通知表? それとも果たし状か? 憂鬱だった母からの手紙
10歳と4歳の姉妹の母、ママライターの“七海ラテ”です。42歳で次女を出産する際には、長女の幼稚園や習いごとを休ませたくなかったので、里帰りをしませんでした。代わりに、産後1ヶ月ほど母に泊まり込みでサポートしてもらいました。
その後も、助けてほしい時に数日来てもらっていたのですが、私はそのたび憂鬱な気分に…。母の言動を許せない自分の気持ちと、母と折り合いが悪くなることに対する罪悪感との葛藤に苦しんでいました。
余計なお世話!? 必要以上の母のサポート
ほぼワンオペ育児の我が家。子どもを連れて行けない予定が入ると、母にサポートを頼んでいました。母も孫たちに会うのを楽しみにしてくれているようでした。
しかし、私には母が来る前にやらなければならない大事なミッションがあります。それは、冷蔵庫に食料をぎっしり詰め込むこと。そして来訪当日の夕飯には野菜を意識的に使い、彩りも栄養バランスも良い献立を用意することです。もはや、娘たちの好みはおかまいなし。普段以上に家事をこなして私はフラフラでした。
それでも母は散歩がてらに、さらに食材を買い込んできます。翌日から食卓に並ぶ「おふくろテイスト」の料理の数々。母から食べきれない量をよそわれ、食の細い長女の箸は進みませんでした。
毎回届く母からの手紙に、うんざりする私
母の滞在中は「心穏やかに」と心がけていたものの、長女にはピアノの練習や学校の支度など、子どもなりにも重要なタスクがあります。なかなか動かない長女に、母の前で声を荒げることもありました。
母が帰った翌々日あたりに届くのが、母からのお礼状です。“先日はお邪魔しまして…”と殊勝な書き出しの手紙は、次第に「長女にもっと優しく」、「もっと野菜を食べさせろ」、「掃除はほどほどにして料理しろ」と、ダメ出しのオンパレード。
私の育児に対する通知表のような内容は、疲れ切った心身にかなりこたえました。読み切る前にゴミ箱に放り込んだこともありました。筆ペンでしたためられた古風なスタイルの手紙は、まるで果たし状のように感じました。
メールやSNSまで! 止まらない母からの波状攻撃
母は私と2人の弟を育て、孫にも恵まれ、子育てに自負があるのでしょう。弟のお嫁さんに意見できない分、私には伝えたいのかもしれません。私も母を尊敬していますが、出産した年齢も環境も異なります。
また、「埃じゃ死なない」派の母と、片付いていないと落ち着かない私では、性格も正反対。なかなか妊娠しなかった私に、母が「赤ちゃん代わりに」とぬいぐるみを送ってきた事件は、我が家の黒歴史となっていました。
手紙の他にもメールやSNS、宅配便などが届きます。すぐに反応しないと機嫌を損ねるので、返信せざるを得ず、かなり憂鬱でした。ところが、弟たちは母からのメールを既読スルーしていることを知ったのです。目からウロコが落ちました。
良い娘であろうとした自分を解放。母は母、私は私
私は、母に良く思われたくて無駄に葛藤していたようです。ある日、届いたメールに返信をしないことにしました。すると、母から「そういう態度取るんやね~」と、メールが届きました。
その時、「もうこれ以上言わないで!」と、母へ自分の思いを爆発させました。母は、まさかの私からの反撃にショックを受けたようですが、それ以降、確実に私に対して遠慮するようになりました。
私が幼いころ、母は弟2人に振り回されていたので、私は母に叱られた記憶がほとんどありません。当時、私をしっかりと育てなかった思いが、今このような形になったのかもしれません。冷静に分析してみると、スッと心が解放されました。
昨年、我が家が引っ越して以来、母は完全にゲストになりました。新居のキッチンには、母を立ち入らせていません。姑のように接しています。しかし、両親も高齢になり、顔を合わせるチャンスはそんなに残っていないかもしれません。娘たちには祖父母と交流した経験を持ってほしいので、週末はSNSでビデオ通話をしています。相変わらず果たし状のような手紙は届きますが、母の気持ちを汲みつつ、自分なりの子育てをしていこうと思います。
[七海ラテ*プロフィール]
小学生と幼稚園児の姉妹を持つ40代の在宅ワーカー・ママライターです。小さい頃は大好きだった母との確執から、自分と娘たちとの将来に少々不安を感じますが、今は一生懸命子育てするのみ! 育児も仕事も頑張っています。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。