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【輝く!昭和平成カルチャー】エモい写真が大人気「写ルンです」は林真理子が生みの親?

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1986年07月01日 富士フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」発売日

リレー連載【輝く!昭和平成カルチャー】vol.1:フジカラー「写ルンです」

昭和レトロブームがもたらした「写ルンです」の人気再燃


『写ルンです』が若い世代を中心に再び人気を集めているという。スマホのカメラ機能が進化し、一眼レフにも劣らないような画素数に達している昨今、性能よりも雰囲気重視であえて粗い画像が好まれるのは明らかに時代に逆行している。なんでも、“エモい写真が撮れる” とのこと。すぐには見られず、フィルムを現像に出す手間もかかるアナログ感がよいらしい。喫茶店やレコードなどと同様、いわゆる昭和レトロブームがもたらした現象のひとつといえるだろう。

「簡単操作で誰でも気軽に撮影ができる世界初のレンズ付きフィルム」という売り文句で、富士写真フイルム(現:富士フイルムホールディングス)から『写ルンです』が発売になったのは、1986年7月のことだった。発売時の価格は、24枚撮りで1380円。カメラが無くてもどこでも写真が撮れて、本体ごと現像に出せてしまう画期的な商品だった。

「スナップキッズ」、「撮りっきりコニカ」などライバル社が追随


“フィルムにレンズを付ける” という逆転の発想の下、徹底したリサイクル工程が研究開発され、多数の特許を取得。たちまち大ヒットとなり、フラッシュや望遠、防水など進化を遂げながら商品展開されてゆく。あまりよろしくないネーミングながらも一般的には “使い捨てカメラ” などと呼ばれた同種の商品は、ライバル社のコダックが『スナップキッズ』、小西六(コニカ)が『よく撮れぞうくん』や『撮りっきりコニカ』で追随するも、やはり『写ルンです』が圧倒的なシェアを誇った。ちなみにリサイクルの観点からも部品は決して使い捨てではなく、写真業界では、1991年に “レンズ付フィルム” が統一呼称とされた。

すっかり忘れられていることかもしれないが、『写ルンです』という商品名の由来は、“本格カメラでなくてもきれいに写る” のはもちろんのこと、当時の流行語であった “ルンルン気分” も掛け合わされていた。1979年のアニメ『花の子ルンルン』など語源としては古そうだが、流行語として定着させたのは、1982年に出版された林真理子の著書『ルンルンを買っておうちに帰ろう』のヒットと思われる。つまりは、林真理子の存在なくしては『写ルンです』という商品名も生まれていなかったことになる。

デーモン小暮閣下出演、一連のCMシリーズ


CMスポットを盛んに展開していた富士フイルムの商品だけに印象的なCMも多い。季節ものの “お正月を写そう” 篇にも登場したが、最も印象に残っているのは、90年代半ば頃にデーモン小暮閣下が出演していた一連のシリーズ。富士フイルムのほかのCMに出演していた観月ありさとの共演もある。初期には竹中直人や井森美幸、さらには沢口靖子や高島忠夫一家によるCMも放映されて『写ルンです』の宣伝に一役買っていた。

デジタルカメラの隆盛とスマホの進化により、一時期は下火になっていた『写ルンです』が今また復活を遂げて、コンビニや観光地の売店の軒先に並んでいる光景が見られるのはちょっと嬉しい。その場で画面が確認出来ない分、自撮りがしづらいのは欠点かもしれないが、失敗覚悟でイチかバチかの一発撮影もまた醍醐味なのだろう。チェキの人気再燃も同様、フィジカルの大切さや面白味を実感させられるのは、音楽の楽しみかたとも絶妙に合致しているのだ。

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