やまと尼寺の「梅仕事」みずみずしい青梅で仕込む梅酒と梅味噌【やまと尼寺 精進日記】
奈良県音羽山の中腹にある尼寺で、お寺を30年以上守り続けるご住職の後藤密榮さん。豊かな自然に囲まれた暮らしの中で、どんな食材も知恵と工夫でおいしくしてしまう料理名人でもあります。本記事では『やまと尼寺 精進日記』より、初夏の梅仕事の様子とレシピを紹介します。
やまと尼寺の梅仕事
梅雨入り前の6月上旬、お寺には、カゴいっぱいの梅が届きます。ふもとの潤子さんからいただく、採れたてのみずみずしい梅!自然の美しい青とさわやかな香りは、この時期だけのお楽しみ。手間ひまかけた梅仕事が始まります。種類・大きさ・熟し加減によって選別し、梅酒、梅味噌、甘露煮、梅干し、梅ジュースなどに仕上げます。
梅の下ごしらえ
1 ボウルに水をはり、梅をひたす。水を2~3回替えながら、傷つけないように、やさしく洗う。
2 皮を破らないように気をつけながら、竹串でへたを取る。軸が残ることもあるので要注意。
3 かびないように、水気を丁寧に拭き取る。
梅酒と梅味噌の仕込み
下ごしらえを終えたら、さっそく仕込みです。梅は熟成させて食べるのが基本。梅仕事は、未来の楽しみを生みだす時間でもあります。ご住職が案内してくれたお寺の貯蔵庫「瑞鳳庵」には、これまでに仕込んだ梅酒がずらり。今年もまたひとつ、楽しみが広がります。
梅酒の作り方
材料
青梅 1kg
氷砂糖 500g
焼酎 1.5l
下ごしらえした梅、氷砂糖の順で保存瓶に積み重ね、ホワイトリカーを注ぐ。保存瓶は事前にしっかり消毒を。あとはじんわりじっくり、時間がおいしくしてくれる。1年ほど置くと、おいしく飲める。
梅味噌の作り方
材料
青梅 500g
砂糖 500g
米味噌 500g
味噌、砂糖、梅の順に消毒した保存瓶に層になるように重ねていく。ふたをして2〜3週間常温保存。瓶を毎日振って発酵を促す。2週間たったら食品用手袋などをして梅を取り出し、種をはずしてミキサーで潰し、瓶に戻す。冷蔵庫に入れ、仕込みから約1か月でおいしい梅味噌に。
自慢の梅仕事がおりなす多彩な味わい
お客様へのおもてなしの梅尽くし膳。1年前に漬けた秘伝の梅干しを、すったり揚げたり、さりげなく忍ばせたり。その味わいは、酸っぱいものから甘いものまで多彩。お寺ならではの食材と組み合わせて、初夏を感じる彩りゆたかな梅料理が揃いました。