珍しい! “タオル”の工場直売所 驚異の吸水力で話題「加藤タオル」【磐田】
パンやスイーツの工場直売所は数多くありますが、「タオル」の直売所は珍しい! 静岡・磐田市にある「加藤タオル」の工場では、上質なタオルを直接購入できます。驚きの吸水力、何度洗っても持続する柔らかさ。魅力を探りに行きました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ県内唯一のタオル工場直売所
磐田市豊浜中野、太田川に近く、住宅や田んぼが広がるエリアに「加藤タオル」はあります。
創業から105年、歴史を感じさせる木製の表札がかかった門を抜けて敷地に入ると、すぐ左手に直売所はあります。
直売所に一歩足を踏み入れると、そこは完全にタオルワールド。
店内の隅から隅まで、さまざまな色や柄のタオルが所狭しと並んでいます。
ここは県内唯一の「タオルの工場直売所」なのです。
どれも自社ブランドのタオルです。
加藤タオル・加藤恵子さん:
全て国産の糸を使用して織り上げています
店内には50種類以上のタオルが並び、その多様さに圧倒されます。
注目のタオルをピックアップ
「わたあめ」「かきごおり」おいしそうな名前のタオル
たくさんあるタオルの中で、大森万梨乃アナウンサーの目にとまったのは、かわいい名前のフェイスタオル「わたあめ(880円)」と「かきごおり(880円)」です。
テレビ静岡・大森万梨乃アナウンサー:
かわいくて、お腹が空いてしまいそうな名前ですね
加藤タオル・加藤恵子さん:
「かきごおり」は冷たいタオルではありません。通常のタオルで使用される糸の半分の細さの糸を使用することで、ふんわりやさしい風合いに仕上げています
実際に手に取ってみると、その軽さと柔らかさに驚かされます。
この柔らかなタオルは、洗顔用としてはもちろん、枕カバーとして使う人もいるそうです。肌に触れる製品だからこそ、優しい肌触りが重宝されています。
自然の色そのまま “素材そのまま”タオル
加藤タオルでは、素材の良さを最大限に生かした「きなりのまま(880円)」というフェイスタオルも作っています。
加藤タオル・加藤恵子さん:
「きなりのまま」は糸を脱色したり、染めたり一切せず、糸そのままをタオルに織り上げてます
店内には実際の糸が展示されており、綿花本来のナチュラルな色合いがわかります。
化学処理をしていないため、とくに肌の弱い赤ちゃんのおくるみなどにも使われているそうです。
出産祝いに喜ばれそうなタオルでした。
ホテル品質の厚手のタオル
また、ホテルスタイルのタオルである「厚織(880円)」など、厚手で良質なタオルも豊富にそろえています。
これらは実際にホテルや旅館などでも採用されていて、プロも認める品質の高さを誇ります。
加藤タオル・加藤恵子さん:
いつまでも柔らかいことを意識して作っていますので、何回洗っても柔らかさが持続します
驚きの吸水力! 実験で確かめた
肌触りも重要ですが、なんと言っても大切なのはタオルの吸水力です。
加藤タオルの吸水力を検証してみましょう。
まず手にスプレーで水を吹きかけて、おろしたてのタオルで、やさしく3回ポンポンポン。
一瞬触れただけなのに、水滴が残っていません。まさに魔法のタオル。
加藤タオルの最大の特徴は、その驚くべき吸水力。その秘密は「のり付けをしていない」ことにあります。
加藤タオル・加藤恵子さん:
弊社のタオルはどれものりを使わずに織り上げているので吸水力も抜群です
さらに吸水力を証明するため、加藤タオルと海外製のタオルを使った実験を行いました。
それぞれ1cm四方にカットしたタオルを水に入れ、沈む速さを比較します。
より早く沈んだ方が、吸水力が高いということ。
2つのタオルを同時に水に入れてみると、加藤タオルは水に入れるとすぐコップの底に吸い込まれていきました。わずか1秒で底に到達。
加藤タオル・加藤亮さん:
当社のタオルは1秒で沈みます。海外製はなかなか水を吸っていないですね
一方、海外製のタオルは水に浮いたままで、なかなか沈みません。
全国一の生産量を誇る「今治タオル」には、5秒以内に沈まなければならないというルールがあるそうですが、加藤タオルはわずか1秒で沈む吸水力を持っています。
日本一のタオルに匹敵する性能と言えるでしょう。
のり付けしない難しさと職人技術
のり付けをしないことで吸水力が高まる一方、製造過程ではさまざまな困難が生じます。
のり付けは本来、糸の強度を高めるために行うもの。のり付けしない糸は、わずかな力でも切れてしまうという欠点があります。
実際に工場見学中にも、糸が切れてしまって機械が突然止まる場面がありました。
糸が切れたらすぐに結びに行かないとタオルの生産量が落ちてしまうので、職人が迅速に糸を結びに行く必要があるのです。
繊細な糸を使いながらも丈夫なタオルを織るためには、職人の高い技術と経験が必要不可欠なのです。
手作業による仕上げでさらに丈夫に
タオルの製造工程の最終段階では、周囲をきれいに縫い上げる作業があります。
この工程は職人の手作業で行われています。
加藤タオル・加藤亮さん:
のり付けしてない糸でタオルを織っていますので、人の手でやることによって丈夫で長持ちするタオルになります
仕上げに、タグを付けて完成。一つ一つの工程の丁寧さが、加藤タオルの品質を支えています。
5年前にオープンした工場直売所
その高い品質で多くのファンを持つ加藤タオル。
そんな老舗が工場直売店を始めたのは、今から5年前のことでした。
コロナや物価高の影響で生産量が減少していた頃です。
触ってもらえば品質を実感できると、直売所を始めました。
加藤タオル・加藤亮さん:
直売所で直接タオルに触ってびっくりしてもらうのが、見ていて一番うれしいです。使ったらやめられないという方が本当に多いので、ぜひ静岡の加藤タオルを使って欲しいです
工場直売所と言えば、食べ物を安く手に入れたり、アウトレット商品をお得に手に入れたりするのが定番ですが、加藤タオルの工場直売所は、作り手の思いがそのまま伝わってきそうな場所でした。
こだわりの製法で作られた高品質なタオルは、日常生活の中の小さなぜいたくになりそうです。
■店名 加藤タオル工場直売店
■住所 静岡県磐田市豊浜中野396
■営業時間 9:00~17:00
■定休 土・日
■問合せ 0538-55-3185