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昭和平成ゴジラ愛とオマージュ満載!『ゴジラxコング 新たなる帝国』新登場のエイプ怪獣エトセトラ&まさかの「DBZ」インスパイアほか超解説【後編】

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昭和平成ゴジラ愛とオマージュ満載!『ゴジラxコング 新たなる帝国』新登場のエイプ怪獣エトセトラ&まさかの「DBZ」インスパイアほか超解説【後編】

ゴジラ70周年の記念すべきタイミングで絶賛公開中の『ゴジラxコング 新たなる帝国』を後押しするべく、本作の見所や元ネタを徹底解説。後編では、ついに出演が解禁となった“あの怪獣”や意外すぎるインスパイア元などについて解説する。

▶記事前編はコチラ👉️登場怪獣ほぼフル紹介!『ゴジラxコング 新たなる帝国』で描かれる史上初(!?)健康トラブルや山崎貴監督リスペクトほかトリビア徹底解説【前編】

「友愛」、「平和」、「協調性」、「コンプライアンス」という言葉とは無縁で、画期的にずる賢くて態度の悪さが(現実では勘弁だけど、映画の悪役的には)サイコーなスカーキングは戦闘の際、まずは自分は参加せず、彼の兵士となったエイプ怪獣たちに仕掛けさせる。スカーキングに忠誠を誓ったエイプ怪獣たちは、ボスと同じようにボディに赤いウォーペイントをほどこされ、スカーキングの私兵となる(映画のノベライズでは“レッド・ストライプス”と呼ばれている)。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』©2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

他に、スカーキングの奴隷となったエイプ怪獣たちも登場。さらにスカーキングは何頭もの女性エイプ怪獣たちに自分の子どもを出産させて、我が子として愛でるのではなく配下にする、という『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)、『マッドマックス:フュリオサ』(2024年)の悪役イモータン・ジョーも共感してくれそうで共感してくれない、権力志向に憑りつかれたヴィランだ。映画のノベライズによると、スーコもそんな境遇によって誕生した子どもで……。

『ゴジラxコング 新たなる帝国』©2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

ちなみにコングの同族怪獣は、『キングコング:髑髏島の巨神』公開後にリリースされた、映画の“その後”を描いたコミック「Skull Island: The Birth of Kong」にも登場する。同コミックの回想シーンで、幼いコングの両親と仲間のエイプ怪獣たちが、『キングコング:髑髏島の巨神』のヴィラン怪獣<スカル・クローラー>の大群から幼いコングを守るために命を落とす様子が描かれているのだが、エイプ怪獣たちは皆、コングと同じゴリラ系怪獣だった。

Skull Island: The Birth of Kong #1 (Kong: Skull Island) (English Edition)

しかし、本作は違う。ゴリラ系だけでなく、オランウータン系、チンパンジー系などが様々な種類のエイプ怪獣が登場する巨大な『猿の惑星』状態! ということなので劇中、コングVSスカーキングだけでなく、コングVSレッド・ストライプスも披露されるという、エイプ怪獣ファンならばこのシーンだけで白飯が何杯でもおかわりできるゴージャスな作品になっている。ぜひ「みんなちがって、みんないい」エイプ怪獣たちの魅力を堪能して欲しい!

『ゴジラxコング 新たなる帝国』©2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

また、スカーキングのダークな性格は1対1の戦闘にも表れている。コングを凌駕する俊敏さでトリッキーな攻撃を仕掛けてくるだけでなく、ハードコアな武器を使用。前作『ゴジラvsコング』でコングと戦った、全長130メートルの翼のある大蛇のような怪獣<ワーバット>の脊椎の骨で作られた鋭いムチだ。

コングとゴジラの共闘は「グラサンかけろ」「嫌だ」インスパイア!?

B.E.A.S.T.グローブを装着したコングはスカーキング軍団を倒すため、『ゴジラ対メガロ』(1973年)のジェットジャガーのごとく、地上にいるゴジラに助っ人になってもらおうとネゴシエートを試みる。このシーンで、ゴジラがジブラルタルの岸壁から海へダイブするのは、『ゴジラ対メガロ』のダイブ・シーンへのオマージュ。

PrimeVideo『ゴジラ対メガロ』©東宝

当然、前作で壮絶な殺し合いを繰り広げた者同士がスムーズにタッグを組めるわけはなく、ファンには嬉しいゴジラvsコングのリターンマッチがエジプトを舞台に勃発! ウィンガード監督がこのシーンの参考にしたのは、ジョン・カーペンター監督作『ゼイリブ』(1988年)でプロレスラーのロディ・パイパーとキース・デイヴィッド演じる主役キャラ同士が、方向性の違いからプロレス技も使って観客がドン引きするほど長い喧嘩をする名シーンだ。

ゴジラとコングの関係を描くのに影響を受けた作品は、『リーサル・ウェポン』(1987年)などの80年代に作られたバディものの刑事映画だよ。性格の合わない2人がコンビを組まされる映画は多いからね(笑)。そして、他に大きな影響を受けたのが『ゼイリブ』。この映画は、僕が人生で一番好きな映画といっても過言じゃない(笑)。『ゼイリブ』の中で特に好きなのが、本来はヒーローである主人公同士が誤解のために戦わなければならなくなるシーン。だから今回の映画の参考にしたんだ。ゴジラとコングの関係は、もっと複雑なんだけど(笑)。

それほどまでに『ゼイリブ』を愛するウィンガード監督は『ゴジラvsコング』のリターンマッチとして、『ゼイリブ』でロディ・パイパーが披露したブレーンバスターを本作でゴジラに使わせている。

再び優れたネゴシエーターぶりを発揮するモスラ

ゴジラとコング、どちらかが死ぬまで終わることがない対決を収めた怪獣は、劇場公開日までその存在が伏せられていたモスラだった。『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)以来、二度目のモンスター・ヴァース作品登場となるモスラは、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)でキングギドラを倒すためゴジラとラドンと交渉したように、本作でも見事なネゴシエーターぶりを発揮する。

PrimeVideo『三大怪獣 地球最大の決戦』 TM & ©1964 TOHO CO. LTD.

コングとモスラは、1966年に企画された東宝怪獣映画『ロビンソン・クルーソー作戦:キングコング対エビラ』で共演するプランがあったが、企画が頓挫して実現には至らなかった。そして、ゴジラ誕生70周年の2024年に遂に共演! だがウィンガード監督は、この奇跡を実現させるためにも長い道のりがあったと語っている。

実はこの映画が動き出した頃、モスラを映画に出せるか決定していなかったんだ。だから、僕らは<フォスフェラ>というモスラに代わる新怪獣の案も考えていた。でも、最終的にモスラを登場させることができて良かったよ! ゴジラとコングの喧嘩を収めることができるのは、やっぱりモスラしかいないよね(笑)。

ちなみにフォスフェラは、本作の地下空洞世界シーンの壁画に描かれているので、興味のある方はリピート鑑賞時にチェックしてみてほしい。人型のボディに大きな翼と尾が生えた鳥人間チックな壁画がそれなので。

PrimeVideo『モスラ(1961)』©東宝

格闘ゲーム「ゴジラ怪獣大乱闘」の影響

本作最大の見せ場といえば、遂にシリーズ初の本格タッグを組んだゴジラ&コングVSスカーキング&シーモ戦なのだが、モンスター・ヴァース映画史上最も登場怪獣の種類&数が多い本作には、他にもグッとくる怪獣バトルがある!

まずはコングVS本作初登場のヘビ型怪獣<ドラウンバイパー>戦。このゴリラ怪獣とヘビ型怪獣の戦いは、『キングコングの逆襲』(1967年)のコングVS大ウミヘビ戦にオマージュを捧げている。ちなみに『キングコング:髑髏島の巨神』のヴィラン怪獣も当初はスカル・クローラーではなく、『キングコングの逆襲』ファンへのサービスとして水中に棲む大蛇にするというプランもあった。

PrimeVideo『キングコングの逆襲』©東宝

そして先にも少し触れた、ゴジラVSヘビ型怪獣ティアマット戦も見逃せない。ティマットもドラウンバイパーと同じく映画初登場の怪獣だが、実は『ゴジラvsコング』公開前にリリースされた前日譚コミック「ゴジラ:ドミニオン」で初登場している(『ゴジラ キング・オブ・ザ・モンスターズ』[2019年]でもモナークのPCモニターに名前が出てきたが、登場には至らなかった)。こういうコミックのネタも回収するウィンガード監督の細やかなセンスは本当に素晴らしい。

「ゴジラ:ドミニオン」(LEGENDARY COMICS)

本作での怪獣同士のバトルを描く際、ウィンガード監督は格闘ゲーム「ゴジラ怪獣大乱闘」シリーズを参考にしたという。モンスター・ヴァース作品のお約束のひとつといえば毎回、メイン・ヴィランが主役怪獣にブルータルきわまりないバイオレンスでトドメを刺されるところ! 今回、ゴジラ&コングVSスカーキング&シーモ戦にピリオドを打つフィニッシュ技を考える際、ウィンガード監督は残酷格闘ゲーム『モータルコンバット』で、フラフラになった相手のボディを後戻りできないくらい破壊するフェイタリティ(究極神拳)を参考にしたという!

『モータルコンバット』は僕の人生に、常にヒントを与えてくれるんだ!

素晴らしい! そういう感性のオーナーだからこそ、モンスター・ヴァース作品史上最も登場する怪獣の種類と数、そしてバトルの数も多いのに、上映時間が2時間以内(※115分)という怪獣映画ファンにはたまらない作品を作ることができるんですね! その感性を大事にして、ジェットジャガーとメカニコングが登場するまでモンスター・ヴァース作品を作り続けてほしい! と願ってやまない今日この頃である。

文:ギンティ小林

『ゴジラxコング 新たなる帝国』は全国公開中

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