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猫の下部尿路疾患(FLUTD)って何?5つの症状と予防法

ねこちゃんホンポ

下部尿路疾患とは?

腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に溜められます。そして、尿道を通って排出されます。この尿の通り道全てを尿路といい、その中でも膀胱から尿道の出口(外尿道口)までを下部尿路といいます。

猫では、この下部尿路に生じるトラブルを総称して「下部尿路疾患(FLUTD)」と呼んでいます。その原因となる疾患は次のようなものが挙げられます。

特発性膀胱炎

特発性膀胱炎とは、結石や尿路感染症が見られないタイプで原因が特定されない膀胱炎です。

ストレスが大きく関与していると考えられています。

治療としては、対症療法に加えてストレスの緩和を図ります。特発性膀胱炎に効果的とされる療法食を活用することもあります。

尿石症

尿石症とは、尿に含まれるミネラルが結晶化し、膀胱や尿道に砂や石といった形で溜まってしまう病気です。砂や石によって膀胱が傷ついたり、尿路がふさがってしまうことが問題となります。尿石の成分によって名称がつけられていて、代表的なものとしては「ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム)」と「シュウ酸カルシウム結石」が挙げられます。

治療は、対症療法に加え、ストルバイトの場合は高くなっている尿のpHを下げることなどを目的とした食事療法を行います。ストルバイトはpHが高いと形成されやすく、pHを下げると溶解するからです。

シュウ酸カルシウムは尿のpHが下がると形成されやすくなりますが、ストルバイトとは異なり、尿のpHをあげても溶解しません。一度シュウ酸カルシウム結石が作られてしまうと、それを取り除くためには全身麻酔を用いた手術での摘出が必要となります。

この他にも、感染症や腫瘍などが原因となっている場合もあります。

見逃さないで!下部尿路疾患の症状

下部尿路疾患は、強い痛みを伴ったり放置すると一切尿が出なくなって命にかかわることもあります。

次に紹介する5つの症状が一つでも見られたら、時間を置かずに動物病院を受診するようにしてください。

1.頻繁にトイレに行く

普段より頻繁にトイレに行くようであれば要注意です。すぐにトイレをチェックしてください。少量の尿がちょこちょこある状態は尿路系の疾患によく見られる症状です。

また、頻繁にトイレに行くけれども尿が出ていないこともあります。それは、おしっこをしたくても出ないのかもしれません。尿が全く出ていない時間が長ければ、急いで動物病院を受診しましょう。

2.血尿やキラキラ光る尿が出る

尿中の結晶によって、尿がキラキラ光って見えることがあります。また、白く濁った尿や膿みのような尿、血尿が出ることもあります。

ちなみに猫は交尾排卵動物なので、月経はありません。尿に血が混ざることは病気のサインなので気をつけましょう。

3.排尿する際に痛がる様子がある

膀胱炎では、残尿感やツーンとした痛みを伴います。尿石症では、結石が尿道を塞いでしまうことで尿が出にくくなり、激しい痛みが襲います。

排尿時に、唸り声や悲鳴のような声を上げていたら尿路系の病気を疑いましょう。場合によっては急を要する症状であることもあるので、すぐにかかりつけの病院へ連れて行きましょう。おしりやおしっこの出口を頻繁に舐めるのも、FLUTDによる痛みが原因である可能性が考えられます。

4.お腹に触れられることを拒む

猫にとって腹部は急所です。日頃からあまり触れられることを好まない部位ですが、いつも以上に拒む場合は何か不調を抱えていたり、腹部に痛みがあるのかもしれません。

その原因が尿路結石や尿路閉塞であった場合、緊急性の高い状態です。可能な限りすぐ受診してください。

5.トイレ以外の場所で排尿してしまう

猫は綺麗好きで、砂の敷かれたトイレで排尿をするのは本能によるところでもあるので、理由なく粗相をすることはあまりありません。

粗相自体が必ず尿路系の病気を示しているわけではありませんが、粗相がある場合には、尿路系病気も疑いましょう。

下部尿路疾患はある程度予防できる!

下部尿路疾患は生活習慣に気を配ることで、完全に防ぐことは無理でもある程度なりにくくなる病気です。予防するポイントをご紹介いたします。

水を飲む習慣をつくる

猫は元々あまりたくさん水を飲む習慣がありません。これがおしっこを濃くさせたり膀胱におしっこが貯留している時間を長くし、尿路系の病気になりやすい原因でもあります。飲み水にささみの茹で汁を加える、ぬるま湯に温める、微量のマタタビを加える、水流のある飲水器を使う、ボトルではなくお皿で飲ませる、置いておく水の数を増やすなどの工夫をしてみてください。積極的に水を飲む習慣をつくることが大切です。

ストレスに気をつける

猫はとても繊細な動物です。些細な環境の変化もストレスとなることがあります。

ストレスに繋がる状況を作らないことと、ストレスがかかった場合にフォローしてあげることが重要です。適度に遊んであげる、猫がひとりでも遊べる環境を整える、愛猫が安心できる場所を整えてあげるなど、家族構成の変化があった場合(人間でも動物でも)や引っ越しの際には十分にケアをしてあげる、トイレに気に入らない点がないか確認する、トイレの数や清潔さは十分か常に気を付ける、存分に爪とぎできる環境を整える、トイレと食事の位置関係は適切か確認するなど、猫ができるだけストレスをためないような対策を行いましょう。

まとめ

猫に多い下部尿路疾患、小さな異変に気づいたら速やかに診察を受けましょう。

そして日頃から、ストレスをためさせないように気をつけて、水を積極的にのむ習慣を身につけられるようにしてあげてください。


(獣医師監修:木下 明紀子)

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