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【鎌倉市】1人で自在に人形劇 長谷の井上由利子さん

タウンニュース

手製の人形で『ランペルスティルツキン』を演じる井上さん

「さあさ、おくれ。おいらにおくれ――」。軽快に歌い、人形を巧みに操るのは、人形劇師の井上由利子さん(70歳・長谷在住)だ。あす4日(土)は朝食屋コバカバ(小町)で、来月は都内で、12月には大船小学校でと、依頼を受けては手作りの人形や舞台を携え、各地へ赴く。

井上さんが手掛けるのは、日本の昔話やグリム童話の作品が中心。『一寸法師』や『ぶんぶくちゃがま』『ジャックと豆の木』のほか、縁あって作製した鹿児島県の屋久島ゆかりの宣教師の物語『シドッティ』などもある。

昔から作ることが好きだったという井上さん。小学4年生の夏休みの宿題として初めて操り人形作りに挑んだ。自身のブラウスを解体して人形の衣装を縫い、「近所の器用なおじいさん」の協力を得て「赤ずきん」を完成させた。

その後も粘土や織物など、さまざまな素材での創作活動を楽しむ中で、偶然知り合った人形作家から「人形劇を作りたいから作品を探して」と頼まれた。用意すると、今度は「牛や馬を作ってみて」「これなら人形もできるわ」と気付けば制作することに。

「50歳の節目の時に『自分にしかできないことができたら』とは考えていたんだけど、まさかずっとやることになるとはね」

「1人でもやりたい」

その後、和紙の張り子の人形を作り、図書館で本を借りて基本的な操作を勉強。学生時代から親交のあるブルーグラス音楽の仲間を誘い、生演奏つきの人形劇団の活動を始めた。

忙しさから解散することになったが、「1人でもやりたい」と一念発起し、再開。伴奏として夫がバンジョーを奏で、支えてくれた。

1人では、人形操作に場面転換と休む間もないが、せりふや仕掛けで間を感じさせない。家来が王にひざまずくような複雑な動きも今やお手の物。人形が思いがけないポーズを取ることも魅力だと話す。

一方、顔の変化はないにもかかわらず、「表情が変わって見える」という声をよくもらう。公演後、子どもたちに人形を動かしてもらうと、表情が変わったように井上さんも感じるという。

制作した人形は約30体。新作も作り続けている。10月には、児童文学者・岩崎京子さんの『かさこじぞう』を作者ゆかりの地で演じる予定だ。横に並んだ地蔵がくるりと一斉に向きを変え、ぴょんぴょん進む姿を見せ、「うまくできているでしょう」とほほえむ。

楽器と共に公演も

1人での公演も見ごたえたっぷりだが、伴奏がつくと一層魅力は増す。

夫が亡くなってからは、娘のゆい子さんがギターを、鎌倉在住の写真家・大社優子さんがバンジョーを担当してくれている。3人での公演の際は、「劇団」として出演する。皆の名前がYから始まることと、亡き夫の口癖「Do(ドゥー)!」を合わせて「にんぎょうげきだんDo(ドゥー)!Ys(ワイズ)」と決めたのは、ちょうど1年前のこと。込めた思いはこうだ。「楽しいことドンドンやるわよ!」

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