イスラエル軍が大規模空爆。レバノンで強大な軍事力を持つヒズボラとは?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、9月25日の放送に毎日新聞論説委員の小倉孝保が出演。イスラエル軍が9月23日に行なった、レバノンの民兵組織ヒズボラに対する大規模な空爆に関してコメントした。
鈴木敏夫(文化放送解説委員)「イスラエルのネタニヤフ首相はヒズボラに対する大規模空爆を続行すると表明しています。一方でヒズボラもロケット弾をおよそ300も発射して対抗。交戦が激しさを増しています」
長野智子「まずヒズボラとは何か、教えてください」
小倉孝保「一言では難しいんですが、よく聞くガザのハマスが、イスラム教のスンニ派の組織であるのに対し、ヒズボラはシーア派。イランが国教とするイスラム教のシーア派の組織がレバノンにあるんです。レバノン南部にはシーア派を信仰する住民が非常に多い。そこの人たちによって、イスラエルに対抗するためにつくられた組織。1982年、当時、レバノンの南部はイスラエルに占領されているようなかたちだったんです」
鈴木「ええ」
小倉「イスラエル軍が侵攻していましたから。それを追い出す目的でイランがつくったとされる組織です。イランというのは1970年代の後半にイスラム革命で、イスラム教シーア派の国をつくるというのでできた国ですよね。周辺の国に革命の輸出というか、同じようなイスラム指導体制の国をつくろうとした。そう簡単にいかないけれど、唯一、半分ぐらいうまくいったのがヒズボラなんです」
長野「はい」
小倉「おそらくレバノンでは、いまもっとも影響力の強い組織です。政党でもあるし。たとえば病院、福祉事業など、住民に対するサービスもする。同時に軍事部門も持っている」
長野「ハマスと似ていますよね。公共サービスも提供している」
小倉「選挙をして国会議員を選出もしていますからね。いまレバノン政府ってすごく揺れていて暫定政権となっていますけど、一時期、連立政権にも入っていましたから。外国からしたらレバノン政府の一部であると同時に、イスラエルに対して軍事攻撃を仕掛ける抵抗組織でありテロ組織、という認識です」
長野「ただ最近、ものすごく軍事能力が拡大してきたと聞きますね」
小倉「2000年にイスラエルを撤退に追い込んだんですね。アラブ世界、イスラエルに負けてばかりのアラブ側からすれば、レバノンの南部にいるヒズボラという連中はイスラエルを追い込んだのか、ということで人気が高まったんですよ。イスラエルもヒズボラからしょっちゅう攻撃を受けていたので2006年にかなり大規模な衝突が起きている」
鈴木「はい」
小倉「そこで国連が止めに入って2006年8月に停戦が合意されている。それからの間、ヒズボラはイスラエルへの攻撃の準備をすごく進めていた。ロケット弾を大量に保有したり訓練を充実させたり。たぶん外から見るより遥かに強い組織になっています」
長野「ハマスの7倍、武器を持っていると」
小倉「本格的に戦争するとなったら、イスラエル側からすればハマスの比ではないぐらい大変なんです」
このあとも小倉が、ヒズボラの取材経験も踏まえ、現在の中東情勢を解説した。詳しくはradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。