岡山のローカルレクリエーション『四手網』は老若男女が楽しめる海のアクティビティ
岡山県の海沿いには、全国でも珍しくなったとある漁を「楽しめる」場所があります。
岡山のローカルレクリエーション「四手網」
瀬戸内海の支湾で、岡山県の前海とも言える児島湾。浅い海が沖合まで広がるこの場所では、とある変わった漁が行われています。
その漁とは「四手網」。大きな四角い網を水中に下ろしておき、明かりで寄せた魚が網の上に溜まったタイミングで網を上げると、逃げ切れなかった魚が水揚げされる、というものです。
この漁法は現在、職業的に行われてはおらず、一般人のために開放されています。遊漁の一種として、お金を支払えば誰でもやってみることができるのです。
四手網の流れ
四手網は基本的に「四手網小屋」に付随する形で設置されています。やってみたい人はこの小屋を一晩レンタルする形になります。
小屋の一番海側には窓と柄の長いタモ網、そして四手網を上下させるためのスイッチがあります。網を海中に入れたら10~20分ほど待ち、網の上に魚が溜まったと思ったら網を上げるスイッチを押します。
網を一番上まで上げたら、中に溜まった水揚げをタモ網ですくい取り、小屋の中に取り込みます。タモ網が長いので少し疲れますが、四手網の操作自体はスイッチひとつで行うので子どもでも簡単にできます。危険もありません。
どんな魚が獲れるの?
四手網では、瀬戸内海沿岸で食用にされている様々な魚たちが獲れます。多くの場合最も水揚げが多いのは、ママカリの愛称で知られるサッパです。また近い仲間のコノシロ、サッパを巨大化させたような見た目で、岡山で特に愛される魚であるヒラもよく顔を見せます。これらの魚は酢漬け、酢じめなど酢と合わせる料理で美味しくなります。
魚以外にも、クルマエビの仲間で塩焼きが抜群に美味しいヨシエビ、小型のイカで釜茹でや煮物が美味しいベイカ、タイワンガザミやガザミなどのワタリガニ類がよく獲れます。秋になればアキアミという小型のエビの仲間も大量に網に入ります。
そして、運が良ければこれらの魚介類を追いかけてヒラメやマゴチといったフィッシュイーターの高級魚が網に入ることも。次は何が獲れるのだろうとワクワクしながら網を上げ下ろししていると、気がついたら一晩経過してしまっているのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>