ハンス・ジマー、クリストファー・ノーラン新作『オデュッセイア』で作曲を手がけない理由を明かす
現代映画の巨匠監督はこれまでのキャリアで、現代映画の巨匠音楽家と幾度となくタッグを組んできた。『ダークナイト』三部作や(2010)『インターステラー』(2014)の高い完成度は、ジマーの荘厳で美しく壮大な楽曲とは切っても切り離せない。
ところがジマーはノーラン監督による直近2作、2020年の『TENET テネット』と2023年のに携わっておらず、ルドウィグ・ゴランソンが代わって音楽を手がけた。現在撮影中で、2026年公開予定のノーラン最新作『The Odyssey(原題)』もゴランソンが手がけることとなっており、ジマーは参加しない。
2025年5月20日に横浜公演、24日の名古屋公演を行うジマーは、THE RIVERによる単独取材にて、『The Odyssey』でも作曲を担当しない理由を説明。ドゥニ・ヴィルニーヴ監督のシリーズ『デューン 砂の惑星PART3(仮題)』を引き続き手がけるスケジュール都合によるものだと明かした。
ジマーは『デューン』への格別な思い入れから話し始めた。「まず、私は18歳の頃に『デューン 砂の惑星』を読んで、大好きになりました。好きすぎたもので、デイヴィッド・リンチ版の映画は観ていないんです。私が見た映画版のイメージが、自分の頭の中にあるものとかけ離れていたからです。頭の中に思い描く夢を壊したくなかった」。
ヴィルニーヴから、何気なく「『デューン』って小説はご存知ですか?」と尋ねられたことがきっかけで、2人はコラボレーションを果たすことになった。「彼の頭にあるものと私の頭にあるものは同じだ」と確信したジマーが同作に取り組むと決めたため、「クリスの『TENET テネット』(2020)など、他の作品をやることができなくなってしまった」という。
「ルドウィグのことは大好きですし、友人です。非常に才能がある。全員が納得していますよ。クリス・ノーランとはとても良い友人関係です。時には友情そのものを大切にすることも必要です。仕事だけじゃなくて、プライベートな関係としての友情。そこに重きを置くべきときもあるんです。
ドゥニと一緒に『デューン』に取り組んだのは、とても面白い経験でした。お互い10代の頃に戻る感じでした。でも、我々はこれまでたくさんの映画を作ってきています。技術も仕事のこともわかっているし、やり方もわかっている。だから、想像の中にあったことや心の中にあったことを実際に実行することができた。『デューン』は今まではできなかったことだし、20年前にやっていたら酷い映画になっていたでしょう。
昨晩もドゥニとやり取りをしました。彼は今、私の曲を頭の中で流しながらストーリーボードをやっているんです。頻繁に連絡をとっています。とても良い友人関係で、まるで兄弟のようです。もうそろそろ撮影が始まる頃で、私もそれに備えて準備をしているところです。」
『デューン』第3弾は夏に撮影を開始する予定。ジマーはしばらく同作につきっきりとなりそうだ。「大切なのは、私たちが『デューン』に属しているということ。あの映画は私たちを丸呑みにしたんです」と、作中の巨大生物サンドワームになぞらえるようにして笑顔で語った。
ハンス・ジマー来日公演情報は次のとおり。
Hans Zimmer Live in Japan
(5/20 横浜公演)Hans Zimmer Live in Yokohama
(5/24 名古屋公演)Hans Zimmer Live in Nagoya
■Hans Zimmer Live