犬に餌を与えすぎて死なせた飼い主、懲役2か月の実刑判決(ニュージーランド)
ペットへの虐待のニュースは残念ながらなくならず、2023年に日本国内で摘発された動物愛護法違反の事件は181件と過去最多だったことが警視庁のまとめで分かっている。そんな中ニュージーランドでは、飼い犬を病死させるまで肥満にさせた飼い主に懲役2か月の実刑判決が下された。犬は歩くこともできないほどの肥満で、それが原因で死に至ってしまったという。ニュージーランドのニュースメディア『NZ Herald』などが伝えている。
【写真】体重53.7キロの肥満体で歩くこともままならない状態だった犬
2021年、ニュージーランドのオークランド市マヌレワ在住のある女が、飼い犬の健康と行動的なケアを怠ったとして動物虐待防止協会(SPCA)に訴えられた。そして同年10月、捜査令状をもとに動物管理官が女の住居を家宅捜査し、数匹の犬が保護されてオークランド市議会の動物保護施設に引き取られた。
しかし“ナギ(Nuggi)”というオスの犬だけは、体重が53.7キロもあり、俵のように丸々とした体型で歩くこともままならない状態だったため、SPCAのもとで世話されることとなった。ナギは保護された時、わずか10メートルの距離を3回ほど立ち止まって呼吸を整えなければならず、体の重みで今にも脚が折れそうだった。
肥満体のナギを診察した獣医は、脂肪が邪魔をして聴診器で心音を聞くことが困難だったという。また、ナギは結膜炎を患っており、爪は伸び切っていて腹部や肘などの皮膚が擦れてひび割れ、血が滲んでいる状態だった。SPCAニュージーランドの最高責任者であるトッド・ウエストウッド氏(Todd Westwood)は、7月24日の声明で次のように述べている。
「ナギは私たちがこれまで出会った動物の中で、最も肥満のうちの1匹です。ナギは体が重くて歩くこともままならず、明らかに苦しんでいることが分かりました。悲しいことに、私たちは毎日のように痩せていて栄養失調で苦しんでいる動物を見てきました。ですが、極度の餌のやりすぎによって無力となった動物を目にするのは、同じくらい心が痛みます。」
その後、ナギはSPCAのもとでケアされ、2か月後には8.9キロの減量に成功した。しかし残念なことに、肝臓にあった腫瘍が破裂したことで急性出血に陥り、命を落としてしまった。解剖の結果、肥満が原因と見られる肝臓病やクッシング病などを患っていたことが判明した。
ナギの飼い主は毎日、フライドチキンなどの鶏肉を8~10ピースと犬用のビスケットを与えていたとSPCAの検査官に明かしている。しかし彼女は、ナギを時々散歩させたり庭で遊ばせたりして運動させていたと主張しており、ナギを苦しめるようなことをしているとは微塵も思っていない様子だった。
ウエストウッド氏は、声明で次のように訴えている。
「犬の飼い主は、適切な食事と運動をさせてあげることが重要ですが、ナギの飼い主は全くこれに当てはまりませんでした。ナギは明らかに食べすぎであり、これに対して飼い主は誰かに相談するわけでもなく、世話の仕方を改善することもなく、ナギがほとんど歩けなくなるまで食べさせ続けたのです。これは全くもって受け入れることができません。」
ナギの飼い主は、マヌカウ地方裁判所で懲役2か月の実刑判決が下され、1222.15ニュージーランド・ドル(約11万1500円)の罰金に加え、12か月間犬を飼うことが禁止された。
画像は『NZ Herald 「Auckland woman jailed after morbidly obese dog Nuggi dies: SPCA says pooch couldn’t walk 10 metres」(Photo / SPCA)』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)