子供の頃にゴミ捨て場で手に入れた版画、オークションで650万円超に(英)
リサイクルショップや骨董品店で何気なく購入したものが、非常に価値があるものと判明するケースもある。イギリスのある男性は、13年前にゴミ捨て場で版画を手に入れたが、史上最も有名な芸術家の作品であることが分かった。英ニュースメディア『Metro.co.uk』などが報じた。
【写真】13年前、ゴミに出される寸前だった版画はドイツの巨匠の作品だった
英ケント州クランブルック在住のマット・ウィンターさん(Mat Winter、24)は16世紀のドイツ・ルネッサンス期に作られた版画を所有していたが、今年9月に英スタッフォードシャー州リッチフィールドのオークション・ハウス「レア・ブック・オークション(Rare Book Auctions)」にて高額で取引され、その金額が話題となった。
この版画は、1513年にドイツの巨匠アルブレヒト・デューラー(Albrecht Durer)が制作した作品で、彼は史上最も才能のある芸術家の一人として知られている。マットさんがこの有名な版画を手に入れたのは、11歳の時だった。
当時マットさんは、地元のゴミ捨て場で車にゴミを積んだ女性が捨てようとしていたゴミ袋の中に、A4サイズほどの白黒の版画を見つけ、女性に譲ってほしいと頼んだ。もともと捨てる予定だったことから、女性は驚きながらも快くマットさんに版画を渡した。
版画は「騎士と死と悪魔(Knight, Death and the Devil)」と題されていた。マットさんはこの版画をクローゼットに13年間保管していたが、特別な価値があるものかどうかを確認するため、レア・ブック・オークションで鑑定してもらうことにした。
レア・ブック・オークションのディレクター、ジム・スペンサーさん(Jim Spencer)は当時の鑑定の際のことをこう語った。
「マットが版画を鑑定のために送ってくれた時、『13年前、ゴミ捨て場に来ていた人からもらった』と言っていたので、実はあまり期待していませんでした。」
「ところが、包みを開けてエアパッキンを剥がしてみたところ、私は驚いてよろめきながら後ずさりました。光にかざすとその精巧さに驚き、思わず手が震えました。」
ジムさんは、版画がデューラーのものであると確信した瞬間、その価値に驚き、胸が高鳴った。そして、すぐにロンドンの大英博物館に連絡を取り、マットさんと共に版画を持って同博物館へ行き、さらなる鑑定をしてもらうことにした。
最終的に版画はデューラーの作品であることが確認された後、今年9月にオークションにかけられ、総額3万3390ポンド(約656万6500円)で落札された。ゴミとして処分されようとしていた版画が、ここまで価値のあるものだとはマットさんも想像していなかったに違いない。
今回、デューラーの作品を落札したのはドイツの個人コレクターであり、マットさんは「この版画は故郷に戻ることになりますね」と述べた。
画像は『Manchester Evening News 「Renaissance art found at tip by boy, 11, sells for £33k at auction」』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)