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大泉洋+堤真一+長尾謙杜(なにわ男子)らのダイナミックなアクション+エキストラ数千人のリアルな迫力+東映京都撮影所の職人たちの技…アクション時代劇の醍醐味を堪能する『室町無頼』

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大泉洋+堤真一+長尾謙杜(なにわ男子)らのダイナミックなアクション+エキストラ数千人のリアルな迫力+東映京都撮影所の職人たちの技…アクション時代劇の醍醐味を堪能する『室町無頼』

 室町時代の史料『新撰長禄寛正記』に、寛正3年の徳政一揆の大将として、たった一度だけその名前が表舞台にでた「蓮田兵衛」という人物がいた。これまでの時代劇では扱われることのなかった人物であり、室町という時代もこれまで映像作品では描かれていなかっただけに興味深い。垣根涼介の原作『室町無頼』、アクション時代劇として映画化され2025年1月17日(金)からロードショーとなる。

 

 舞台は応仁の乱(1467~1477)の勃発前の1461年の京の都。民は大飢饉と疫病に苦しめられ、無数の死体が賀茂川べりに積まれた目を覆いたくなる光景から始まる。人身売買や奴隷労働が横行し、政治を司るべきものは、困窮する民を横目に享楽の日々を送っていた。その上貨幣経済が進み、比叡山延暦寺は、高利貸しの元締めとして市中から暴利を貪るなど、富めるものは一層富み、かつてない格差社会となっていた。

 荒廃する社会の中で、一本筋を持ち、熱い信念をもった蓮田兵衛(大泉洋)は、腐りきった幕府を倒そうと画策する。そのためには自らも「捨て石」なることも辞さない無頼者である。一方、才蔵(長尾謙杜)は、自己流の棒術で生計を立て、餓死寸前を生き延びたが、天涯孤独の身で絶望の中にいた。そんな才蔵を助け、鍛えたのが兵衛だった。兵衛は、一見ヨボヨボの妖怪のような老人だが棒術の達人(柄本明)に才蔵を預ける。才蔵の武器となるのは、〝六尺棒〟である。長尾演じる才蔵が日に日に逞しくなっていくのだが、その超人的な修行とアクションシーンは見ものである。

 才蔵に加え、抜刀術の達人、槍使い、金棒の怪力男、洋弓を扱う朝鮮娘らを束ねた兵衛が京の市中を舞台に暴動を仕掛ける。行く手を阻むのが、洛中警護役を担う骨皮道賢(堤真一)だ。兵衛と道賢はかつて志を同じくした仲でありながら、敵味方になった一騎打ちのシーンも見ものだ。

 延べ人数5千人にも及ぶというエキストラは、死体に扮したもの、一揆に加わる庶民に扮するものなど、それぞれが体や顔、歯や着物まで、生活の印として泥や黒ずみなどを施し、当時を生きる人々を丁寧に表現している。キャラクターの個性を着物の生地や柄、小物からも際立たせるなど、細部までこだわったビジュアルも見応えがある。さすが、京都撮影所の技術が結集した作品だ。

 かつては道賢、いまは兵衛の想い女で高級遊女・芳王子を演じた、松本若菜が艶っぽく、色を添えている。文化芸術に夢中で、飢餓や疫病に苦しむ民に関心を持たず、死人の骨が焼かれる向こうの空をみて、「くさいのう」と囁く八代将軍足利義政を中村蒼、贅沢三昧の大名を北村一輝が演じる。監督は『22年目の告白─私が殺人犯です』『あんのこと』などの入江悠。憧れの京都撮影所で、撮影所の職人たちとともに、大型アクション時代劇に挑戦した初めての作品である。

 蓮田兵衛なる人物が、令和の時代にも出でよ、と思わずにはいられない。

室町無頼
1 月 17日(金)公開 / IMAX 先行公開中
配給:東映
原作:垣根涼介『室町無頼』(新潮文庫刊)
© 2016 垣根涼介 / 新潮社 ©2025「室町無頼」製作委員会
PG-12 作品
出演:大泉 洋
長尾謙杜 松本若菜
遠藤雄弥 前野朋哉 阿見 201 般若 武田梨奈
水澤紳吾 岩永丞威 吉本実憂 ドンペイ 稲荷卓央 芹澤興人
中村 蒼 矢島健一 三宅弘城
柄本 明 北村一輝
堤 真一

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