食べ歩きにぴったり!『和牛ひつまぶし 川越 うし川』が手掛けた、小江戸黒豚×A5和牛の旨味弾けるメンチカツ
蔵造りの町並みが広がる一番街を抜け、初雁城(川越城)通りに入る。観光地ムードは少し落ち着くが、風情ある町並みは続き、やはり散策を楽しむ人でにぎわっている。どちらへ進もうかキョロキョロと辺りを見回せば、はためく幟(のぼり)が。そこに書かれている文字は「小江戸メンチ」。これは見逃せない。
和牛ひつまぶし 川越 うし川(わぎゅうひつまぶし かわごえ うしかわ)
和牛料理専門店のメンチカツが話題
幟にある「小江戸メンチ」の文字に引っ張られ、やや前のめりに歩いていくと、金色の牛と目があった。なかなかの迫力で、もう逃げられない。まるで導かれるようにして売り場に並ぶ。店の名は『和牛ひつまぶし 川越 うし川』。店内で食事も楽しめ、和牛ひつまぶしが名物なのだとか。
場所は、川越で約100年続く『松村屋旅館』の一角。館内の一部をリノベーションし、店舗にしているようだ。品書きを確認すると、和牛ひつまぶし御膳(上)、和牛サーロインステーキ御膳など、とっておきの料理を落ち着いた空間で味わえるとある。夜はおつまみも豊富で、COEDOビールと一緒に楽しめるのがいい。
なかでも人気のおつまみが、この小江戸メンチ。元々は「街歩きのお供になる食べ歩きグルメを作りたい」との思いから開発された。するとたちまちファンが増え、店内メニューにも加わることに。
「赤身に絶妙な割合で脂を配合したA5和牛と、ジューシーな小江戸黒豚の挽き肉をブレンドして作っているので、旨味と甘みのバランスがいいんです」
そう話すのは、店長の西尾嘉朗さん。
「小江戸メンチとCOEDOビールの組み合わせはたまりません」と、西尾さん。特に、軽やかな口当たりの「瑠璃-Ruri-」と相性がいいらしい。確かに、ホップのすっきりとした苦味が、肉の旨味を引き立ててくれそうだ。しかも、クリアな味わいが後味をキレよくまとめてくれるだろう。
A5和牛と小江戸黒豚の個性を際立てるこだわりの揚げ方
全国から見物客が集まる川越まつりの日には、なんと「1日で約1500個売り上げたこともある」小江戸メンチ。店内で一から手作りしていて、A5和牛と小江戸黒豚を1:1の比率でブレンドしている。こねる際には「こねすぎないこともポイント」。他の国産黒豚と比べても肉質が柔らかく、加熱しても持ち味が損なわれない小江戸黒豚の特徴が生かされている。
使用するパン粉は、若干粗めのもの。ザクッと歯触り良く揚がるので、空気を含んだ、ふわっとした食感のタネと絶妙なコントラストが生まれる。タネの材料はシンプルだが、みじん切りのタマネギは欠かせない存在。その甘みと辛味が隠し味の役割も果たす。
注文を受けると、高温の油が入ったフライヤーにいよいよ投入する。まず約5分間揚げ、一度バットに取って約2分間休ませるのがルールだ。それからまた約5分間揚げるのだが、2度揚げするのはカラッとさせるためのひと工夫。また、中までしっかり熱が入り、よりジューシーに仕上がる。
あむっとかじると衣がザクッと鳴り、街の音と重なる。「熱い、熱い」と言い、ハフハフしながら食べるのが楽しい。そよ風が香りを運び、鼻先にふわり。満足感も大きく、この後の散策にも精が出そうだ。
川越散策の締めにもってこいの夜メニューも
『和牛ひつまぶし 川越 うし川』の母体は、市内の人気焼肉店『シンラガーデン』。和牛を月間300kg以上仕入れている店なので、「その系列店であるこちらも、安定しておいしい部位を入手できる」のだという。小江戸メンチを片手にぐるっと散策して、締めにまた訪れるのもあり。和牛ひつまぶし御膳(上)をはじめ和牛づくしで、コース料理も用意されている。
ちなみに、川越といえばうなぎなので、「ひつまぶし」と聞くとうなぎを思い浮かべる人も多いはず。こちらの和牛ひつまぶしは、カタサンカクという希少性の高い、脂身と赤身のバランスが良い部位を使用している。和牛ひつまぶし御膳(上)には、そのカタサンカクをローストビーフにしたものと、炭火で香ばしく焼き上げたものが付く。ボリューミーなのに、後者を卓上の七味や山椒で味変しながら食べ進め、最後に実山椒を効かせた牛そぼろご飯にのせ、出汁を注ぐと、ぺろっと平らげられると評判だ。
なお、テイクアウトの小江戸メンチは、軒先の売り場で直接購入可能。小腹がすいたタイミングで気軽に立ち寄れるのもうれしい。A5和牛と小江戸黒豚の魅惑的な出合い。ぜひ味わってみてほしい。
和牛ひつまぶし 川越 うし川(わぎゅうひつまぶし かわごえ うしかわ)
住所:埼玉県川越市元町1-1-11 松村屋旅館内/営業時間:11:29~13:30LO・17:00~20:00LO(土・日・祝は11:29~14:30LO・16:30~20:00LO)/定休日:無/アクセス:西武鉄道新宿線本川越駅から徒歩17分
取材・文・撮影=信藤舞子
信藤舞子
ライター
北海道弟子屈町生まれ、札幌市育ち。現在は東京在住。雑誌、WEBメディアを中心に、街歩きや旅、日本の文化について執筆する。なかでもおやつには目がなく、近著は『東京おやつ図鑑 和菓子編』(交通新聞社)。レコードや着物も好き。