色褪せてきた「令和の怪物」…ロッテ佐々木朗希の3年間データを比較して分かったこと
8日の楽天戦で8勝目も5回98球で降板
ロッテの佐々木朗希が9月8日の楽天戦(ZOZOマリン)に先発し、5回7安打7三振4四球3失点で8勝目を挙げた。中8日でのマウンドで5回終了時点で3点をリードしていたが、98球を投げていたこともあり降板。CS進出争いの真っ只中で、その後のポストシーズンも見据えると物足りなさは否めない。
13者連続を含む19三振を奪って史上16人目の完全試合を達成したのが2022年4月10日のオリックス戦。細身の体で最速160キロを超える剛腕は、ケガをしないよう大切に育てられてきた。
完全試合の次の登板となった2022年4月17日の日本ハム戦は8回まで14三振を奪ってパーフェクトに抑えながら、2試合連続完全試合の偉業を諦めて降板させたのも首脳陣が故障予防に配慮したからだった。
しかし、並み居るプロの強打者が手も足も出なかったあの頃に比べると、今季の佐々木はスケールダウンしたかのようだ。2022年以降3年間の年度別成績を比較してみたい。
防御率、奪三振率とも3年間で最悪
勝ち星は2022年が9勝、2023年が7勝、今季がここまで8勝と安定しているように見えるが、防御率は2022年が2.02、2023年が1.78なのに対し、今季は2.43と最も悪い。奪三振率(K/9)も2022年から順に12.04、13.35、10.62と落ちている。
かつて力強い腕の振りで打者をキリキリ舞いさせたストレートは球威が落ちているのか。そこで球種別のデータも調べてみた。
ストレートとフォークは被打率、球速、空振り率とも悪化
表を見れば一目瞭然だが、ストレートとフォークのほとんどの項目は今季がワーストだ。ストレートの被打率は2022年から順に.227、.229、.299と今季は7分も悪化。平均球速は2022年から158.3キロ、159.1キロ、156.1キロと遅くなっており、空振り率も9.8%、11.9%、6.5%と下がっている。
フォークも同様に被打率は.113、.097、.122と悪化しており、空振り率は29.4%、29.8%、24.3%と今季が最も低い。
唯一スライダーだけは被打率.133、.188、.127と良化しているものの、平均球速は141.8キロ、141.0キロ、135.0キロと遅くなっており、空振り率も21.1%、19.2%、15.3%と下がっている。
今季は被打率の悪化したストレートとフォークの割合を減らし、スライダーを増やしているところに工夫の跡が見て取れる。スライダーは2022年の5.0%から今季は23.7%と大幅に増えているのだ。悪いなりに8勝を挙げているのは、このあたりも要因のひとつだろう。
球威で押すタイプの剛腕が年齢を重ねるにつれて変化球の割合を増やすのはよくある話だが、佐々木朗希はまだ22歳。ましてやメジャー挑戦が噂されるとあれば、球威の低下は不安材料となる。
その原因が技術的な問題なのか、疲労なのか、体の状態が万全でないのか分からないが、「令和の怪物」が色褪せていくのは球界にとって損失だ。かつての輝きを取り戻す日は訪れるだろうか。
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記事:SPAIA編集部