【小学校入学準備】親の不安 ウチの子「読み書きできない」「座っていられない」… 元小学校教員の人気インフルエンサーの納得の助言
フォロワー12万人超の元小学校教員ママ「アキ」さんが“やさしい小学校入学準備”をレクチャー。第2回は、「読み書きが苦手」「じっと椅子に座っていられるのか心配」など学習に関するQ&A。全2回。
【写真➡】学校で話せず不登校…「場面緘黙症」の娘が人気パティシエになるまで を見る小学校へ入学すると、活動の中心が「遊び」から「勉強」へと大きく変化。文房具等の販売メーカー・コクヨが行った、小学校の新入学準備に関するアンケート(※)では、5割以上のパパママが「授業についていけるか」を心配しています。「ひらがなの読み書きできないけど」「じっと座っていられるのか」「そもそも勉強についていけるの!?」
そんな不安な思いに、小学校教員10年の経験を持つ人気インスタグラマーのアキさんに、引き続き答えていただきました。小学6年生女子と4年生男子のママでもあるアキさんならではの回答や対策に注目です。
読み書きが苦手、宿題が不安…小学校生活を円滑にするには?
【学習に関するQ&A】
Q.1 ひらがなの読み書きがまだうまくできませんA.1 自分の名前を書ければOK!
──回答:アキさん(以下同)
ひらがな・カタカナの読み書きは小学校で学ぶので、入学前に五十音すべてできなくても大丈夫です! ただし、自分の名前だけは書けるようにしておきたいところ。
なぜなら、自分の名前を書く機会は意外と早くきてしまうからです。書けたほうが、子ども自身がストレスなく学校生活を送れるのではないでしょうか。
また、ひらがなを習得するには、「文字に慣れる」ことが大切だと思います。いっしょに絵本を読むのも効果的。ただし、無理強いは禁物です。学ぶこと自体がイヤになってしまいます。
「息子が小1当時に『る』のつく言葉を練習。まずはたくさん書けたことを褒めるよう意識しました」(アキさん) 写真提供:アキ
Q.2 鉛筆が上手に持てませんA.2 学校でも指導するから大丈夫
──学校では、鉛筆の持ち方も指導するので安心してください。入学後しばらくしても改善されない場合は、補助具を使ってみるのもおすすめです。
「鉛筆の持ち方は『2本の指でつまんだら、すーっとたおす』を合言葉に指導したことも」(アキさん) 写真提供:アキ
Q.3 時計が読めないので時間どおりに動けないかも……A.3 大丈夫だけどアナログ時計で「時間」に慣れる練習も
──時計は1年生の算数で習い、2年生以降も時刻と時間の学習が続きます。3年かけて学んでいくので、今すぐ読めなくても大丈夫。先生は、時計が読めない前提で「長い針が3になったら始めます」といった伝え方をしてくれます。
自宅では、アナログ時計を使用することがおすすめです。「11時に家を出るよ」など、「時間」について意識的に声かけをしてみてくださいね。自然に読めるようになっていくので、今すぐ教え込む必要はないと私は思います。
Q.4 いつも人の話を聞かないので、授業でつまずかないか心配ですA.4 大事なときに切り替えられれば心配ありません
──ほかのことに興味や関心を奪われて、話を聞けないことはよくあります。親はつい「何度言えばわかるの!」と言いがちですよね。程度によっては個別対応が必要なケースもあるかもしれませんが、「注目しよう」というときだけでも切り替えられれば、大丈夫。
息子もゲームをしているときは何も耳に入りません。何かに熱中・集中しているときは、こちらの言いたいことを伝えるだけではダメ。聞いてほしいことがあるときは、そばに寄って、「今話しかけてもいい?」と、まずは注目してもらうための声かけをしてから本題に入るようにしてみてください。
Q.5 授業でじっと椅子に座っていられるのか心配A.5 自宅で「座って楽しむ」時間を増やしましょう
──そんな1年生は珍しくないのでご安心を! それに1年生の場合、最初から「ずっと静かに座って勉強する」ことはありません。15分おきに体が動くような活動を入れたり、グループで動くようにするなど内容に変化をもたせ、最後まで飽きずに取り組めるよう授業に工夫がされています。
自宅では、1日5分、それができたら10分というように、少しずつ「椅子に座る」ことに慣れていきましょう。例えば、塗り絵や工作、本を読むなど「座って楽しむ」ことを増やしてみるのもいいですね。どうしても気になるようでしたら、担任の先生に配慮をお願いしておくのもいいと思います。
「読書が苦手であれば、まずは大人が楽しんで読んでいる姿を見せましょう。なになに? と興味が湧いてくるかも」(アキさん) 写真提供:アキ
怒ってやらせるより「素地を育てる」を意識
Q.6 学校の勉強についていけるのか心配A.6 勉強よりも学校生活に慣れることが大切
──勉強について心配な気持ちもわかりますが、1年生の最大の目標は、「学校生活に慣れる」ことだと私は思っています。
そのためには、早寝早起き、帰ってきたらお便りを出す、宿題をする、明日の準備をするなどの“基本的な生活リズム”を1年かけて身につけていくことが大切です。
そして、無事に学校へ行って帰ってきてくれたら、それだけで“花まる”ということも忘れずに。楽しいことも嫌だったことも「そうだったんだね」と話を聞いてあげる。子どもの心も生活も安定させてあげることが一番じゃないかと思います。
Q.7 机に向かう習慣もないため、毎日の宿題をこなせるのかA.7 “やるのが当たり前”のルーティンを作りましょう
──前回もお話ししましたが、①プリント類を出す→②宿題をする→③明日の時間割りを調べて準備する→④自由時間と、帰宅後のルーティンを作るのがいいと思います。これは口で言うほど簡単ではないですし、めちゃくちゃ親の忍耐が必要になるんですが、もう何とか頑張って“当たり前”にしてほしい。のちのち親子ともども確実に楽になります。
見守り方にもちょっと工夫が必要です。「はい宿題やって!」とただ促されると、子どもにとっては苦痛の時間になる可能性も。親も同じテーブルで家計簿をつけるなど、一緒にテーブルの時間を楽しく共有しながら「わからないことがあれば聞いてね」というスタンスでいるのが望ましいですね。
宿題の丸つけには、「Uknow. AI」というアプリがおすすめです。数秒で自動的に丸つけをしてくれるのでラクですよ!
「『音読と計算どっちからやる?』などと、本人に選択させるのもひとつのやり方。『ママも家計簿やるね』と、“いっしょにがんばろう”という空気をつくってみてください」(アキさん) 写真提供:アキ
Q.8 ルーティンを作りたいけど親の言うことを聞かないし難しそう……A.8 命令はNG! 本人に決めてもらい「能動的」の素地を育てる
──「宿題をやりなさい」ではなく、「何時からやる?」と聞いてみてください。始める時間を本人に決めてもらいます。
例えば、約束の15時になっても動かない場合は、「15時過ぎてるよ」と、“タイムキーパー”として声をかける。「時間過ぎたからやりなさい」はNGです。“やるのが当たり前”のルーティンを整えるためには、命令で動かすのではなく、本人をいかに能動的に動かすかが肝心です。
もしそのまま夕方になったら、「これから晩ご飯を作るから、丸つけや手伝いができるのは今しかないよ。これが最後だよ」と最終通告をします。それでも動かなければ、あとになって本人が泣こうが駄々をこねようが、本当に手を貸さないことが大切です。
子どもたちは、疲れていると「宿題やりたくない」と言いますし、我が家はたびたびバトルしながらも(笑)1年かけてルーティンを整えました。最初は親もめちゃくちゃしんどいですが、今はストレスフリーです。子どもたちは当たり前のように宿題や明日の準備をしています。
親の言うことを聞きづらくなる思春期に入ってからだと難しいので、ぜひ1年生の間に整えてみてくださいね。
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小学校に入ると決まりごとも多く、勉強に宿題にと初めてのことだらけ。しかし、「1年生のうちは、生活リズムを整えて学校生活に慣れることだけに集中すればいいんです」といったアキさんの言葉を聞くと、少し肩の荷が下りるような気がしませんか。
小学校教員時代には、1年生の担任も経験しているというアキさん。「1年生の子どもたちは少し緊張しつつも本当にキラキラと輝いており、可能性に満ちあふれているという印象でした」と話します。
そんな1年生の子どもとの日々を、いっしょに笑顔で過ごせるよう、無理なくいろいろ試しながら、親子にとってよい方法を探していきたいところ。
方針や対応は学校や地域により異なる面もあるかと思いますが、ぜひ参考にしてみてください。
●アキPROFILE
フォロワー12.7万人を持つインスタグラマー。小学校教諭として10年働き、子どもが小学校入学と同時に退職。小学校生活や勉強方法などについて、学校の担任には聞きづらいママのちょっとした悩みを解決する情報を発信する。
取材・文/稲葉美映子