JR貨物のEF65が来ていた四国の「伊予三島大王製紙専用線」そこでは往年の鉄道シーンが再現されていた!
取材日:‘21.11.22
text & photo:福島鷺栖
今年のダイヤ改正をもってJR貨物所属のEF65の定期運用が終了しました。かつては、西は松山まで足を伸ばしていたEF65も、現在ではその役目を現在はEF210に譲りました。そこで、今回はEF65の四国での活躍、その中でも四国の専用線として多くの貨物ファンに親しまれている「大王製紙専用線」での活躍を振り返っていきたいと思います。
専用線全景。上屋には「大王製紙専用線」と看板が掲げられている
【写真】EF65が貨物の入換作業へ!小さなスイッチャーの動きも見逃せない!写真をもっと見る
■紙の街 昔ながらの専用線
今回紹介する大王製紙専用線は、大手製紙メーカーの大王製紙の本拠地である四国中央市の三島工場に隣接する引き込み線として1970年に開業しました。予讃線の電化までは、DF50やDE10といったディーゼル機関車が入線していた時代もあり、電化後はEF65がその役目を引き継ぎました。専用線は伊予三島駅の構内扱いですが、伊予三島~川之江の上り線の駅間に設けられている点も特徴的です。そのため、列車は一度伊予三島駅へ引き上げて機回しを行ってから専用線に入るという変則的な入線方法をとります。なお、先述の通り伊予三島駅構内扱いのため、入線時は入換灯を点灯させているのも見どころです。
この専用線での主な取扱品目は製紙工場の専用線ですので、紙パルプなどの紙製品が主な取扱の品目になってきます。待機しているトラックの中に、大きな紙製品が積載されている様子を見ることもできます。
上り線に隣接する形で設けられているため、下り方面から来る到着便は一度伊予三島まで引き上げることとなる。なお、この日はJR貨物新鶴見機関区所属のEF65 2066が担当した。
伊予三島で折り返した到着便が1時間ほどして到着。
この専用線では入換を行う引き上げ線の有効長が短いため、入線後は編成を2分割して入換作業を行うのを間近で見ることができます。この入換作業は本務機であるEF65ではなく、スイッチャーが行います。
この日、スイッチャーは2機のみ確認できましたが、実際は3機が常駐しているようです。取材時にはクリーム色の「D15-2」が担当しました。
着荷線に入線した列車の最後尾にスイッチャーが連結される。
伊予三島方に設けられた引き上げ線に、一度引き上げる。
荷役ホームに編成の半分を押し込む。
編成のすべてをスイッチャーが荷役ホームに押し込むと、本務機のEF65が荷役ホーム手前に駐機し、この日の入換は終了となります。国鉄型電機とスイッチャーの組み合わせは、さながら国鉄時代の専用線を彷彿とさせる組み合わせで、個人的な話にはなってしまいますが、雨の中にも関わらず撮影に夢中になってしまいました。
なお、現在も専用線自体は健在で、EF65からEF210に機関車は変わっても、変わらず昔ながらの専用線を見られるのは、貴重な鉄道シーンの一つです。ぜひ、四国へ行く際はこちらの専用線ウォッチングもおすすめいたします。
スイッチャーの入換が終了するとEF65は荷役ホーム線の手前で駐機する。
■JR四国2000系も入線?
‘20.2.23 大王製紙専用線 P:宇田 映
(鉄道投稿情報局より)
余談にはなりますが、2020年2月には専用線が開業から50周年を迎えること記念して、ツアー列車としてJR四国の2000系が入線したこともありました。全国様々な専用線がありますが、特急型気動車が入線した専用線というのも非常に珍しい存在ではないでしょうか。このような機会があれば参加してみたいものです。