淡水魚<キタノアカヒレタビラ>を学ぶ?「うみがたりのサステナビリティアクション」開催【新潟県上越市】
新潟県上越市にある上越市立水族博物館「うみがたり」は現在、持続可能な社会の実現を目指した企画「うみがたりのサステナビリティアクション」を実施しています。
国連総会でSDGsが採択された9月25日を含む一週間の「SDGs週間」にあわせた企画で、サステナビリティ強化期間として啓発イベントを展開中です。
アクアポニックスで取り組む循環型社会
水槽の魚の排泄物を栄養として野菜を育てる水耕栽培「アクアポニックス」。うみがたり1階のフィーディングプールに浮かべたプランターにリーフレタスやコマツナなどを植え、日光やプール内にすむコイの排泄物などを養分に栽培しています。
アクアポニックス(提供:株式会社 横浜八景島)
アクアポニックスの実施期間は11月24日まで。収穫した野菜は、うみがたりで飼育している雑食性の魚にエサとして与えることで、うみがたり内で循環型社会を再現しています。
地域の学校、新潟県立海洋高等学校、新潟県立高田農業高校と協同で、アクアポニックスをスタートさせるのに必要な苗や、それを育てるための肥料づくりにも挑戦。
新潟県立海洋高等学校は、うみがたりのエサ用の魚のアラを用いた肥料と飼料の作成を担い、新潟県立高田農業学校はその肥料を用いてアクアポニックス用の種苗を生産しています。
<キタノアカヒレタビラ>への理解を深めるプログラム
9月20日から9月28日の期間には各日午前11時30分から、上越市内で生存数が激減した魚「キタノアカヒレタビラ」について学べる特別プログラムを実施します。
キタノアカヒレタビラは、東北地方の日本海側や北陸地方に生息する淡水魚。うみがたりのある上越市では絶滅危惧Ⅰ類に指定されています。
うみがたりではキタノアカヒレタビラの保全活動を実施しており、本プログラムではキタノアカヒレタビラに関するレクチャーのほか、実際にうみがたりで繁殖した個体や繫殖作業場などを案内するガイドツアーを行います。
受付は、当日チケット売り場で行われ、定員は各回10名です。
石川・富山・新潟の5施設が連携!<ニホンイトヨ>チーム発足
日本海沿岸の河川において個体数が著しく減少するニホンイトヨ。上越市内では近年生存が確認されていない魚で、本州ではほぼすべての件で絶滅危惧種に指定されています。
ニホンイトヨの分布調査、生息環境の把握、保全啓発活動を行うため、今年8月には石川・富山・新潟の5施設が連携する「日本海ニホンイトヨ探索プロジェクト」チームが発足。日本海沿岸におけるニホンイトヨの認知度向上と保全意識の向上を目指しています。
チームはうみがたりのほか、のと海洋ふれあいセンター、のとじま臨海公園水族館、魚津水族館、上越市立水族博物館で構成。うみがたり2階「日本海を育てる山と大地」では、9月20日からニホンイトヨの繁殖個体を展示しています。
造礁サンゴの大切さを伝える
2階「きらめきリーフ」では、固い骨格をもつ「造礁サンゴ」を飼育展示。造礁サンゴが時間をかけて生育していく姿を通じて、サンゴの魅力や役割を伝えます。
サンゴ礁を形成する土台となる造礁サンゴ。海の生態系の基盤でもありながら、海岸を護る防災機能、美しい景観を持つ観光機能など、さまざまな役割を担っています。
サステナビリティ強化期間に合わせ、サンゴの飼育展示の経緯や、サンゴの白化現象などについて伝えるレクチャータイムを実施します。
レクチャータイムは、10月11日と25日の2日間、午後1時から行われます。
うみがたりで<川や海を守る秘訣>を探ろう
うみがたりではその他にも、10月に新潟県立海洋高等学校とコラボしたチョウザメ展示、11月にサケと上越地域のつながりを発信する「おかえりサーモン~サケの遡上観察会~」を実施するなど、多様な視点から川・海の環境を伝えるそうです。
詳しくは上越市立水族博物館『うみがたり』の公式ホームページで確認できます。
※2025年9月23日時点の情報です。
(サカナト編集部)