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【にい経編集部発】記者コラム&今週の主なニュース 3月10日〜3月16日

にいがた経済新聞

記者コラム

県北胎内市に企業再生の歩みを見た

先日、胎内市の越後ふとん株式会社へ、工場見学の取材にお邪魔した。レポートの記事は近日公開の予定。

同社の前身は、創業1868年(明治元年)という150年以上続く老舗ふとんメーカー・株式会社イトウ。もともとは新発田市に本社を構え、昭和54年に現在の胎内市である旧黒川村の廃校舎を使用した生産工場を稼働させた。老舗に培われた確かな技術と高品質の羽毛布団で全国の生協という堅い販路を獲得し、ピーク時には60億円以上の年商があったが、その後に「成長の壁」は訪れた。2017年に事業再生型バイアウトにより大手ファンドが買収、屋号も「越後ふとん」となる。

新たな経営下で取り組まれたのは、社員のモチベーション向上だったという。その初手が「越後ふとん」としてのブランディングで、新しい印象的な企業アイコンに変えられた。同時に新たな商品開発にも着手し、「睡眠」をトータルに提案する寝具メーカーとしての立ち位置から、ZeroGimとコラボした睡眠の休息効果を高める「脱力まくら」を発売。商品化にあたってクラウドファンディング(応援購入サービス)を募集したところ、なんと達成率8454%を記録する反響を呼んだというから、越後ふとんにとって大きなパブリシティとなったに違いない。今後がますます楽しみな地場企業のひとつである。

ここ10年の間に、中央の再生ファンドが地方の中小企業に資本を再注入して軌道に乗せようという動きが再び活発になってきた印象だ。それは「元手がなくても企業買収できる」というLBO(レバレッジド・バイアウト)を金融機関側が積極的に売り出すようになったこともある。顕著な成功例として頻繁に挙げられるのは06年のソフトバンクによる英ボーダフォン日本法人買収。買収後の状況は説明の必要に及ばないだろう。一方でミスマッチ例も掃いて捨てるほどある。そのため、再生ファンドという響きだけでネガティブにとらえる声もいまだにある。

越後ふとんの前身イトウの場合は、全国生協という強固な販路を持っていたこと、確かな技術とノウハウが培われていたこと、自社工場を持つ強みがあったことなどから、継続的に利益を生み出せる体質にはあった。バイアウトが成功するには、おそらくここが前提となるのだろう。

越後ふとんは現在、実質ネクスト・キャピタル・パートナーズ株式会社の運営となっているが、経営の本体と生産拠点は胎内市におかれたままで、あくまでも前身のルーツである新潟県にこだわっていこうという方針が見える。買収先が、ここまでわかりやすく地元にコミットしていく姿勢を示しているのは、この規模になると珍しい。こうしたローカライズ、新潟の地場産業としての歩みは、それこそブランディングの第一歩なのかもしれない。

(編集部 伊藤直樹)

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