導入広がる確定給付企業年金「はぐくみ企業年金」 中小企業の採用強化や福利厚生の充実にも一役
ベター・プレイス(東京都新宿区)は8月28日、企業が直面する人材定着における課題解決のため、足利銀行(栃木県宇都宮市)と業務提携したことを発表した。同社が提供する確定給付企業年金制度を、足利銀行が法人顧客へ案内し、営業エリア内の中小企業従業員の資産形成を支援する。
企業年金・退職金制度の導入や設計をサポートする同社はこれまでに、全国30社の金融機関と提携している。背景として同社は、中小企業は企業年金制度の整備が十分ではなく、従業員の資産形成が課題となっている点を指摘する。
企業規模で格差のある退職年金制度
日本の企業数の99%以上が中小企業だが、従業員規模が小さいほど、退職年金制度の実施割合は低いのが実状だ。従業員規模30~99人の企業では導入率は16%にとどまる一方、従業員数1000人以上の企業では7割近くに達する。
厚生労働省によると、日本の企業年金は、長らく中核を担ってきた適格退職年金・厚生年金基金から、制度の中心は、確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(企業型DC)に移行している。
だが、内閣府が2024年に公表した世論調査での認知度は、DBは14.2%、企業型DCでも23.5%にとどまる。iDeCo(個人型確定拠出年金)、厚生年金基金や国民年金基金を含め、私的年金に加入経験がある人の過半数が「勤めている会社でDB、企業型DC、厚生年金基金を実施していたから」と答えており(57.5%)、企業による制度提供が加入のきっかけになっていることがわかる。
従業員の資産形成支援で従業員エンゲージメントや定着率を向上
同社は「人材不足や人材定着に悩みを抱える中小企業にとって、従業員のお金の不安を軽減し、安心して働ける環境づくりは喫緊の課題」と指摘。企業年金・退職金制度の充実が、従業員満足度向上・離職率低下につながったという声が寄せられているという。
同社が提供するDB「はぐくみ企業年金」は、厚生年金被保険者であれば、非正規雇用者や役員も加入可能。導入の障壁になりがちな煩雑な事務手続きは、自社開発したDXシステム「はぐONE」によって工数を削減している。
育児・介護休業時や休職時に受け取る選択肢も
「はぐくみ企業年金」は、企業型DCやiDeCoのように、高齢期の資産形成を目的とした積み立てが基本となる点は同じだが、年金として受け取るのではなく退職時や休職時、育児・介護休業時に受け取る選択もできる。
特に人手不足が深刻化している中小企業や福祉業界で広がっており、ほとんどの導入法人が従業員300人以下の中小規模法人で、そのうち約4割が福祉・医療・教育関連。掛金は月1000円から設定でき、元本保証により従業員は、安心して将来の資産形成を行うことができる。運用実績に不足が生じた場合は、事業主が不足分を補填する仕組みになっている。
採用力強化や福利厚生の充実を背景に導入を決めた企業は、「給与が1万円上がるのはうれしいけど、金融知識で生涯の手取りを増やすことにはあまり関心がない」といった従業員の金融リテラシー向上も目指している。
発表の詳細は同社公式リリースで確認できる。