親と並んでねぶた祭りを見るのも、考えてみたら子どものころ以来です。


あんなに大きな音がこわかったのに

祭りが最高潮に盛り上がる中、こうちゃんは沿道の席の一番前に、同い年くらいの男の子を見つけました。

「ママ、あそこまで行ってきていい!?」と言うので「いいよ」と言いながら、こっそり後ろをついていってみると…

「ねぇ、何年生?俺、1年生。友だちになろう?」

そう話しかけるとぴったりくっついて座りました。

その後の2人の会話は囃子の音や歓声でもう聞こえませんでしたが、地面に落ちた鈴をどっちが早く拾うか競ったりして、とても楽しそう。

こんなに短時間で友だちになれちゃうのか…。

「こうちゃん、楽しい?」と耳元で聞くと、「うん!めっちゃ楽しい!!」と。

そうか、それはママもめっちゃ嬉しい。

気がつくと、こうちゃんは一度も「音が怖い!」と言うことなく、ねぶたのパレードを見終わっていました。

「ねぇ、音は全然怖くなかったの?ねぶたの顔も怖くなかった?」

「うん、ぜ~んぜん、へっちゃら!ママは?怖かった?近くで見るとちょっとさ、怖いとき、あるよね。さ、ママ、帰って花火やろう!」

もう少し、余韻に浸らせてよ…。

真っ暗な帰り道。
当然、「疲れた~。抱っこ!抱っこ!」なんて、ぐずったりしません。

そうだよね、もう小学生だもんね。

大きなかけ声をかける姿も。

初対面の子に話しかけてあっという間に仲良くなっちゃう姿も。

大きな音と光をワクワクした目で見つめる姿も。
(そしてねぶたの顔がちょっとこわいと言っちゃう姿も)

こうちゃんなりに祭りを目いっぱい楽しむ姿を見て、連れてきてよかったな、としみじみ。

帰ってからの花火もしっかり楽しみました!

また少し大きくなったこうちゃんとの思い出ができた、ちょっと特別な帰省の夜でした。


さあ夏休みの絵日記に書いた思い出は?

札幌に帰ってきて、夏休みの宿題・絵日記を書いたこうちゃん。

きっとねぶた、いや、ねぶたは書くのは難しいから、祭り最終日の花火大会のことを書くのかな!?と思っていたら…。

…ザリガニでした。
青森に帰省したとき、姉が住んでいる秋田市にも足をのばし、家の前の沢でザリガニ釣りをしたんです。

初めて見たザリガニに心奪われた様子。
ザリガニの絵が可愛い。

はりきった8月。
9月の休日の予定はほぼ無し。
さぁ、秋はどんな思い出ができるかな。

ここで一句!

おれ平気 心配よそに ねぶたの夜

「連載|室谷香菜子の「いっくじ」日記」

****

文|HBCアナウンサー 室谷香菜子
青森県出身。2009年HBC入社。HBCラジオ「アフタービート」、「美香と香菜子のおさんぽ土曜日」などを担当。2018年第1子(男の子)を出産。趣味は寝かしつけ後のドラマ鑑賞と、美味しいお酒。息子(こうちゃん)との日常はInstagramでも発信中。

編集:Sitakke編集部あい

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