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ITで深める赤ちゃんへの理解。初めての子育ての「不安」を技術で「楽しく」【東京都中央区】

ローカリティ!

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親としての初めての子育ては不安がつきまとうもの。そんな親たちを安心させ、子育てを楽しめる環境を作ることが「株式会社ファーストアセント」の目標です。設立から13年、同社は排泄や空腹予測AIの開発、子育てデータの分析といった子育てのサポートツールの開発を続けてきました。「初めての子育てに、楽しさを」。その思いに至った原点と今後の展望について、社長の服部伴之(はっとり・ともゆき)さんに語っていただきました。

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表面ではなく、基盤となる開発を。ソフトウェア開発者としての原点

服部さんは、大学院を経て東芝に研究者として入社しました。「表面的な仕様ではなく、根本を支える技術を作りたい」という思いから研究に励みましたが、技術が製品化されるまでに長い時間を要することにもどかしさを感じていました。

そこで思いついたのが、ソフトウェアの開発。「ソフトウェアなら適宜修正が可能で、提供までのスピード感も違う」と考え、より迅速に価値を提供できるインターネット業界に踏み出しました。この経験が、現在の子育て支援における技術的基盤となっています。

我が子が教えてくれた、子育て情報の届け方

服部さんが子育て支援に関心を持ったのは、子育て中に「振り回された」からだそうです。インターネット業界に移った後、第一子が誕生。当時、ネットにあふれる子育て情報に踊らされ、正しい情報にたどり着けず「親として何をすべきか分からず、何を信じていいのか分からない状況で苦しかった」と振り返ります。「検索エンジンで上位にある情報が必ずしも信頼できるわけではない」という課題を痛感しました。

そういった経験を通じて「一般の人々が信頼できる情報にアクセスできる仕組みが必要だ」と強く感じたのです。同じような不安を抱える子育て世帯が世の中に多く存在することを確信した服部さんは、自身のITと研究の知識を生かし、「持続可能な形で親たちを支援したい」という思いを胸に、子育て支援に事業として本格的に取り組む決意を固めました。

寝かしつけ支援のスマートベッドライト「ainenne(アイネンネ)」

起業の道で決意固め、誰も登ったことのないルートを歩む

2012年、これまで培ってきた研究とITの知識を基盤にファーストアセントを設立。「誰も登ったことのないルートを初めて登る」という登山用語「first ascent」を社名に、「誰も挑戦していない新しい価値を提供したい」という信念のもと、スタートを切りました。

創業当初は少人数でスタートしましたが、徐々に服部さんの思いに共感するメンバーを増やして活動しています。子育て経験を持つメンバーも多く、実体験から生まれる課題意識や発想をプロダクトに反映することも。服部さんは「親としての視点が、同社のプロダクトをより実践的で効果的なものにしている」と話します。

同社は、専門家監修の育児に関わるコンテンツや動画が楽しめる情報サイト「ベビケアプラスチャンネル」のサイトを運営しているほか、育児記録アプリ「パパっと育児」、赤ちゃんの泣き声解析アプリ「CryAnalyzer(クライアナライザー)」、寝かしつけ支援のスマートベッドライト「ainenne(アイネンネ)」など、親の負担を軽減するプロダクトを次々と開発してきました。

また、データ解析やAI技術を駆使し、企業向けの子育て支援サービスを立ち上げました。データに基づいた意思決定で、より楽しく充実した子育て環境の創出を目指しています。

国外での展示会の様子

ビッグデータを活用して、赤子の声を聞く

ファーストアセントは、創業以来、子育て支援において技術とデータを収集し続けてきました。育児記録や赤ちゃんの泣き声データを2万人以上のモニターから収集し、親たちが直面する課題を解決するために活用しています。

「初めての子育ては分からないことだらけ。赤ちゃんが何を求めているのかを知る手がかりを提供し、不安を軽減することに意義がある」と語る服部さんは、収集したデータを生かして、排泄や空腹の予測AIなど、親たちが日常的に抱える悩みを解消する技術開発に取り組む一方、自治体や企業と連携した子育て支援プログラムの実施にも力を入れています。

「親と子が笑顔で過ごせる未来」目指して。子育てをもっと楽しく、固定観念を超えて


育児には、「母親が担うもの」「完璧でなければならない」といった親にプレッシャーを背負わせる固定観念がつきまといがち。しかし、ファーストアセントはその壁を打破しようとしています。

「子育てをもっと楽しく。そして、もう一人産んでもいいかなと思えるような環境を作りたい」。服部さんは、プロダクトによって親の負担を軽減したり、正しい情報にアクセスしやすくしたりすることで、「親と子が笑顔で過ごせる未来」を目指しています。同社はこれからも新しいプロダクトを生み出しながら、親たちの不安に寄り添い続け、子育て環境をより良いものにしていきます。その取り組みは、未来の親子の笑顔を増やし、社会全体で子育てを支える仕組みづくりへとつながっていくのです。

聞き手、執筆:木場晏門

木場晏門

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