岸田首相の総裁選不出馬表明。決断に至った“引き金”は何だったのか?
8月16日(金)、ニュースキャスター・長野智子がパーソナリティを務めるラジオ番組「長野智子アップデート」(文化放送・15時30分~17時)が放送。午後4時台「ニュースアップデート」のコーナーで、ジャーナリスト・角谷浩一氏を招き、岸田文雄首相の自民党総裁選不出馬表明について話を伺った。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「一昨日、岸田総理大臣が自民党総裁選に出馬しないと表明しました。角谷さんには(この番組に)電話で出ていただきましたが『ちょっと虚をつかれたような感じ』みたいなことをおっしゃっていましたね」
角谷浩一「まぁ一つは、本来なら中央アジアの外遊の日程だったんですけれども、南海トラフの問題があって、総理は外遊をしないという判断をしたと。そこがどのタイミングであの会見にまで繋がったのかが未だにちょっとわからないんですね。巷では、実は来月の上旬発売の月刊誌で自民党総裁選に出馬すると言われている人たちそれぞれのインタビューをやっていて、そのOKをしたくないので、この段階で(表明を)したんじゃないかとか、いろんな(憶測が)永田町では流れてる」
長野智子「えー!?」
鈴木「出し抜かれる前に自分が辞める?」
角谷「出し抜かれるというか、インタビューを受けて辞めちゃうと、いろんなところでまた問題になるし、(月刊誌の)Voiceで喋った内容が最後になる可能性があるわけじゃないですか」
長野「でも、(Voice8月号のインタビューでは)本当にやる気満々ですよ」
鈴木「ですよね?」
角谷「ただね、会見する前の日まで、僕らも含めて大方の政治記者は、(岸田総理は)やる満々だろうと。で、再選のためにもう準備が進められているものだと官邸のスタッフも思っていたと思いますよ。だからこれは何が引き金だったのかということは、まだまだこれからもう少し取材をしなきゃわからないんですけど、実はお盆に入っちゃったり、ちょっと永田町が止まっちゃってるんで、なかなか今は取材ができなくて、来週からもう一回っていう感じですね」
長野「でも、いろいろな記事を読むと、総裁選というよりは、そのあとの選挙で勝つか勝たないかっていうことで判断に至ったってよく書かれているんですけど、その辺はどうなんですか?」
角谷「たぶんね、総裁選を勝ち抜く自信は僕はあったと思いますね。そうじゃないっていう見方をする人も多いけど、少なくとも官邸スタッフは自信を持っていたと思いますね。ですから(岸田総理)本人もやる気満々だったと。ただ、何かが引き金になって、あの会見になったのはわかるけれども、もう明らかな恨み節でしたよね。だから忸怩たる思いと無念さと、政治とカネの責任を取るのは『俺も取るけど取らなきゃいけない人は他にいっぱいいるんじゃないか?』っていうのが行間に滲み出ているし。それから自分がやった功績は色々並べたけど、あれを国民がどれくらい功績だと見たかどうかはまた別の話だったし。後半の政治とカネの話や、質問に出た後継者については自分が何か言う立場ではないけれども『改革を進めて後戻りしない人』だというようなことを言って、少なくとも『あの人とあの人は違うんじゃないか?』っていうことは誰もの心の中に浮かんだ名前があったんじゃないかというようなことを思わせるように行間に含みを持たせる発言があって、岸田さんにしては相当珍しい言い方をしたと」
長野「そう、それが伝わってきたっていうのも、もしかしたら珍しいかもしれない」
角谷「相当珍しい。本心が垣間見えるっていうのが、なかなか岸田さんには出てこないところがあるので、そりゃあ珍しかったと思いますね」