西武のドラフト補強ポイント 外野手補強が最優先課題も1位は競合覚悟で目玉指名か
投手は先発充実も即戦力リリーフの補強必須
序盤から低迷が続き、残り1試合を残して球団ワースト記録を更新する49勝91敗2分けで3年ぶりの最下位となった西武。特に、得点力不足は深刻で59本塁打はリーグ6位、348得点は12球団ワーストとなった。
松井稼頭央監督は交流戦前に休養となり、以降は渡辺久信GM兼監督代行が指揮を執った。来季は西口文也二軍監督の昇格が有力視される中、チームは大きな変革を迫られている。戦力強化において重要な場となるドラフト会議は10月24日に開催。本稿では、現時点で在籍する選手のポジション・年齢等の分布表から戦力を考察した上で、指名候補も含め西武のドラフト補強ポイントを考えていく。
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投手陣はリーグ4位のチーム防御率3.05と、2年連続で2点台を記録した昨季からは悪化したが、先発は防御率2.86で同2位と健闘した。エースの髙橋光成と平良海馬が不調の中、今井達也が2年連続2桁10勝をマーク。さらに、ドラ1ルーキーの武内夏暉が10勝、3年目の隅田知一郎も自身初の規定投球回に到達するなど若手が主力の穴を埋めた。
さらに、高卒6年目の渡邉勇太朗がローテに定着し、羽田慎之介、菅井信也ら期待の若獅子も先発デビューを果たした。髙橋と平良が来季復調すれば、層の厚さは12球団でもトップクラスとなる。ドラフトでは将来性を重視して素材型の高校生を中~下位で確保しておくだけで十分だろう。
リリーフ陣は球団最多の194セーブを挙げた増田達至が現役を引退。新助っ人のアブレイユが52登板で28セーブ、3年目の佐藤隼輔が44登板で防御率1.70をマークするも、その後に続く投手がなかなか定まらなかった。
守護神のアブレイユも1年契約のため、来季の去就は未定。開幕時は先発ローテの一角だった松本航、ボー・タカハシを中継ぎに配置転換するなどやりくりに苦労したブルペンの層を厚くするためにも、即戦力として期待できる大学生、社会人の投手は押さえておきたいところだ。
”トノゲン”の後釜と強打の外野手が手薄な野手陣
捕手は3年目の古賀悠斗が90試合でスタメンマスクをかぶり、今季古巣復帰を果たした炭谷銀仁朗が35試合に先発し、武内ら若手投手陣をリードした。来季もこの2人が中心となることは間違いないだろう。
ただ、ベテランの岡田雅利が今季限りで現役を引退したため、育成含め最低1人は確保しておく必要がある。主力2人が打撃面で物足りないところがあるため、打撃力のある捕手を指名しておきたい。
内野手は新助っ人のアギラーがシーズン序盤で離脱するなど、一塁のポジションが最後まで埋まらず。トレードでシーズン途中に加入した野村大樹がチーム最多の39試合に出場する有り様だった。
三塁も佐藤龍世が58試合に先発するもレギュラー不在な状況。渡部健人や山村崇嘉、村田怜音ら期待の若手はいるものの、まだまだ発展途上なだけに、彼らのライバルとなる選手の確保は検討しておきたい。
また、二遊間も源田壮亮と外崎修汰の不動のレギュラーがいるものの、ともに30歳を超え全盛期の動きからは陰りが見える。児玉亮涼、滝澤夏央と若手が控えているが、レギュラー定着へは打撃面で不安が残る。世代交代をスムーズに進めるためにも、今ドラフトで補強しておきたいポジションだ。
外野手は近年課題を抱え続けている。7年目の西川愛也がセンターで81試合にスタメン出場したが、打率.227、OPS.596と打力が物足りない。41歳の栗山巧が3年ぶりに守備につくなど人材不足は深刻だ。打撃に特徴のある選手の補強は必須と言える。
1位指名は即戦力外野手か、競合覚悟で目玉を指名か
以上のことから、以下の3つを優先補強ポイントとして挙げたい。
1.レギュラー不在の即戦力外野手
とにもかくにも強打の外野手を優先して確保する必要があるだろう。1位指名最有力は青学大の4番・西川史礁。今年3月には侍ジャパンの強化試合でトップチームデビューを果たすなど、その実力は折り紙付き。長打力とミート力を併せ持つ打撃は今年の候補の中でもトップクラスで、1年目から活躍が期待できる。
次点ではこちらも大学生の強打の外野手、大阪商業大の渡部聖弥も有力候補だろう。西川にも引けを取らないパワーの持ち主で即戦力として期待できる選手の1人だ。他にも富士大・麦谷祐介、早大・吉納翼、大経大・柴崎聖人ら候補は豊富におり、複数人指名して一気に穴埋めを図るのもありかもしれない。
2.将来の二遊間候補
外崎と源田の後釜候補も上位で指名しておきたい。その筆頭となるのが明治大・宗山塁。攻守ともにハイレベルで即一軍で通用する能力を備えており、1位で複数球団が入札することは確実。最大の弱点である外野手には有力候補が複数おり、競合覚悟で即戦力遊撃手を指名してから確保する形でも遅くはないだろう。どのような戦略をとるのか注目だ。
将来性を重視して高校生を指名するなら、齋藤大翔(金沢高)、宇野真仁朗(早稲田実高)らが候補となる。齋藤は守備、宇野は打力が秀でており、ファームで数年間鍛える必要はあるが、「トノゲン」からの世代交代にはちょうどいいタイミングでレギュラー定着を狙えるだろう。
3.即戦力リリーフ
安定感にかけたリリーフ陣には即戦力を1枚加えておきたい。社会人なら安定感のある竹田祐(三菱重工West)、球に力のある木下里都(KMGホールディングス)らが候補。大学生なら宮原駿介(東海大静岡キャンパス)、安徳俊(富士大)らが候補となるだろう。
※表の年齢は2024年12月31日時点
※育成選手、引退及び退団が発表された選手は含まず(10月6日時点)
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記事:SPAIA編集部