出会ってしまった“二人の男と一人の女” 常識を越えた数奇なラブストーリーの世界が観る者を翻弄する『雨の中の慾情』
『さがす』『ガンニバル』の片山慎三監督が、つげ義春のシュルレアリスム作品「雨の中の慾情」を原作に、独創性豊かに映画化した最新作『雨の中の慾情』が、11月29日(金)公開される。このたび、世界観の異なる2種のティザービジュアルと、特報映像が解禁となった。
片山慎三が創出した独創性溢れるラブストーリー
アジア映画で史上初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督の助監督として研鑽を積み、長編映画デビュー作『岬の兄妹』(18)で日本映画界に衝撃を与えた片山慎三監督。予測不能の展開が話題を呼んだ『さがす』(22)や、国内はおろかアジア圏で高く評価された『ガンニバル』(23)など、センセーショナルな作品を次々と世に送り出してきた彼が今回挑むのは、今年デビュー70周年を迎える「ねじ式」「無能の人」などで知られる伝説の漫画家・つげ義春による短編「雨の中の慾情」の映画化だ。メインキャストは成田凌、中村映里子、森田剛。二人の男と一人の女の切なくも激しい性愛と情愛が入り交じる、数奇なラブストーリーが誕生した。
2種のティザービジュアルは、大きく異なった雰囲気を纏っており、片山慎三監督が本作で創出した独創性溢れる世界観を味わえる。成田凌演じる義男だけが虚ろな表情で正面を見つめるビジュアルAは、森田剛演じる伊守、中村映里子演じる福子のおぼろげな表情が印象的だ。義男・福子・伊守、三人が見つめる先にあるものとは…?タイトル通り、雨の中に佇む二人の男女が描かれたビジュアルBからは、今にも降りしきる豪雨の音が響いてきそうな臨場感を感じ、切なさと切迫した気持ちが入り交じる奇妙な感情が沸き起こる。
独創的なラブストーリーの期待が高まる特報映像
主演の成田凌が演じるのは、貧しい北町に住む売れない漫画家・義男。森田剛演じる自称小説家の伊守とともに、引っ越しの手伝いに駆り出された先で中村映里子演じる福子に出会う。離婚したばかりで、艶めかしい魅力をたたえた福子を一目見た瞬間、取り憑かれたかのように心を奪われた義男は、一心不乱に福子の美しい肢体を描きあげる。「触るんじゃなくて描くんですね」と義男に告げる福子。そして、義男の秘めた想いを静かに暴く伊守。「大体手に入らないんだよ、欲しいものは」と天を仰ぎ見る義男。出会ってしまった二人の男と一人の女—。切なくも激しい性愛と情愛が交わる先には、常識を越えた数奇なラブストーリーの世界が観る者を翻弄する。
本作は、2023年3月に劇中のほとんどのシーンを台湾にて撮影。昭和初期の日本を感じさせるレトロな町並みが多い台湾中部の嘉義市にてオールロケを敢行した情緒溢れる映像世界も、本作の大きな魅力の一つだ。撮影監督・池田直矢(『ガンニバル』『さがす』『エゴイスト』『死刑にいたる病』)、人物造形&衣裳デザイン・柘植伊佐夫(『岸辺露伴は動かない』『翔んで埼玉』シリーズ)、音響・井上奈津子(『ゴジラ-1.0』)、美術&質感師(エイジング)・陳新發(『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』)ら日本&台湾の一流スタッフが各々の才を持ち寄り、片山監督のもと唯一無二の映像世界を構築した。
2024年に欧州最大規模の漫画祭である「フランス・アングレーム国際漫画祭」で歴史に残すべき作品に授与される【PRIX DU PATRIMOINE(遺産賞)】にノミネートされたつげ義春ならではのシュルレアリスム作品「雨の中の慾情」。この異端作をベースに、片山慎三監督が独創性溢れる数奇なラブストーリーとして創出した本作。観客の脳/目/耳/心をかつてない映画体験へと叩き込むかつてない衝撃作、今後の続報にも注目だ。
『雨の中の慾情』は11月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開