「戦争中でも女性の”おしゃれ心”に希望を」創業106年 札幌で愛される美容室の思い
HBCテレビ「今日ドキッ!」より、選りすぐりの情報をお届けします。
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新しいお店が次から次へとオープンする一方、長く続いているお店があります。
北海道で50年以上続くお店にスポットをあて、愛されている理由を探るコーナー「ザ・ロングセラー愛されるにはワケがある」。
今回は、創業106年の札幌の老舗美容室に注目しました。
創業106年 札幌の美容室に危機が?
二条市場のそばに店を構える、創業106年の老舗「美容室 桜井」 。
カット・カラー・パーマは、もちろん、エステ・ネイル・着付け・ウエディングとあらゆるメニューがそろった総合美容室です。
お姫様気分を味わえるのが、“ハンドマッサージ”のサービス。 すべてのお客さんにハンドマッサージをしています。
そして、お茶のサービスも!
紙コップではなく、おしゃれなカップ&ソーサーで出してくれます。
ティーバックではなく、その日の天候やお客さんの気分にあわせて30種類用意しているハーブティーの中からブレンドしています。
さらに、お客さんが座る鏡の前には季節の花が飾られています。
大正7年、札幌で誕生した「桜井美粧院」
創業者を知る、3代目三澤龍子さん。
3代目三澤さん:「創業者は非常に進取の気性に富んでいました」
大正7年、札幌の街の中心部に「桜井美粧院」として創業。
創業者の桜井かねをは、明治33年生まれ。
流行を取り入れるのが早く、札幌でいち早く“電気パーマ”を取り入れました。
“電気パーマ”とは、電気で加熱した器具と薬液を使ってパーマネントをかけること。
パーマのロッド1つ1つに電熱線がつながっています。
当時の雑誌の表紙には電気パーマをかけた女性のイラストが載り、桜井美粧院でも列ができるほど人気となったそう。
ところが!その電気パーマに危機が!!
1943年以降、エネルギーが乏しくなり、電力規制で電気パーマ機が使えなくなってしまいました。
そこで、かねをが取り入れたのが…!
「木炭パーマ」。
客が持ってきた木炭で火をおこし、鉄製のコテを熱して髪にカールやウェーブをつけました。
戦時中は、木炭も配給制。
客は節約をしてまで木炭を持ってきたそうです。
「戦争中でも女性の希望や夢をかなえたい」
三澤さん:「戦争中でも女性の"おしゃれ心"に対して希望・夢を叶えようとする…そういう女性だったと思います」
三澤さん:「おしゃれは禁止されていましたよね。戦時中はそれでも、女の人は、おしゃれをしたくてスカーフをかぶり、ぎゅっと縛ってお帰りになったそうです」
三澤さん:「(お客さんが)ニコニコして帰るのがうれしいんだって、いつもおっしゃってました」
愛されるワケは…
三澤さん:「お客さんを愛さなければ、愛してもいただけません。お一人お一人を愛する。とことん相手の求めるものは何かなぁと、それに寄り添うことでないかなと思うんですよね」
振袖をドレスにアレンジ&伝統の日本髪
創業者の新しいものを提案しようという精神は、今も受け継がれています。
成人式で着た振袖をハサミ1つ入れずにドレスにすることができるそうです。
「振袖ドレス」
着付けの仕方でドレスにすることができるという革新的なアイデア。
ウエディングドレスにする方が多いそうです。
一方、伝統も大事にしています。
日本髪がその1つ。
日本髪を結える美容師は、札幌ではいま少なくなっています。 美容室桜井ではわずか20分で仕上げる事が出来るそうです。 結婚式で自分の髪で日本髪を結いたいという方がいらっしゃるのだとか。
札幌で100年以上に渡って長く愛されている「美容室 桜井」。
そこには「女性たちの”おしゃれ心”に対して希望や夢を叶えたい」という、創業当時から変わらない想いがありました。
【美容室 桜井】
住所:中央区南2東2
電話番号:011‐221-4771
営業時間:午前9時~午後7時
定休日:火曜・第2水曜
※掲載の内容は番組放送時(2024年1月8日)の情報に基づきます。