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大河ドラマ『べらぼう』喜多川歌麿役・染谷将太も登壇 『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』記者発表会レポート

SPICE

特別展『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』広報アンバサダー・染谷将太

2025年4月22日(火)から6月15日(日)まで、東京国立博物館 平成館にて、特別展『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』が開催される。

江戸時代後半、遊郭の街・吉原に生まれたとされ、貸本業から開始して多くの作家をプロデュース、無数のベストセラーを生み出した「蔦重」こと蔦屋重三郎(1750~97)。プロデューサーでありマーケターでもあった蔦重は、浮世絵師の中でもとりわけ高名な喜多川歌麿や東洲斎写楽を見出し、世に知らしめたことで知られる。本展はそんな蔦重の活動を追いながら、天明、寛政(1781~1801)を中心とする江戸の多彩な文化を紹介するもので、蔦重を主人公とする2025年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)とも連携。蔦重の出版活動と彼が活躍した江戸の様子を臨場感をもって伝える。

1月27日(月)には記者発表会が行われ、東京国立博物館 副館長である浅見龍介氏、同館学芸企画部長の松嶋雅人氏のほか、『べらぼう』では喜多川歌麿役を演じており、本展の広報アンバサダーにも就任した染谷将太が登場。展覧会の見どころや開催に向けての思いを熱く語った。

特別展『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』記者発表会


出版人にして文化人の「蔦重」

浅見氏、松嶋氏によれば、江戸の出版文化の要となった蔦重は、23歳で出版業に携わり、48歳で亡くなるまで精力的に活動を続けたという。「CHAPTER1 吉原細見・洒落本・黄表紙の革新」、「CHAPTER2 狂歌隆盛 ――蔦唐丸、文化人たちとの交流」、「CHAPTER3 浮世絵師発掘 ――歌麿、写楽、栄松斎長喜」、「附章 天明寛政、江戸の街」という3章+附章の構成を取る本展は、蔦重の軌跡と、彼が生きた江戸の街の姿が見えてくる内容である。

松嶋雅人氏

「CHAPTER1 吉原細見・洒落本・黄表紙の革新」では、吉原で粋に遊ぶ指南書でもある小説「洒落本」、大人向けの読み物であり現代の漫画につながる「黄表紙」(絵入り小説)などのさまざまな出版物を紹介。蔦重による洒落本や黄表紙は江戸の人々の間で人気を博し、朋誠堂喜三二や恋川春町、山東京伝などの人気作家を生み出した。

礒田湖龍斎筆《雛形若菜初模様 丁字屋内ひな鶴》大判錦絵 安永4(1775)頃 東京国立博物館蔵 前期展示:4/22〜5/18

北尾重政・勝川春章画《青楼美人合姿鏡》彩色摺大本 安永5(1776) 東京国立博物館蔵 通期展示 ※会期中、頁替えあり

山東京伝作《箱入娘面屋人魚》墨摺小本 寛政3(1791) 東京国立博物館蔵 通期展示 ※会期中、頁替えあり

蔦重は幅広い人脈で多くの文化人らと交流した。天明期には狂歌が隆盛を極め、蔦重は自ら「蔦唐丸」と名乗って狂歌師として活動、四方赤良(大田南畝)や唐衣橘洲らと関わりながら狂歌集や狂歌絵本を刊行する。「CHAPTER2 狂歌隆盛 ――蔦唐丸、文化人たちとの交流」ではそんな蔦重の、作家や文化人としての側面を知ることができる。

宿屋飯盛撰 / 喜多川歌麿画《画本虫撰》彩色摺大本 天明8(1788) 千葉市美術館蔵 前期展示:4/22〜5/18(後期は別本を展示)

平賀源内作 重要文化財「エレキテル」 江戸時代・18世紀 郵政博物館蔵 前期展示:4/22〜5/18(後期は複製を展示)


名プロデューサーたる手腕

名だたる絵師たちを見出して、魅力を最大限に生かした作品を企画・出版したことでも知られる蔦重。そうした“名プロデューサー”としての仕事は「CHAPTER3 浮世絵師発掘 ――歌麿、写楽、栄松斎長喜」で目の当たりにできる。

蔦重版の作品で特徴的なのは、人の上半身や顔をクローズアップした「大首絵」の構図だ。この手法によって歌麿は多様な女性の心情を描き、写楽は歌舞伎役者の絵28図を一挙発売して話題をさらった。また蔦重は、京都や大阪の遊女を多く描き、江戸にいない女性を江戸に伝えた絵師・栄松斎長喜を世に知らしめた。

喜多川歌麿筆《婦女人相十品 ポッピンを吹く娘》大判錦絵 寛政4〜5(1792〜93)頃 東京国立博物館蔵 前期展示:4/22〜5/18

東洲斎写楽筆 重要文化財《三代目大谷鬼次の江戸兵衛》大判錦絵 寛政6(1794) 東京国立博物館蔵 前期展示:4/22〜5/18

栄松斎長喜筆《大坂新町東ノ扇屋 花扇太夫》大判錦絵 寛政期(1789〜1801) 東京国立博物館蔵 後期展示:5/20〜6/15

「附章 天明寛政、江戸の街」では、蔦重が活躍した江戸の街並みが再現され、まるで大河ドラマ『べらぼう』の世界に入り込んだかのような体験が可能だ。経済と文化が発展し、「大江戸」と呼ばれた天明寛政の江戸は、一体どんな場所だったのか。会場では、蔦重が携わった狂歌や戯作、浮世絵などが生まれた街の雰囲気を味わい、物語や絵に登場する建物や風俗をよりリアルに想像することができるだろう。

『べらぼう』喜多川歌麿役・染谷将太が登壇

発表会には、本展の広報アンバサダーを務め、『べらぼう』で喜多川歌麿役を演じる染谷将太が登壇。歌麿らが描いた浮世絵を見たそうで、「作品を生で見ると、(絵師たちを)身近に感じる。今と地続きの過去に生きていた方々が実際にいたのだと感動しました」とコメント。蔦重という人物については「人間力があって、人と人をつなげる力がある。人間らしさを包み隠さず表せる、エネルギーのある方」と語った。

染谷将太

また、喜多川歌麿役を演じるにあたり、歌麿は「人の痛みが分かる方、なんじゃないかと。悲しみや痛みを抱えている人がいると同じ感情を抱くことができる。だから人の表面だけではなく、内側から出る美も表現できたのだと思う」と分析し、役への強い愛着と深い理解を示した。また本展は「江戸(時代)は遠い世界だと感じている人も、文化は確実に繋がっていて、身近で地続きなのだと感じられると思います」とし、期待と魅力を強調した。

展覧会オリジナルグッズを手にする染谷将太

250点以上もの作品が集結する予定の本展は、蔦重の多彩な業績と足跡、そして彼が活躍した大江戸の魅力を余すところなく伝える内容である。また東京国立博物館では、今後、現代における木版画の魅力を伝える『浮世絵現代』(2025年4月22日(火)~2025年6月15日(日))を表慶館にて、特別展『江戸 大奥』(2025年7月19日(土)~9月21日(日))を平成館にて開催を予定しており、今に受け継がれる木版画や江戸文化に関連する展示が目白押しだ。是非併せて楽しんでいただきたい。

特別展『蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児』は、東京国立博物館 平成館にて、2025年4月22日(火)から6月15日(日)まで開催予定。

文・写真(発表会の様子)=中野昭子、広報画像=オフィシャル提供

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