犬にとってトラウマとなってしまう『絶対NG行為』5選 精神的苦痛を感じているサインとは
犬にとってトラウマとなってしまう『絶対NG行為』とは?
トラウマとは『心理的外傷』とも呼ばれ、自然災害や大きな苦痛、痛みなど心理的に強い負荷となる出来事が発端となりトラウマを作りあげます。
心に負ってしまった傷は人間も犬もそう簡単には癒えません。以下では、犬がトラウマを抱えてしまう可能性のある『絶対NG行為』を解説します。皆さんはこれらの行為に心当たりはありませんか。
1.体罰を加える
言わずもがな犬を叩く・蹴るなどの暴力行為は絶対にしてはいけません。悲しいことに犬のトラウマの原因として多いのがこの体罰です。
犬への体罰は精神的ストレスが非常に高く、しつけの観点からも意味を成さないことが分かっています。
犬の立場に立って想像してみてください。あなたの親、もしくは大好きな相手から突然暴力を振るわれたらどう感じますか?痛いのは体だけではないはずです。大切な心が壊れてしまうとその修復には相当の時間が必要となります。犬への体罰は絶対にやめてください。
2.大声で怒鳴る
前述の体罰以外に大声で怒鳴りつけることも、犬がトラウマとなってしまう絶対NG行為です。『言葉の暴力』はときに身体的な痛みよりも大きなダメージとなってしまいます。
「犬は言葉が分からないから…」そう思われる方もいるかもしれません。確かに意味を理解することはできませんが、自分に向かって大声を出されていること、そのときの飼い主さんの怒った表情などを犬は良く見ています。
元々犬は音に敏感な生き物です。突然の大きな怒鳴り声と飼い主さんの雰囲気にとてつもない恐怖を感じるでしょう。そうなると過度に恐縮してしまい、トラウマになってしまうことも十分にあり得ます。
3.無視する
しつけの一環として悪さをした後にあえて無視をするといった方法があります。これは正しく行えば、しつけとしての効果は期待できるでしょう。
ところが最初は可愛がりお世話もしていたのに、経済的な理由やアレルギーの発症、ときには『思っていたのと違った』という身勝手な理由から愛情を注ぐことをやめてしまう人もいます。
理由は何にせよ、犬を全く構わず長時間無視したり、最低限のお世話さえしないことは『飼育放棄(=ネグレクト)』に該当します。誰からも愛情を注がれないうえに、不適切な飼育環境の元に置かれればトラウマとなることは容易に想像できるでしょう。
4.嫌がることを無理にさせる
愛犬が嫌がっていることを無理に行うことも、トラウマを植え付ける一因となります。爪切りやシャンプー、ブラッシングなど犬のお世話は多岐に渡りますが、喜んで受け入れる犬は少ないでしょう。
義務感が強すぎるあまり強引にケアをしていませんか?体を押さえつけたり、逃げ回る愛犬を執拗に追いかけ回すなど、強引な方法は恐怖心を掻き立てるだけです。過去の嫌な経験からトラウマとなり、自分を守るために噛みつこうとする可能性も出てきます。
動物病院やトリミングサロンを上手く利用して、お互い余裕を持つことが必要な場合があります。
5.しつけが厳しすぎる
犬を飼うと人間と一緒に暮らす上でしつけは必ず必要となります。トレーニング本やSNSなどを参考にしつけをする方も多いと思いますが、予定通りに進まないことに焦りを感じ愛犬に厳しく当たっていませんか?
一昔前は体罰もしつけとして行われていましたがそれは間違いであることが分かっていますし、そもそも犬の集中力は5分程度しか続かないともいわれています。
そして大切なのは個体差があるということです。しつけ本のようにスムーズに進むことは稀だといっても差し支えはないでしょう。厳しすぎるしつけはトラウマの原因となりかねません。
犬が精神的苦痛を感じているサインとは?
犬にとってトラウマとなりうるNG行為を解説しました。実際に犬がトラウマを経験すると、次のような症状がみられることがあります。
✔暴れる、破壊行動を起こす
✔恐怖や不安により落ち着きがなくなる
✔嘔吐や下痢
✔震えが止まらなくなる
✔パニック状態になる
いずれも犬が自分の身を守るために取る行動であり、他にもさまざまなサインを出します。元気がない、いつもより食欲がない…など些細なことも実はトラウマが引き金となってあらわれるサインである場合も。
愛犬のこのような姿は見たくないと思いますが、一番苦しんでいるのは犬自身です。傷が癒えるのには相当な時間がかかるものと覚悟し、真摯にそして根気強く見守ってあげてください。
飼い主さんでは対応が難しいことも多いと思います。心の病気を診る専門の病院を受診することを強くおすすめします。
まとめ
大切な愛犬にはいつも健やかに過ごしてほしいもの。それは飼い主さん全員の望みでしょう。暴力などの虐待がトラウマとなることは想像できると思いますが、ときに日々のお世話やしつけもトラウマとなってしまうことがあります。
愛犬の好き・嫌いや性格をよく把握しましょう。そして愛犬に辛い思いをさせぬよう、常に寄り添って生活することを心がけてくださいね。
(獣医師監修:寺脇寛子)