『グラディエーターII』デンゼル・ワシントンとの共演に緊張しすぎた主演ポール・メスカル ─ 「今日はデンゼルが来る日だと思っただけで、もう」
ドラマ「ノーマル・ピープル」(2020)で一躍脚光を浴び、『aftersun/アフターサン』(2022)でアカデミー賞候補となり、『異人たち』(2023)の演技も高く評価された新鋭ポール・メスカル。1996年生まれ、今年28歳の彼にとって初めての大作映画が、巨匠リドリー・スコット監督による『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』だ。
前作『グラディエーター』(2000)を観たのは13歳のときで、同じ「ポール」の名をもつ父親と鑑賞したという。それから10年以上を経て、監督のスコットは「ノーマル・ピープル」の演技に感銘を受け、メスカルを続編の主人公・ルシアス役に起用した。前作でホアキン・フェニックスが演じた皇帝コモドゥスの姉・ルッシラの息子という設定だ。米にて、スコットは「(メスカルは)とても感じがよく、優しく、率直。そこが気に入った」と話す。
もっとも、本作はメスカルにとって“初めてづくし”のチャレンジだった。剣闘士のルシアスを演じるため、ハードなトレーニングと食事で18ポンド(約8キロ)の筋肉をつけ、スタントに挑んだ。スコットによると、巨大なコロッセオ(円形闘技場)のセットに足を踏み入れたメスカルは「卒倒しそうになっていた」という。「まさかこんなに大きいとは思っていなかったんでしょう」
もうひとつの緊張は、謎の男マクリヌス役を演じるデンゼル・ワシントンとの共演だった。「“よし、今日はデンゼルがセットに来る日だ”と思うと、それだけで呆然としてしまうんですよ。それで、“こんなのバカみたいだ、自分の仕事をしなきゃ”と思うんです」とメスカル自身は振り返る。
しかしながらメスカルは、初の大作であり、また名優との共演の機会だったとしても、撮影初日が終わるころには「演技は演技、同じことなんだ」と悟っていたという。ワシントンはそんなメスカルを、「自分が何をしているのか、どうやるべきなのかを知っている俳優」と評した。「彼はいつもこちらに何かを与えてくれるから、彼から学ぶのは簡単です。ただ立っているだけでさえ、静かな威厳と強さ、そして知性がある」
©2024 PARAMOUNT PICTURES.
本作への出演が発表されてから、メスカルは街中で「『グラディエーター』が待ち切れない」と声をかけられ、握手とハグを求められる機会が増えたそう。「普通の握手じゃないんです、まるで兄弟みたいな感じ」と話しているように、それだけ本作を待ちわびるファンは多いのだ。ひとりで試写を観たときは、約2億5,000万ドルという製作費の意味をプレッシャーに感じたという。
「たくさんの人々によって、たくさんの人々のために作られた映画です。それがこの映画のターゲットだから、みなさんはありのままに語っていいと思う。それが僕の望みであり、スタジオの望みです。僕たちは多くの人々が足を運ぶ、素晴らしいものを作りたいんです。」
ただしメスカルは「大衆への責任、また多くの人々に観てもらうという意味で、この映画が僕のキャリアにおいてずば抜けて大きいことはわかっています」と述べたうえで、このようにも語っている。「けれども今、役者として自分がどうありたいかという個人的な基盤はできあがったように思います。だから、そのこと(本作のスケール)だけが自分にとって大切というわけではありません」
映画『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』は2024年11月15日(金)公開。
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