【りぶらりおの「太田三郎展」】 整然と並ぶ清水の「種」たち
静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は静岡市清水区のArt Book Shop りぶらりおで9月14日に開幕した本阿弥清コレクション「太田三郎展 SEED PROJECT FROM SHIMIZU」から。
岡山県津山市在住の美術家太田三郎さんが2002~2003年に静岡市との合併を前にした「清水市」へのオマージュとして取り組んだ「SEED PROJECT」の作品約20点を展示。
2000~2005年に清水で実験美術館「虹の美術館」を運営した現代美術研究家・本阿弥清さんのコレクションが20年の時を経て解き放たれた。14日は本阿弥さんと、かねて太田さんと親交がある日本画家・日下文さんが対談し、集まった約20人に作品の魅力をレクチャーした。
作品は太田さんが三保松原や日本平で採集した植物の種子を雁皮紙の上に丁寧に並べ、まるで切手のように仕上げたもの。「命の源」とも言える小さな物体が整然と並ぶ姿は、われわれが日々見逃しているモノ、こと、現象がいかに多いかを雄弁に物語る。ヒヨドリジョウゴの吸い込まれるような乳白色に、特に引かれた。(は)
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■Art Book Shop りぶらりお
住所:静岡市清水区草薙142
電話番号:090-9367-8183
営業時間:午後1時~7時(火・水曜定休)
会期:9月29日まで