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ライバルに敗れて逃した夢の五輪…再び立ち上がった丸山城志郎「勝って終わりたい」の真意

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丸山城志郎,Ⓒゲッティイメージズ

阿部一二三に敗れて引退考えるも…グランドスラム・パリで再起へ

2月2日に開幕する柔道のグランドスラム・パリに出場する丸山城志郎(30)がオンライン取材に応じ、意気込みを語った。

丸山は昨年5月の世界選手権男子66キロ級決勝でライバル・阿部一二三(26)に敗戦。2021年の東京五輪に続き、パリ五輪の出場も逃した。グランドスラム・パリはあの屈辱の一戦以来の再起の舞台となる。

「去年の世界選手権から1回も試合に出ていませんが、この冬、欧州では一番強豪が集まる試合で戦ってみたいという気持ちになったのでグランドスラム・パリを選びました」

昨年の世界選手権後は引退を考えていた。「世界選手権が終わってすぐは続けるとは1ミリも思ってなかった。時間が経つにつれて、1日の中でも辞めようかな、続けようかなとか、気持ちの変化が何回もありました。続けようかなと思っている自分がいるのならやった方がいいかなという気持ちが最終的に勝った。負けて終われない、勝って終わりたいという気持ちが強くなって決断しました」と当時の胸の内を正直に明かす。

背中を押した大野将平の言葉

天理大の先輩で、リオデジャネイロ五輪、東京五輪金メダリストの大野将平(31)からかけられた言葉も背中を押した。

「世界選手権が終わって、大野先輩から“俺はオリンピックで2回優勝してるけど、オリンピックが全てじゃない”と言われました。オリンピックを経験した人じゃないと分からない気持ち。僕はオリンピックに出てないのでオリンピックが全てと思っていたけど、大野先輩から言われて柔道への向き合い方が変わりました」

自らの前に立ちはだかる宿命のライバル・阿部一二三。その存在が大きすぎたからこそ「視野が狭くなっていた」と打ち明ける。「今までは阿部選手一人に対して、苦しみながら、もがきながらやっていましたが、去年の世界選手権で負けてから自分の柔道に対して向き合うという新しい面が出てきました。より柔道を幅広く見られるようになりました」と精神面の成長を強調した。

今年1月8日には第二子の誕生をSNSで報告。守るべき存在が増えたことも、柔道家として、父親として奮起を促してくれたことは想像に難くない。

66キロ級転向視野の髙藤直寿と「いつか戦えれば」

8月の誕生日で31歳になる。2028年のロサンゼルス五輪を目指すとまでは言えない。

「グランドスラム・パリでもチャンピオンになって、節目節目で自分の気持ちと向き合って相談していきたい。先を見てというより、目の前のことだけに集中して、自分の気持ちと向き合って戦っていきます」と話す表情には迷いはない。

東京五輪60キロ級金メダリストで同い年の髙藤直寿も昨年12月のグランドスラム・東京で敗れ、パリ五輪代表の座を逃した。今後は自身と同じ66キロ級転向も視野に入れていることには関心を示す。

「小中高と試合をしてきた選手なので、もう1回同じ階級で試合をしたら面白い。柔道に対しての向き合い方は素晴らしいので、すごく尊敬しているし、今後戦うのであればこちらも全力で勝ちに行く。いつか戦えればいいかなと思います」

屈辱にまみれ、引退も考えるほど悩み抜いた結果、逆に柔道への新たな意欲が沸々と湧いている。最後に「勝って終わりたい」という言葉を具現化するものは、優勝なのか、阿部一二三に勝つことなのか問われるとこう答えた。

「欲を言えばどちらともですね」

負けて一回り成長した丸山城志郎。パリ五輪に出場できないからこそ、グランドスラム・パリで誰よりも存在感を示したい。

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記事:SPAIA編集部

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