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私はミワ。夫のケンゴと、中学2年生の息子ナオユキと一緒に暮らしています。結婚当時は自己主張がはっきりしているケンゴを頼もしく思っていましたが、今となってはその性格が悪い方向に出ているように感じます。というのも年々私に対する口の利き方が荒くなり……。ここ2～3年ほどは聞くに堪えないような暴言を吐くようになったのです。とはいえケンゴはナオユキにとっては大事な父親。そう簡単に離婚の選択をすることはできないと思い、スルーして耐え続けていました。

私はフルタイムで働いており、今日は在宅勤務です。しかし仕事を始めようとしたとたん、ケンゴから怒涛のメッセージが……。私はギョッとしました。あまりに一方的なので、悲しさや悔しさというより、そこはかとない恐ろしさすら感じます。

お昼休みの時間になり、私はリビングで食事をとります。録りためておいたバラエティ番組を再生すると、若い女性タレントが数人アレコレと話していました。「キャハハ」と笑う明るい声。それは私たち夫婦をあらわす言葉のように聞こました。

私は立ちあがるとそのままケンゴの部屋へ向かいました。そしてクローゼットや引き出しのなかに隠されていた不倫の証拠を見つけたのです。 私はようやく、ケンゴが急に「離婚」と言い出した理由を理解しました。おそらく私と別れて不倫相手と結婚したいということなのでしょう。しかしナオユキのことを考えると、簡単に離婚に踏み切るわけにはいかないと悩みます。 正直なところ、ケンゴが不倫をしていたことはそこまでショックではありませんでした。かといってナオユキが巣立つ何年も先まで、不倫の事実を知ったまま夫婦関係を続けられるのか……。私はこれからどうしたものかと悩んでいます。

着々と集まる不倫の証拠！息子捨てようとするなんて最低！

結婚した当時、私たちは緊急時にそなえてパソコンやスマホのパスワードを教えあっていました。お互いに「いつでも見られて構わない」という認識を共有していたのです。まさかこんな目的でケンゴのスマホを開くことになるとは思っていませんでしたが……。

ケンゴからのメッセージを目にした瞬間、私は言いようのない感情に襲われます。私のことだけならばまだしも、ナオユキのことまで「いらない」だなんて……。情けなくて腹立たしくて、ずっと離婚せずに耐えていたのがバカバカしくなりました。

ケンゴの不倫の気配を感じた私は、何も知らないふりをして平常心を装い証拠を集めつづけました。すると不倫相手が抱えている借金500万を、ケンゴが支払うつもりでいるのが分かったのです。だからケンゴはやたら「慰謝料500万よこせ」とわめいていたんだ……。 それでもナオユキのためすぐに離婚はせずに頑張るつもりでしたが、今回のケンゴからのメッセージでそんな気持ちも吹き飛んでしまいました。ナオユキのことを大切にできない父親ならばいないほうがマシです。 今後は離婚に向けてしたたかに計画をすすめていくつもりです。

頼もしい息子の言葉で吹っ切れた「慰謝料を払うのはアナタ」

ナオユキと話し合いをした翌日、私はすぐ弁護士さんに相談。その足で不動産屋さんに行き、実家の親に保証人を頼んで2週間後にはアパートを契約します。そしてひそかに準備をすすめ、ケンゴの留守の間に私たちは一気に引っ越しをしました。

しばらくして離婚は成立。ケンゴからはときおり連絡が来ることもあります。以前とはうってかわってしおらしい様子で、「悪かった」「謝りたい」「慰謝料を減額してほしい」といった内容です。「ナオユキと会わせてくれ」と懇願されることもありましたが……。

ずっと私が守っていると思っていた息子のナオユキ。話をすると驚くほどサラリと離婚に賛成してくれ、「学区内ならば引っ越ししても大丈夫」という言葉まで飛び出してきたのです。いつの間にかすっかり頼もしく成長していて、今回は私が助けられてしまいました。 ひょっとしたら私が黙って耐えている姿は、かえってストレスを与えてしまっていたのかもしれません。これからはいっそう頑張り、ナオユキと2人で助け合いながら楽しく生活できたらいいなと思っています。